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第十話:永遠の絆 1

「妤玟? 妤玟? ようやく目が覚めたのか?」


 妤玟は、優しく何度も呼びかける声に意識を呼び戻され、ゆっくりと目を開けると、周囲を見回した。


 奕德の顔を目にした瞬間、妤玟は意識を失う直前の光景を思い出し、緊張した面持ちで奕德に尋ねた。


「奕德……お父さんは今、どうなっているの?」


 奕德は小さな声で妤玟に告げた。


「詩さんは、あの一太刀を真正面から受け止めた後、その場で息を引き取ったんだ……」


 妤玟は諦めきれず、さらに尋ねた。


「じゃあ、お母さんは? お母さんは今、どうしているの?」


「道中で何人かの敵から聞いた話なんだけど、紛争の武士がお母さんを斬り殺したらしい。だから、おそらくもう……」


 奕德の声は次第に小さくなっていったが、妤玟にはすでにその結末がほぼ察せられていた。


 心の中ではとうに覚悟していたはずだった。それでも、実際に両親の死を知らされると、涙を抑えることはできなかった。


 妤玟が涙を流す姿を見た奕德もまた、目に浮かぶ涙を抑えきれず、彼女の手を強く握りしめながら、かすれた声で言った。


「妤玟、ごめん! 本当にごめん! 僕のせいでなければ、おじさんもおばさんも死なずに済んだのに! 全部、僕のせいなんだ……!」


 妤玟は拳を強く握りしめ、震える声で奕德に言い放った。


「いい加減、しっかりしなさい! 今は悲しんでいる場合じゃないのよ! あいつらは今、生き残った人たちを片っ端から探し回っているはず。だから、私たちは一刻も早く隠し部屋の鍵を見つけなきゃいけないの!」


 妤玟の言葉を聞いた奕德は、悲痛な面持ちで叫んだ。


「僕みたいな人間に、生きている資格なんてあるのか? 僕は呪われた悪魔の子なんだ! 他人に不幸をもたらすような僕は、ここで死ぬべきなんだ!」


 奕德の言葉を聞いた妤玟は、怒りを露わにして彼に怒鳴った。


「お父さんもお母さんも、自分の命を懸けてあなたを守ってくれたのよ! それなのに、どうしてその犠牲を無駄にしてもいいなんて思えるの!?」


 奕德が顔を上げて妤玟を見ると、彼女の目はすでに真っ赤に腫れ上がり、頬には涙の跡がはっきりと残っていた。


 しかし、その瞳の奥には、燃え盛る復讐の炎が宿っているのが見て取れた。


 妤玟は深く息を吸い込むと、真剣な表情で奕德に告げた。


「あなたがどう思っているのかは知らない。でも、私は自分の手でお父さんとお母さんの仇を討ちたい。だけど、今の私じゃあまりにも弱すぎる。だから、私は生き抜いて、強くなる。いつか必ず、自分の手で二人の仇を討てるようになるまで!」


「私はこれから、あの隠し部屋の鍵を探しに行くつもりよ。もしあなたも二人に申し訳ないと思っているのなら、ついてきなさい!」


 妤玟がゆっくりと遠ざかっていく後ろ姿を見つめながら、奕德はついに決心した。


 彼は立ち上がると、妤玟の後を追いかけ、心の底からの思いを込めて言った。


「たった一日しか一緒に過ごしていないけど、おじさんとおばさんが僕にくれた優しさは、一生忘れないよ」


「僕は誓う。二人の遺志を継いで、ずっと君のそばにいる。何があっても、絶対に諦めたりしない」


「絶対に……!」


 それを聞いた妤玟は、奕德に向かって言った。


「だったら、早く行きましょう! あいつらがここを見つけるのも、時間の問題かもしれないわ」


 奕德と妤玟は隠された部屋を出ると、客間の中をくまなく探し回り、隠し部屋の鍵を探し始めた。


「妤玟! 隠し部屋の鍵がどんな形をしているか、知っているか?」


 引き出しの中を探りながら、奕德は妤玟に尋ねた。


 妤玟は首を横に振って答えた。


「両親から、うちに隠し部屋があるなんて聞いたこともないわ。だから、その鍵がどんな形をしているのか、私にもわからないの」


 奕德は浴室の中の様子を懸命に思い返し、やがて、あのくぼみの存在に気づいた。


 彼は慌てて妤玟に声をかけた。


「妤玟! 君の家に、円柱形の物ってあるか? コップみたいな形をしたものなんだけど!」


 妤玟は不思議そうな顔で尋ねた。


「コップみたいな円柱形の物? そういえば、展示棚で似たようなものを見たことがある気がするけど……それを探して、どうするつもりなの?」


 奕德は妤玟に説明することなく、急いで展示棚へと駆け寄り、辺りを探し始めた。


 そして、ついに探し求めていたものを見つけた。


 それは、まるでガラスのコップのような形をした、淡い黄色の石だった。


 奕德の手にあるものを見た妤玟は、不思議そうに尋ねた。


「これが、あの隠し部屋の鍵なの?」


 奕德はうなずき、妤玟に告げた。


「この形は、浴室にあったくぼみとそっくりなんだ。間違いなく、これだよ」


 そのとき、突然、玄関の扉が外から無理やりこじ開けられる音が響いた。


 その物音を聞いた奕德と妤玟は、急いで展示棚からいくつかの物を手に取ると、二階へと駆け上がり、玄関の様子をこっそりとうかがった。


 そこに押し入ってきたのは、あの狼尾頭と隻眼のスキンヘッドだった。


 二人は短剣を構え、警戒しながら客間へと足を踏み入れていく。

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