第六 その身に安らぎを与え給え
「アウネ。久々だな。こうやって面を合わせるのは。」
「ね。そういや彼は元気?」
「元気すぎて困るぐらいだ。最近はなんか、芸術の極致に至ったとか言って絵画を作るのに没頭してるし。」
「彼らしいね。それじゃ、私の運搬頼んだよ。」
「自分で歩かないのか?」
「歩けないの。人命救助のために禁術の魔法を2つ使っちゃったから、その反動で。」
「・・・。まぁ、分かった。仕方がないから背負っていこう。とりあえず今日は休んでもらうが、明日は事情聴取だ。何があったのか、何が起こったのかとかな。」
「私に聞いても多分意味ないよ。だってこうなった時の記憶ないもん。寝てたからね!」
「つくづく役に立たないな...。」
開かれた空間の中へ、友人の「クロン」に背負われながら入っていった。その空間を通り過ぎた瞬間、真っ白な景色が目に映った。めちゃくちゃデカくて、超綺麗な建物の中。白衣を着た多くの人が忙しなく動き回っていた。なんか、すごい研究所感が漂っていた。
「ここどこ?」
「私の職場。」
「へー。どういう感じの会社?」
「会社...まぁそうだ。正確にはギルドにはなるが。」
「えっ、こんなギルドあるんだ。うちの王国とは全く違うなー。」
「私のギルドがおかしいだけだ。代表が財力に物言わせて最新技術とかを買収しまくってこうなった。はぁ、昨日もどこから買ったのかも分からないような魔道具を買ってきていたんだよな。あの人はあまりに金遣いが荒すぎる。」
「へぇー、めっちゃいいじゃんその人。私と気が合いそう。」
「やめといた方がいい。」
「なんで?」
「あの人はあくまで新しい物が好きなだけで、魔法とか道具とかは特に何も思っていない。とりあえず個人的に好きなものをコレクションしたいっていう考えの人だ、多分合わないと思うぞ。」
「そっかぁ。というかさ、これ今どこに移動してるの?」
ずっとクロンに背負われながら色んなとこを通過しているけど、どこに向かってるのか何一つ聞いていない。
「実験室。」
「は?」
「勘違いしないよう。あくまで健康状態のチェックとしばらくの寝床のためだ。別に監視とか実験とかはしない。」
「あぁそういうね。結構驚いたよ?今の。てか、あの親子は?」
「従業員用の空き部屋に移送してる。」
「おかしくない?私の待遇。私、あの少年の母親を文字通り身を削って助けたんだよ?それに次元を破壊する禁術の魔法も使って二人の命を救ったんだよ?ねぇちょっと。なんで無視するの。私めっちゃ頑張ってたし、すごいこともしたよ?禁術を1日で2つも使ったんだよ?ねぇ、聞いてる?私さ...」
彼に幾度となく語りかけたが、何一つとして返答が返ってこなかった。かなり不満ではあるけど、気を許してるからの行動だろうってのは分かりきってた。彼はあまり人を信頼してないけど、私のことはよく知ってるし信頼してるから、多少雑な扱いをしても大丈夫だろうと思ったんだろうね。まぁ彼が本当にそう思ってるのか知らないけど。
「到着した。この部屋はしばらく君の部屋だ。ただ、今回の事例はあまりにも例外すぎるから、君とあの親子をどうするかはこれからこちらの国で判断させてもらう。もうそちらの国王がいないからな。」
・・・私とあの親子、これからどうなるんだろうね。考えても意味はないだろうけど。




