第二十九 あなたの実験に
その日の夕方、私は私用で外出していた。ちょっと教会に用があった。ちなみにクロンも同伴している。別に私だけで良かったけど、クロンも少し外の空気を吸いたくなったらしい。
クロン 「はぁ...。まったく人数がこうも多いと疲れるな。」
アウネ 「でもさ、人数が多いからこそ楽しいでしょ?」
クロン 「否定はしないな。全員見知った...わけではないが。」
アウネ「あぁ、ジャアルとリバリーのことね。てかさ、あの二人ってこの国だと有名だったりする?」
クロン 「一応有名ではあるのか?時折雑誌とか新聞とかで名前が挙がることもあるし。」
アウネ 「へぇ〜。」
クロン 「というか、なぜ協会に?協会ならこっちの方角じゃないが。」
アウネ 「いや?こっちであってるはずだよ?」
クロン 「ん?協会って宗教の方か?」
アウネ 「そ。本当にきょうかいって言葉、二つの意味で捉えられちゃうから面倒くさいよね。なんかいい分け方とかあれば良いのに。」
クロン 「それは同感だな。で、なんで教会に?洗礼でも受けるのか?」
アウネ 「いいや。ちょっとねー、まぁ...最高品質の聖水を買おうかなーと思いまして...。」
クロン 「買わないんじゃなかったのか?」
アウネ 「いや、私の自腹で...。実験用に1個欲しくなっちゃって...。」
クロン 「自腹...金は大丈夫なのか?」
アウネ 「まぁギリ...?一応かなりの貯金はあるから、1個ぐらいなら一応買えるよ。それでも大打撃だけど。」
クロン 「・・・そうか。」
私とクロンは教会に到着し、中へと入っていった。そこで聖水が売ってあったので、予定通り買うことにした。というか、聖水を売るってどうなんだろうね。やっぱ収益ないと教会とかやっていけないのかな...。
アウネ 「すいません、最高級の聖水1つください。」
シスター 「はい、こちら1個で500万ルーレになりますが大丈夫でしょうか?」
アウネ 「は...」
クロン 「はい。」
アウネ 「!?」
私が支払いをする予定だったのに、急にクロンが割って入ってきた。なんでそんな事したのか分からなかった。
クロン 「すいません、支払いはリリュジョンギルドの代表名義でツケといてください。」
シスター 「かしこまりました。ではこちらをどうぞ。」
クロン 「どうもありがとう。じゃあアウネ、帰ろうか。」
クロンは人が変わったかのような笑顔で私にそう告げた。クロンの言葉に対し、私は黙ったまま頷いた。
アウネ 「なんで...?」
クロン 「俺もハンソンみたいに後々になってから思い出してな。そういえば国へ負担をかけず、そして大富豪の人が。まぁだから嫌が...その人には部下のスキルアップのためにちょっとした経費を賄ってもらおうとな!」
アウネ 「・・・そ、そうなんだね〜...。うん、ありがとう...。」
クロン 「まぁこのぐらいならあの人はできるだろうし、あの人はこの前...確か金が余りすぎて腐っちゃいそうとか言ってたからな。別に大したことないだろう。多分。」
アウネ 「・・・じゃあいいか。ありがとね、クロン。」
クロン 「構わんさ。俺の金じゃないからな。」




