EX 死神のラフォ
その少年は孤児として路上生活を強いられていた。人気のいない路地に、捨てられた布や木材で作ったボロボロの家と、道端やゴミ箱にある生き物や食料を漁っては食べていた。自分は何者なのか、どこで生まれたのかは一切知らず、文字の読み書きすらできないまま成長していった。
彼は路上で生活していたが、その際に他の路上生活者との交流や争いも起こしていた。時には助け合い、時には奪い合いという、生活だったが、彼はその若さと思慮深さの低さからよく争いごとの発端となっていた。しかし、それほど暴れてしまっていたがために、裏組織に目をつけられてしまった。
ある日、彼はいつものようにゴミ箱から食料を漁っていたが、その時に身なりのいい、とてつもない武装をした集団に襲われることになった。彼は咄嗟に攻撃し、何とか善戦するも、その数の多さや武器の扱いや装備の差などから、捕縛されどこかへ連れて行かれることになった。
彼が目を覚ますと、暗い密室で椅子に縛り付けられており、目の前には強面の男が立っていた。その男は、彼を襲うつもりはなく、まずは話し合いから始めることにした。話の内容は至って簡単で、組織加入への提案だった。彼は喜んでその提案を受け入れ、組織の末端員となった。最初こそ厳しい上下関係と訓練から逃げ出したくなる日々であったが、徐々に実績と研鑽を積んでいき、ついに組織のボスの補佐の立場へと昇進した。
それまでに血の滲む努力があったが、それに伴い、彼は肉体的にも精神的にも大きな成長を経ていた。荒々しい性格はまだ残りつつも、非常に大人びた性格となり、武器や身なりも高級品を身に付けていた。
彼は主に組織にとって不利益になりうる者の排除と暗殺を得意としていた。そのため、ボスからの指示に従って多くの者を静かに消していた。
彼の属する組織は、その規模が徐々に拡大していき、ついには裏社会の絶対権力として君臨した。そしてそのボスの威厳、そのボスを支える彼の存在は組織にとって至高の輝きであり、組織員にとって憧れの的であった。
彼はいつものようにボスからの命令と淡々とこなしていたが、ある日、ボスから招集をかけられた。そしてボスは、組織員全員へ、分断戦争への参戦を伝達した。ボス宛てに一通の封筒が来ており、そこには国からの依頼と分断戦争への参戦を求める文章が記載されていた。彼はボスに対し、自分達の組織の今後の顛末が分からないから参加しない方がいいと忠言、しかし、国は自分達の違法行為に目を瞑り、不問とすることを条件に出していた。また、戦争後に組織の摘発などは行わないことを明記しており、心配は不要だとした。
彼と組織員は、ボスの言葉を信じて分断戦争の戦場へ参戦。無論、末端組織員は無数に殺され、腕利きの組織員も少なからず犠牲を強いられた。しかし、彼は優雅な歩みと慣れた手つきで敵を何人とも殺していった。また、彼は夜の時間に活動を活発化させており、暗闇から出てきては1人をどこかへ消し去り、また暗闇の中へと入り、そしてまた1人...と暗殺を繰り返していた。そのせいか、敵は夜になると辺りを警戒するようになった。しかし、それでもなお、兵士の叫び声と共にその兵士はどこかへ消えていくそうだ。その結果、夜な夜な死神が現れて我々を冥界へ連れ去っていくと敵軍で噂となった。
戦争に明け暮れていた彼は、今日も深夜に敵へ夜襲を仕掛けようとしていたところ、クロンと遭遇。どこへ行くのかと問われ、敵軍へ奇襲を仕掛けに行くと言った。クロンは、彼こそ噂の死神だと考え、その高い暗殺の技術と深夜まで活動できる体力から、自身の部隊に入れば、物資などをより良いものがもらえるぞと提案した。彼は自身が属する組織への忠誠心と、裏組織の人間であることから、彼のような普通の社会で生きてきた者達との協力は拒否したが、戦場では組織だろうが部隊だろうが関係無いとクロンは言った。彼はクロンの言葉に半信半疑であったが、彼の熱心な勧誘に根負けし、渋々彼の提案に承諾した。
しかし、完全には加入せず、あくまで物資補給の経路としてのみ利用させてもらうことにした。その際にクロン以外にも、メビウスやベル、アウネとも交流。戦況や物資の状況、今後の見通しについて情報交換を行なった。
それからしばらくした後、戦争はようやく終結。彼は内密に国王からの戦争の英傑と称号を得た。戦場から帰還後、残った組織員とボスとで再びかつての栄光を取り戻そうと奮闘。戦争へ参戦する前よりも随分と人が減ったが、戦勝と参戦への謝礼から多額の金を貰っていた。その金を元手に、再び組織の再編成と拡大を行うことにした。
現在では以前のような状態へと戻り、裏組織を今もなお牛耳っている。また、裏社会の組織かつ違法薬物や違法な武器の売買を行なっているが、現状まだ国にはバレていないそう。それでも、半分バレているようなものだそうだが、彼らのおかげで裏社会が安定していること、戦争で大きく貢献してくれたことから多少甘く見てもらっているそうだ。
彼はというと、今のボスが死んだら次のボスとして確定されているため、組織の長としての教養を教わっている。加えて、ボスからの命令で今も不要な人物を消しているそうだ。彼曰く、ボスの下についている方が個人的には楽だから、なるべくボスを長生きさせてやると意気込んでいる。
現在、彼はアウネやクロンらの元デスマウント部隊と共に活動しているが、あまり乗り気ではない。ボスからは、組織以外の人間とも交流しろ、どれだけ時間がかかろうが構わないから、そちらの問題が解決するまで組織に帰ってくるなと言われた。嫌々ではあるが、彼らから過去に物資や情報提供をされた恩もあることから、借りを返すために、現在は彼らと共に行動している。




