15話『考え付いたのだけど』
「レイテル、貴女は強制力を感じたことはある?」
「んなー?……
あっ…そういえば…前世を思い出したばっかり時に、原作知らないから変なの触ったら…何かヤバイことになったのだ。」
ヤバイこと?
まぁでも…ふふ…『思い出した』ねぇ。
「それは…どういうの?」
この物語は強制力があるにして自由過ぎると思ったの。
何故なら本当に強制力の縛りがあるのなら、レイテルとの接触も、アリスとの接触も、許されて良いわけがない。
「…その変なのが…多分事件の一つのトリガーなった奴……?なのだ。」
「?」
『変なのが事件のトリガー』……そんなのあったかしら。
「何かの比喩かしら?」
「そうなのだ、あまり深掘りするななのだ。」
深掘りするなと言われても……するけど……だってにぃ様の為だもの。
「お前は…たまたま地面に落ちていたものを拾ってそれが奇跡的な力を持っていたとしたら…偶然だと思うのだ?
しかも初日で」
「なるほど、理解したわ。
…それは強制力というよりは拾うように設定されていた【必然】かもね。
まぁ知らないけど♡」
「知らんのかい。」
つまりレイテルは物語に拾わされた、ということ。
それも含めるとしたら。
「…あと~…あくまでこれは|仮説なのだけどね…」
もしかして…この世界は『ミツル』と『レイテル』の原作改編を許してる訳じゃなくて。
「この世界は『あるルート』に沿ってるんじゃ無いかしら。」
それなら理解が出来るわ、むしろ『睡蓮』が好きそうなルートだもの。
「んなー?こんなルート存在してない筈じゃ無かったのだ?」
「ええ、存在してないわ。
私の記憶の中にも。原作にも。
でも。」
でも、無くは無い路線。
「私達の知らない『別ルート』が存在していて、 私達はその流れに乗せられている可能性は無いとは言いきれないじゃない♪」
それこそ、都合の良い生理痛や、レイテルの不慮の事故の最大の原因。
「そして、今ここで私達が話している現状も。
ルート通り…なんて……
あり得ない話では無いでしょう?」
全てルート通りなら、ここまで自由な理由が分かる気がするの。
「んなー悪魔の証明なのだー。
それってつまり、突飛的な行動で私が今お前に殺されかけたら『強制力』が働く可能性もあれば、その行動自体がルート通りって可能性もあるってことなのだ。」
「正解よ。
そして普段通りにぃ様はあと20分後程に来る筈。」
だから…可愛い私のペット。
「協力してくれないかしら!!」
「つまり……今言ったことをやるってことなのだ?」
先っちょだけ…先っちょだけだから!!
「絶対刺さないでくれなのだ…
痛いのは嫌なのだ!」
…まぁ…場面は整ったわね♪
さぁ…どう時間がズレるかしら。
「勿論!一応ふりよ。
だから安心して。」
……まぁ可愛いペットが居なくなるのは…いやではあるけれど……
にぃ様の為だもの!
「嫌な予感がするのだ……」
「じゃここからそこまで、その間に何かしらのイレギュラーが起こった場合。
強制力が証明出来たとしましょうか。」
「良く考えたら雑くない……?」
「ふふ♪」
どうせ確実に証明する手段はないなら、深く考えずに仮定するが吉。
……だって正直深く考えても進展無いでしょうし……
……レイテルが居るところまで10m。
暇すぎて歩幅で計算出来るようになってるのって凄い判定されるかしら?
「……OKなのだ。絶対に刺さないでくれなのだ。」
「……ええ、勿論。
9m」
待ってやけにレイテルの尻尾が逆立ってる!!!
いやぁ…この子も恐怖ってあるのね。
「…7m」
まぁ証明出来るかは未知数だけど。
仮定から物語を進めて行くのが作家ってものだしね……それを言うなら研究者かしら?
「5m」
ここまで来たらレイテルは足場を移動しようとは動かない……か。
これが擬死って奴なのかしら?生命の神秘?
「…3m。」
……私も死なないことを願っているわね。
レイテル♪
「1mっ!……っ!!」
っ来た……!!!
「ミチル、ご飯出来たよ。
あっレイテルも。」
「……えぇにぃ様、勿論行くわ。」
ふぅ……にぃ様……ナイフは見られてない…か。
良かったわ。
「だけどちょっと待っててくれるかしら。
ぬいぐるみを…片付けたいの。」
「きゅーん!」
…まぁさっきレイテルにはふりなんて言ったけれど、本当に強制力が発動するかを見るなら、此方も本気でやらなきゃいけないわよね。
多分っ!敵を騙すなら味方からってね。
「うん!待ってるよ。
勿論レイテルも!」
もうにぃ様ったら、早く行かなきゃね。
「……発生したわね」
「そうなのだ。」
……にぃ様が来ることタイミング、正直に言うなら願望ではあるけど……偶然だとは……んー…あー……
あれ?これって進展あった?
「ついで…お前、本当に殺そうとしてなかったのだ?」
「んー?えーそんなこと無いわよー?
まぁにぃ様が来なかったら少し…刺さってたかもだけど……」
「……誰か助けてくれなのだ~」
おまけ♡
【執事さんに恋ばなをするミツルくん】
坊っちゃまがこんなに立派に毎日お勉強していることは微笑ましいが…
少し真面目過ぎる気がしますねぇ……
もっとほら、じぃやを頼って町へ遊びに行ったり、家を抜け出したりなど~……
幼心を忘れずに居てくれたら、此方も安心出来るのですがねぇ…
「執事さん、ちょっと相談がして良いですか?」
「ええ坊っちゃまの言うことなら、何なりと。」
すっかり敬語を使うようになってしまって…
子供の成長とは、少し侘しいものですね。
「……恋愛相談を…したいのですが。」
「まぁまぁ!それは是非聞いてみたいです坊っちゃま。」
この前まで蟻を眺める幼子であった坊っちゃまが恋をする程に感情深くなっていたとは…
この感動が私目を突き動かすのです。
「……初めて見た綺麗で、色々な仕草が本当に優しくて、好感度が殆ど変わってくれない所も可愛くて、好感度0からしか始まらない所も尊くて、コラボ衣装がすっごく似合ってて、ちゃんと人生に責任感があって、言動を変えようとしない一貫性があって、秘密主義なのがミステリアスで……」
「それはそれは、坊っちゃま。
そのお相手達は随分と魅力的なのですね……」
……好感度とはいったいどう言うものなのでしょうか。
「えっ?違いますよ!
まだ一人目の話です!」
「ほっほっほ、いやはや坊っちゃんはその方にとても執心しているようですな。」
「はい…!もう何時でも一緒に居たいぐらいに、好きなんです。」
……しかし
坊っちゃまが好いた素敵なお方なら、私目に止める権利はありません。
「ならば想い人の心を射貫けるよう、私目もお手伝いさせて頂きたい限りですよ坊っちゃま。」
「っ…執事さん!その気持ちは嬉しいですが!
好きな人を大切に出来るような!僕の力で守れるような立派な大人になりたいんです!!」
「それはそれは、坊っちゃまが立派に育つ日を私目はいつまでも首を長くし待っておりますよ。」
「ならその日までに僕は人生の全ての課題を達成して見せます!!」
…………子供の成長とはなんと早いことか。
しかし、その成長を見守ることこそ大人の役目と言うものです。
……ん?さっき坊っちゃまは『まだ一人目』と言って居られたました?
「こうしちゃ居られません!
部屋で少し勉強させて頂きます!」
「坊っちゃまァァ!!!!
『まだ』とはどういう意味ですかァァァァ!!??」




