EX 虐殺のクロン
その少年は最悪の生い立ちと最悪な人生を歩むはずだった。幼少期、父親によって常に暴力を振るわれ、母親も精神を病んで自殺した。碌な食事も与えられず、得ることができなかった。そのせいで、普段から窃盗や強盗、殺人を行なっていた。
やがて彼は青年となり、いつものように強盗をしていた。しかし彼の行動は危険視されていたこともあって、ある日、ついに国の守衛隊によって逮捕された。無論、彼が引き起こした事件の数と質は処刑に値するものであったが、その頃に分断戦争が勃発。他者を圧倒する戦績を出したら罪を不問とする条件付きで、最も死亡しやすく過酷な最前線に兵士として強制的に派遣された。国王は国のために利用するだけ利用して、戦場でそのまま死なせるつもりだったのだろう。
彼は分断戦争をナイフ一本だけで戦い抜いた。魔法・弾丸・化学兵器が飛び交う中、たった一本のナイフだけで。彼はそのナイフだけで数多の敵兵を惨殺、戦場から見事生還を果たした。
しかし終戦後、国王は提示した条件を無かったことにし、彼を処刑しようとした。それにとてつもない怒りと憎悪を積もらせた彼は、国王の臣下ら全員に最大限の苦痛を与えてから殺した。それも国王の前で。怯える国王すら手にかけようとしたが、国王は条件通り、彼の罪を不問とした。加えて、戦争の英傑としての称号が与えられた。
生まれた時からあった母国への不信感、戦後の国の裏切りへの不満から、彼は母国を捨てた。その際、自身の母親を間接的に殺した自身の父親を殺害した。その死体はバラバラに切り裂かれ、もはや原型を留めていなかったそうだ。
やがて彼は今いる国、「ルンドン王国」へと流れた。その王国でも一文無しで路上生活を強いられていたが、その様子を見た、現在彼が所属するギルドの代表に拾われた。
そのギルドで社交性を学び、人間関係を学び、武器の扱い方を学んだ。やがて彼は成長し、今に至る。今の彼はギルドの代表へ不満な態度を呈することはあれど、非常に信頼し、感謝を忘れずにいる。だからこそ、今も彼の下で懸命に誠実に働き続けている。また、武器の扱いも格段に上達し、以前よりも殺傷力を上げた。しかし、彼の武器は誰かを殺すためではなく誰かを守るために使おうと心に刻んでいる。これも代表の教育の賜物だろう。




