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第八話:天地を揺るがす壮絶な戦い 2

  詩孝榮は地面に倒れている奕德を目にすると、心配そうに尋ねた。


「奕德、妤玟。二人とも、立ち上がれるか?」


  奕德は頷きながら答えた。


「おじさん、僕は大丈夫です」


  それを聞いた詩孝榮は、胸を撫で下ろし、二人に向かって言った。


「無事ならよかった。二人とも、しばらくはこの蔓の後ろに隠れていなさい。私は今から、町の人々を傷つけたあの連中を片付けてくる。すぐに戻るからな」


  そう言うと、詩孝榮は手にした短剣を掲げ、二人の男に向かって駆け出した。


  詩孝榮の姿を目にした隻眼のスキンヘッドは、先ほどまでのふざけた表情を一変させ、真剣な面持ちでウルフカットの男に怒鳴った。


「あいつが、例の獲物か! 早く信号弾を撃て!」


  命令を受けたウルフカットの男は、迷うことなく弓を構え、空へと狙いを定めた。


  それを見た詩孝榮は、慌てて蔓を操り、ウルフカットの男の足首に絡みつかせようとした。


  しかし、わずかに間に合わず、男が矢を放つのを阻止することはできなかった。


  矢が空中で爆発した瞬間、もともと薄暗かった夜空は、まばゆいばかりの白い光に包まれた。


  それを見た詩孝榮は、怒りに満ちた声で叫んだ。


「卑劣な臆病者め! 助っ人を呼べば私を倒せるとでも思っているのか? 今日こそ、お前たちにその命をもって、死んでいった人々への罪を償わせてやる!」


  そう叫ぶと、蔓はウルフカットの男の足首にきつく絡みつき、そのまま勢いよく振り回して、脇にあった建物へと投げ飛ばした。


  一方、詩孝榮は素早く隻眼のスキンヘッドの目の前まで駆け寄り、剣を振り下ろした。


  迫り来る詩孝榮を目にした隻眼のスキンヘッドは、慌てて短剣を構え、剣が顔面に届く寸前、間一髪のところでその一撃を受け止めた。


  しかし、男が安堵する暇もなかった。


  詩孝榮は素早く身体を回転させ、その拳を隻眼のスキンヘッドの顔面に容赦なく叩き込んだ。


  その衝撃によって、男の身体は数メートルも後方へと吹き飛ばされた。


  それを見た詩孝榮は、間髪入れずに複数の蔓を召喚し、隻眼のスキンヘッドへと伸ばした。


  そのまま男を拘束し、とどめを刺そうとしたのだ。


  しかし、その時、一人の人物が路地の奥からゆっくりと姿を現した。


  その人物は一振りの剣を振るうと、詩孝榮が召喚した蔓を一瞬にして切り裂いた。


  身長はおよそ百八十センチほど。全身を漆黒の鎧で覆い、顔には素顔を隠す黒い兜をかぶっていた。


  右手には銀白色の長剣を携え、冷ややかな眼差しで詩孝榮を見据えていた。


  その人物の正体を見極めた詩孝榮は、思わず小さく驚きの声を漏らした。


「まさか、こんな辺鄙な田舎町を襲撃するために、あの名高い『紛争の武士』まで送り込んでくるとはな!」


  紛争の武士は振り返ることもなく、隻眼のスキンヘッドに向かって言った。


「早く逃げろ。こいつはお前たちの手に負える相手ではない」


  そう言うと、紛争の武士は長剣を詩孝榮へと向けた。


  詩孝榮もそれに応じるように短剣を構え、警戒しながら紛争の武士を見据えた。


  二人が互いに睨み合い、対峙していたその時、一人の人物が屋根の上から飛び降りてきた。


  その人物は、奇妙な形状をした長い杖を振り回しながら、紛争の武士に向かって叫んだ。


「土の神よ! 我に力を授けたまえ!」


  その叫び声が響き渡った瞬間、二本の巨大な石柱が何もない空間から突如として出現し、紛争の武士を勢いよく叩きつけた。


  そのまま紛争の武士は、脇にあった建物の中へと激しく吹き飛ばされていった。


  やがて、その人物がゆっくりと立ち上がると、奕德はようやくその顔をはっきりと確認することができた。


  それは、妤玟の母親である「陳銀霞」だった。


  詩孝榮は彼女の姿を確認すると、驚いた様子で尋ねた。


「お前、どうしてここまで来たんだ?」


  陳銀霞は身体についた土埃を払いながら、落ち着いた口調で答えた。


「空に異変が起きているのを見て、厄介な敵があなたのところに現れたのではないかと思ったの。それで、すぐに全速力でここまで駆けつけてきたのよ」


  詩孝榮がさらに何かを言おうとした、その時だった。


  崩れ落ちた建物の瓦礫の中から、背筋が凍りつくような、重く不気味な呼吸音が聞こえてきた。


  やがて、紛争の武士が舞い上がる土埃の中から、ゆっくりと姿を現した。


  その身体には、傷一つ見当たらなかった。


  瓦礫の中からゆっくりと歩み出てくる紛争の武士を目にした詩孝榮と陳銀霞は、瞬時に手にした武器を構え、臨戦態勢に入った。

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