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無限に死ぬ私  作者: お菓子い
第二章 調査・究明編
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EX 芸術家のハンソン/前半

ちょっと話が長くなっちゃったので前半と後半に分けてます。前半はハンソンの人生、後半は彼の持つ武器と固有のものになります。

 彼は幼い頃から絵を見たり描いたりするのが好きだった。親がそうだったからという訳ではなく、生まれつきそうであったというだけである。しかしながら、ただ好きなだけではなく絵の才能があったというのも一因だろう。

 青年期になった彼は絵画に関する賞を大量に獲得し、芸術家としての道へ進むことに決心した。親はあまり乗り気ではなかったものの、彼の才能は認めざるを得ないものであり、才能を潰すのもよろしくないと考えたため、彼の夢を裏から応援することにした。

 そのおかげで彼は芸術を専門とする学校へ進学、そこで多くの技法や芸術の歴史を学んだ。そこで学んだ多くのことは彼にとって有意義なものであり、彼の才能をより引き出す最高の場所であった。しかし、彼が人生において最高潮とも呼べる楽しかった時間はすぐに終わりを迎えてしまった。分断戦争が勃発したのである。

 学校の多くの友人らも彼と共に戦場へと出ることになり、そのほとんどが死ぬ結果となった。ただの学生が武器の扱い方や戦争なんてものを知らず、ましてや人を殺すなんてできる訳がなかった。

 彼は地獄のような場所で精神が蝕まれていき、疲労と精神の不安定さから不眠症を発症し、幻覚を見るようになってしまった。しかし、彼にとって唯一の救いはミラベルであった。ミラベルは地獄の戦場の中で唯一自分のことを気にかけてくれ、自分の苦悩を受け止めてくれていた。そのおかげで、彼はまだ正気を保っていられた。

 しかし、彼はとんでもない作戦を思いついてしまった。ジリ貧で、状況が膠着状態にある中でのことだった。彼は爆弾を作ることにしたのだ。それも、誰の目も絶対に惹きつけるような爆弾。一瞬だけしか見ることのできない作品を思いついてしまった。彼はこの作品を作りたくはなかったし、作ろうとも思えなかった。だが、このまま自身の友人が死んでいき、この地獄がずっと長引くぐらいなら、どんな手を使ってでも早く終わらせ、一人でも多くの仲間を救う方こそ正しいと言い聞かせたのだ。

 彼が考えた爆弾の名は「人間爆弾」。死体を使った爆弾で、いくつかの種類を作り出した。1つは五体満足の死体の内臓を全て除去し、そこに大量の爆弾をつけ、外側から見えないよう縫い付けるというもの。1つは頭だけの爆弾で、脳味噌の部分に爆弾を埋め込むというもの。1つは頭と胴体だけの爆弾で、胴体に爆弾を仕込むというものだった。

 死体を使った作戦であり、外道とも呼べる作戦だった。しかし、この作戦は多くの兵士から使えると評価され、実際に戦場で使われることになった。結果は大成功で、敵軍へ甚大な被害をもたらせた。彼の作戦は多くの仲間から称賛された。その時の彼は泣きながら笑っていた。これが芸術と呼べるのか分からなくなった。しかし、敵が綺麗に爆発し、その体が吹き飛ばされる様子は、なぜか彼にとって美しさと呼べるものになっていた。その時、彼はこう思ってしまった。「これこそが芸術であり、人という材料は作品を最も美しく見せる材料なんだ。」

 以降、彼はおかしくなってしまった。生きている敵を死体に縫い付け、その状態で敵の四肢を切り落とし、悲鳴を上げさせる。四肢を切り落とした二名の敵兵を結合させ、その状態で燃やし、消し炭にさせる。敵兵の頭と腕を切り落とし、それらを使い旗を作る。などといった、常軌を逸した行動が見られるようになった。

 人を材料にした芸術作品を数多く作り上げていた彼だが、やがて戦争が終結する。彼がいた戦場には、多くの作品が飾られていた。敵も味方も、これらの作品には嫌悪感を示していたが、彼だけは恍惚とした表情を浮かべ、楽しそうにまだ作品を作っていた。

 戦場から帰還した彼は狂っていた。戦争の英傑の一人として扱われ、称号も得ていた。それだというのに、人で作品を作りたいばかりが頭を支配し、自身が何か作品を作っている間に話しかけられたりすると癇癪を起こすようになった。彼の言動に耐えかねた親は彼を精神病院へと連れていき、そこに入院させた。彼は親の行いに怒りを見せていたが、そこの病院で再びミラベルと出会った。

 ミラベルはハンソンが戦場でしていたことを知っており、彼女を悲しませていた。前までは優しかった人が豹変し、今ではここにいるという事実に嘆いていた。そんなミラベルの言葉を聞いたハンソンは自分の行いを改めて振り返った。そうして浮かんできた過去の行いはどれも彼にとって恥ずべきものであった。芸術作品なんてものはそこにはなく、ただの狂人の遊戯しか残っていなかった。

 彼は自身の過去の行いを嫌悪し、ミラベルへただ謝罪を述べるだけだった。彼は自身の才能を嫌悪し、絶望するようになった。いっそ、こんな才能と考えがなければと、自身の腕を切り落とそうとした。しかし、ミラベルは彼を慰め続けていた。ミラベルの言葉を聞いた彼は、過去の行動を悔い、同じようなことをしないために考えを改めることにした。

 無論、簡単に過去は変えられるようなものではなく、あれは今も彼を苦しめ続けている。しかし、彼は戦争が起こる前に夢見ていた、真の芸術家へと至ろうと今も芸術を描き続けている。残酷ではなく、多くの人に共感し、多くの人を感動させ、過去を懺悔するような芸術を。

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