第三十六 物漁り
地下室はかなり狭かった。全員入れるようなスペースではなく、数人だけで中を物色していた。ただ、明かりもついておらず、人もいない。それどころか、この部屋自体が全く使われていなかったようだ。蜘蛛の巣があちこちに張っていて、空気も澱んでいるし埃っぽい。本棚や机もあるけど、そのどれもが埃だらけだった。
アウネ 「う〜ん、なんかあまり期待できないね...重要そうなもの置いていなさそう。こっちはなんか...虫しかいない...うぅ、本当に気持ち悪いよ〜。そっちはなんかあった?」
ジャアル 「はい、アウネ先生。こちらに瓶がありました。何かのタグ、そして暗くてよく見えませんが、謎の物体が入っています。」
リバリー 「こ、こちらも何かありました。これは...なんて読むんでしょう?見たことがない文字です...。た、ただ本みたいです。」
フローラ 「こっちは机の引き出しから色々とノートがあったよ。えっと...こっちも読めないな。掠れてるし、同じく見たことがない文字。ただ、誰かの手書きのものっぽくて、なんかの絵とかグラフが描かれてる。」
アウネ 「とりあえず、それらは回収。くれぐれも慎重にね。う〜ん、ただそれ以外何もなさそうかな...。一応、ここの中を写真とか記録とか残しておきたいんだけど、誰か写真を撮れる道具とかない?」
フローラ 「そんな高級品持ってるわけないでしょ。・・・あ、クロンならあり得る?」
アウネ 「あぁ、確かに。んじゃちょっとクロンに伝達するね。クロン、写真撮れる道具とかある?あるんだったら大急ぎで取ってきて。」
とりあえず、回収できそうなものをあらかじめ持ってきておいた袋の中へ詰め込んだ。そして、しばらくクロンが来るまで色々と話し合っていた。
アウネ 「さてリバリーちゃん、ジャアル。どんな魔法、どんな呪いが使われてるのか予想できそう?」
ジャアル 「そちらは既に完了しております。」
リバリー 「は、はい。こちらも...。」
アウネ 「よし。んじゃ、君達の予想を聞かせて。」
ジャアル 「では私から。結論から言ってしまえば、使われた魔法は隕石魔法でしょう。燃えていた痕跡、無数の焼死体、一部が融解した建物からそのように推測しました。逆に、これ以外の魔法でこの規模と、これほどの被害を出すことは不可能だと思います。」
アウネ 「火炎魔法という可能性は?」
ジャアル 「可能性はありますが、極めて低いです。火炎魔法であれば、建物も人も木も全てが燃え、この辺り一体は何もなかったでしょう。逆に、隕石魔法であるのならば、一部の取りこぼしが生まれます。そのため、建物の瓦礫、焼死体、まだ少し残っている木々があるのでしょう。加えて、火炎魔法はあまり大規模攻撃に向いていません。大規模で使おうとした場合、隕石魔法よりも遥かに上回る魔力の消費と繊細な調整が必要になります。これらの理由から、隕石魔法でほぼ確定だと推測しています。」
アウネ 「なるほどね。私的にもそれが一番あり得るかな。それじゃあリバリー。呪いは何が使われていた?」
リバリー 「は、はい.。呪いは二つほどでした。一つは魔力爆破。一定の魔力を有しているあらゆる物を爆発させるという呪いでした。二つ目は魔力暴走です。こちらは魔力の流れを乱して、魔力の異常蓄積や枯渇を引き起こす物でしたが、恐らく異常蓄積を与えるものだと思います...。以前、先生が片足を踏み入れた瞬間に爆発していましたが、その際に一瞬だけ異常な量の魔力が先生に流れ込んでいるのを察知しました。だからそうやって考えています...。」
アウネ 「だよねー。魔力暴走は蓄積か枯渇しか起こらないってことはあり得ないけど、あり得そうなんだよねー。うーん。まぁ分かった。呪いも多分その二つでしょ。ありがとう。」
クロン 「アウネ、持ってきたぞ。はぁ...まったく面倒だった。取りに行くだけでどれだけ掛かるんだ。」
アウネ 「遅かったね。何かあった?」
クロン 「俺は写真機なんか持ってないから、代表からパチ...お借りさせてもらった。その際に色々と使い方を教えていただいたからな。」
アウネ 「なるほどね。んじゃクロン、それ使って、この部屋をいくつかの角度から撮影して。記録は一応残しておきたい。」
クロン 「了解。」




