第三 隠れて合わせん
さてヤバい。本当に降り始めてきちゃった。まだ先なんだけど、想像以上に降るのが早すぎる。・・・最悪、一人死ぬかも...。死、か...。いいや、死なせない。絶対に。生存してこそ意味があるんだから。
「二人ともゴメン。間に合わなさそうだから無茶するね。くれぐれも持ってかれないようにね。次元を崩壊させ全てが繋がらん。」
慌てている二人を赤い裂かれた空間に誘導した。この魔法は正直使いたくなかった。だけど使わざるを得ない。じゃないと本当に助けた意味が無くなっちゃう。・・・流石に冗談言ってる場合じゃないね。本気を出そうか。私が次元の中に入り、二人の手を繋いだ。
「いい?絶対に手を離しちゃダメだよ。それから、前だけ見て。もし怖かったら目を瞑ってて。私が引っ張り続けるから。」
私は二人を思いっきり引っ張って走っていた。足が壊れるぐらいには全速力で。どこもかしこも痛すぎて、その場でぶっ倒れそうだった。視界がいよいよ揺らぎ始めてるし、思考もまともにできていない。だけど、もうすぐで到着するから必死に耐えていた。
ようやくポイントに着いたから、最後の力を振り絞るように唱えた。
「次元の終着はここにある...っ。」
そう言うと目の前に別の空間が現れ、私たちはそのままその中へ突っ込んだ。その景色には見覚えしかなかったし、自分の場所だということを本能的に理解していた。
「次元、閉じろ...。・・・ようやく着いた、よ。ふたりとも...。め、あけて...。」
限界だった。もう意識が保てない。視界もどんどん黒くなって...あぁ、心臓。心臓がないんだった...。心臓さえ再生できれば...。まだ、耐えられる...。
「からだ...の、あか、がまわり...だす。」
なんとかまほうはつかえた。でもむり。いしきが、もうだめ...。
意識が飛ぶ最後の方。その時に誰かの叫び声は聞こえたけど、誰だったか分からなかった。
・・・あれ。なんで?どうして私はここに...?私は確か・・・どこにいたんだっけ。すると後ろから私の頭を叩いてくる人がいた。
「おい!何ぼさっとしてるんだ!早く敵を抑えろ!じゃないと俺ら全員死ぬぜ!また来たぞ!敵の砲撃だ!全員伏せろ!あるいは逃げろ!おい、早く魔法使って守れ!」
そうだ。私は戦場で戦っていたんだった。急いで防御魔法を使い、なんとか砲撃を防いだ。
「よし!反転攻勢に出るぞ!お前達、行くぞ!!」
そう、この人はこの部隊の隊長で、この人についていかないと。少しでも多くの...
「おい、まだか!?お前、もうすぐで召喚できるとか...」
頭が割れそうなほどの激痛が走ったと思ったら、目を覚ました。見知り過ぎている天井と、このクッション性があるベッド。・・・またあの時の夢。未だ、私はあれを引き摺っているんだ...。いつになれば、この悪夢は消え去ってくれるんだろう...。




