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第27話:任務か、仲間か 2

 奕德と妤玟は、蔡思琴がなぜ突然笑い出したのか、その感情の変化についていけず、完全に困惑していた。


 すると、柔らかなそよ風が奕德の身体を包み込んだ。


 奕德は、自分の身体が突然とても軽くなったことをはっきりと感じた。


 まるで、一枚の羽のように。


 蔡思琴が手を軽く持ち上げると、奕德と妤玟の身体は地面からふわりと引き上げられた。


 妤玟はまだ状況を理解できていないようで、警戒しながら蔡思琴に尋ねた。


 「お、お姉ちゃん……私はどんな罰でも受けます。でも、奕德だけは巻き込まないでくれませんか? 本当に彼は悪くないんです」


 蔡思琴は笑いながら、妤玟の頭を優しく撫でた。


 「さっきのは、ただあなたたちをからかっただけよ。あなたたちを送り返すつもりなんてないし、罰を与えるつもりもないわ」


 奕德は理解できない様子で尋ねた。


 「じゃあ、あなたがこんなことをした目的は何なんですか? 俺たちを試したんですか?」


 蔡思琴は首を横に振り、二人にゆっくりと語りかけた。


 「それなら、私が一つの話をしてあげる。ずっと昔、私のとても仲の良かった友人が、戦場で敵軍の重要な情報を手に入れたの。でも、その友人の仲間が敵軍の待ち伏せに遭って、重傷を負ってしまった。その時、彼はどうしても一つの選択をしなければならなかった。仲間を助けるために重要な情報を伝える機会を捨てるのか、それとも仲間を見捨てて、その重要な情報を伝えるために戻るのか。もしあなたたちが彼と同じ選択を迫られたら、どうする?」


 妤玟が口を開こうとしたその時、蔡思琴は続けた。


 「今すぐ答えなくてもいいわ。私がこの話をしたのは、もしかしたらいつかあなたたちも、こういう二者択一を迫られる日が来るかもしれないと伝えたかったから。あの時、あなたたちが仲間を救うことを選んでも、情報を届けることを選んでも、私はその選択をしたことを後悔しないでほしいと思っている。自分で選んだ道を、勇気を持って進み続けなさい」


 蔡思琴は空を見上げ、驚いたように言った。


 「どうやら、少し話しすぎたみたいね! もうお腹いっぱいになったんだから、きっとこれからの訓練の準備もできているでしょう。さあ、行きましょう。これ以上話していたら、太陽が沈んじゃうわ」


 太陽が次第に赤く染まっていく中、奕德はついに限界を迎え、片膝を地面についた。


 そして、木剣に身体を預けながら、苦しそうに荒い息を吐いた。


 しばらくして、ようやく奕德は苦しそうに蔡思琴へ声をかけた。


 「蔡思琴……お……お姉ちゃん、俺、もう無理です……」


 蔡思琴は空を見上げ、確かにもう遅い時間になっていることを確認すると、奕德に言った。


 「分かったわ。今日の訓練はここまでにしましょう。あなたたちもそろそろ夕食を捕まえに行く時間よ。でも、テントに戻る前にちゃんとお風呂に入るのを忘れないでね。キャンプ中があなたたちの汗臭さでいっぱいになるなんて、私は絶対に嫌だから」


 夕食という言葉を聞いた奕德は、この機会を利用して尋ねた。


 「蔡思琴お……お姉ちゃん、風のウサギを捕まえるコツを教えてくれませんか?」


 それを聞いた蔡思琴は笑い、奕德に言った。


 「低級眷属があれだけたくさんいるのに、どうして私がわざわざ風のウサギを選んだと思う?」


 奕德は考えながら答えた。


 「攻撃性がないからですか?」


 蔡思琴は首を横に振り、奕德に言った。


 「正解でもあり、不正解でもあるわ。攻撃性がないことも理由の一つだけど、それが一番の理由じゃない。最大の理由は、あの子たちが低級眷属の中でもトップクラスに素早いからよ。あなたたちの反応力、瞬発力、そして観察力を鍛えるのにちょうどいい。それに、あの子たちは殺気を感じ取ることにも非常に長けている。ほんの少しでも殺気を放てば、すぐに感知されてしまうのよ。だから私があなたたちに与えた課題は、実際の戦闘を想定して、祝福の相性が不利な状況でどうやって突破口を見つけるかということ。私から言えるのはここまで。残りは自分で考えてみなさい。あなたたちの活躍を楽しみにしているわ」


 奕德は昨日、風のウサギを捕まえた時の光景と、蔡思琴から与えられた手がかりを頭の中で整理した。


 しかし、いくら考えても、突破口を見つけることはできなかった。


 奕德がどうすればあのウサギたちを捕まえられるのか考え続けていると、前方に立っていた妤玟が大声で叫んだ。


 「奕德、早く! もっと急がないと、あのウサギたちがまた洞窟の中に隠れちゃうよ!」


 奕德はひとまず考えることを諦め、妤玟の後を追った。


 そして二人は、あの平原へ向かって歩いていった。

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