雪
雪
季節は冬、狼獣人のヴォルフは雪が大好き
その中でも特に寒さに強い、スノータイプの狼獣人
冬になると冬毛に生え変わり、過酷な寒さに耐えられるようにもふもふな毛になる
ただ、本来のスノータイプは熱を体から出さないため、耳が小さく、熱を逃さない仕組みになっているが
ヴォルフは他のスノータイプより耳が大きいため、体を冷やしやすい
一方ノワールはあまり寒さに強くないようだ
ノワールは狼獣人と犬獣人のハーフ、犬獣人の血が入っているため寒さに強くない
熱は逃さないようにはなっているが、それでも寒すぎる日はあまり出たがらない
そのため、冬になると屋敷に篭りがちになる
この日は雪が積もるほど降っており、屋敷の周りはまるで銀世界のようだ
ヴォルフ「ノワ!ほら雪!しかも積もってるよ!遊ぼ…あ…いや雪かきしないとだね…!!」
テンションがいつもより高く、尻尾を振りながら目を輝かせている
ノワール「ヴォル、はしゃぎすぎ…さむっ…俺は部屋に戻る…」
体をさすりながら、部屋に戻ろうとするが
1人だと寂しいのか、白い手は黒い手を握り引き留めた
ヴォルフ「えー…こういう時こそ体動かしてあっためないと…」
ノワール「じゃあ…ヴォルが暖めてくれ…」
寒さなのか、それとも恥ずかしさなのかはわからないが、顔を赤らめながら、尻尾をゆらゆらと動かしている
そのまま暖を取るため、あったかくもふもふなヴォルフに抱きついた
冬毛の毛皮、もふもふであったかくて触り心地がいい
特に胸は毛が多く、服の上からでもついつい埋めたくなってしまう
寒くならないよう、大きくあったかい白い尻尾をノワールの体に巻きつけ、顔を触った
ヴォルフ「ノワ、鼻冷たい…狼の姿になってあっためたほうがいい…?」
ノワール「狼…ヴォルの狼姿…なってくれるなら…」
ヴォルフ「うん…!…少しまってて、魔力を込めるから…っ」
体に魔力をため、狼の姿になった
純白で美しく、神々しい狼の姿
紅い目と傷跡が獣人姿よりも目立つその姿は、恐ろしさもあるような、または幻想的にも見える
真っ白で耳が大きく、獣人姿に比べて体毛が少し長い
体も大きく、立ち上がれば獣人姿と同じ身長になる
狼の姿でも言葉を喋れるが、四つ足のため物を掴むなどは難しい
押し倒すように抱きつき、尻尾を振り続けている
ヴォルフ「ノワっ!…これで寒くない?」
ノワール「うぁ…?!おいっ…いきなり抱きつくなよ…まぁ寒くはないけど…もふもふ…」
その感触はずっと触りたいくらい気持ちよく、すぐに抱きしめてしまう
ヴォルフ「あっ…ごめん…つい癖で…ノワも狼の姿にならないの…?楽しいよ…!」
ノワール「狼の姿というより犬の姿だけどな…まぁ、ヴォルが見たいっていうなら…」
同じように魔力を込め、狼の姿になった
ノワールは狼獣人と犬獣人のハーフ
そのためこの姿は狼犬の姿とも言える、全身は漆黒の如く黒い毛で、お腹側や顔や尻尾の下半分側などは暗めの灰色
蒼い目がいつもより目立ち、暗闇に溶けてしまいそうな姿だ
冬毛とはいえ、ヴォルフに比べて少しスッキリしているが
狼獣人の血も入っているため、体はヴォルフと同じくらいの大きさだ
その姿に見惚れてしまい、思わず尻尾を振り、体に鼻を埋めた
ヴォルフ「ノワの狼姿かっこいいよ!…大好きな姿…!」
ノワール「…ヴォルの方がかっこいいだろ…ありがとう…」恥ずかしながら
ヴォルフ「この姿なんだから、ノワともっと…くっ付きたいな…その方が暖かくなるし…いい…?」
ノワール「…そうだな…んっ…やっぱヴォルの体あったかい」
白いもふもふな体に自分の黒い体をひっつけさせ、体温を共有した
あったかくて、優しくて、大好きな匂いがいつもより感じる
狼の姿だからなのか、いつもと違った感触で、この姿を維持するために魔力を使っているため、普段より魔力を感じやすい
2人は鼻同士をひっつけさせ、オオカミ科流の挨拶を交わした後、ヴォルフは雪で遊ぼうと誘った
ヴォルフ「ノワもあったかいよ、ノワ…子供みたいって思うかもしれないけど…ノワと一緒に雪の中走り回りたい…!」
ノワール「雪の中って…子供じゃないんだから…でも久々に走るのもいいな」
ヴォルフ「やった…!じゃあ、あそこの木まで走ろう!どっちが速いか競走しよ!」
ノワール「わかったから、そんなにはしゃぐなって…!…っ…」(ヴォルは雪が降るといつもこうなるんだから、まぁ俺も同じようなものだが…)
ヴォルフとノワールは王族時代の頃は、大好きな雪の日に遊ぶ事はあまりなかった
遊び盛りな13歳の頃など、まだ魔力の不安定さや体調の変化に対応できず
寒さで体を壊さないようにと、ヴォルフは部屋の中で雪が降っても眺めているだけが多かった
ノワールもヴォルフのそばにいるため、一緒に部屋にいる事が多かった
歳を重ねるにつれて、体調不良になる事は少なくなってきたが、それでも雪が降る時期に遊ぶ事は周りの目などを気にして出来なかった
でも今は違う、王族でも側近でもない、ただ自由に暮らす獣人
2人は大好きなパートナーと一緒に狼の姿になり
疲れ果てるまで、時間を忘れてしまうまで、ずっと遊んで幸せな時間を共有できる
ヴォルフはプニプニな肉球でふかふかの雪を踏みながら、尻尾を振りテンションが上がっている
ヴォルフ「ノワ、早くしないと置いていくよ!雪ふかふか…」(ノワも楽しそうで良かった、あとであったかい飲み物出してあげよう)
ノワール「まてよっ!…寒いけど、楽しいな…!」
寒がりながらも久々の雪で気分が上がり、楽しんでいる
2人は微笑み、楽しい声を出しながら、仲良く走っている
途中まではヴォルフの方が先頭だったが、すぐにノワールが追いつき、競走の結果ノワールが勝った
ノワール「よしっ!俺の勝ちだ!ヴォル、遅いな…はぁ…はぁ…」
ヴォルフ「ノワっ!待ってよっ…!はぁっ…ノワ早いって」
ノワール「ヴォルが遅いだけだよ、ふぅ…楽しいなぁ」
ヴォルフ「楽しいね…ノワ、雪かきしたら部屋の中であったかくしよう」
ノワール「あぁ、そうだなぁ…でもまだヴォルとこの姿で身を寄せたい…」
ヴォルフ「僕も…このままノワにひっつきたい…んっ…ノワもあったかい…」
黒い体に身を寄せ、寒さと心をあっためるために体温を共有した
ふわふわでもふもふな毛、耳が大きいせいかすぐに寒くなってしまうが
鼻先をノワールの胸に埋めて暖をとっている
ノワール「ヴォル…っ…くすぐったい…!…俺も同じようにしてやる…!」笑いながら
白い横腹あたりに顔を埋め、暖めた
ヴォルフ「ノワっ…くすぐったいって…!…んっ…雪冷たいっ…」
笑いながら、尻尾を振り黒い体についた雪を綺麗にするように舐め、首元あたりに甘噛みをした
くすぐったいのかノワールは体をブルブル振るわせ、雪を振り払った
ノワール「もうっ…ヴォルっ…んっ…お返しだ…!」
さっきのお返しをするように、ヴォルフの体についた雪を舐め
そのまま甘噛みをしたりなど、戯れあった
こんな子供っぽい事で笑い合い、楽しい時間を過ごした
数十分の間、2人はまるで幼少期に戻ったかのようにはしゃぎ
2人だけの時間を楽しんだ後、雪かきをする前に遠吠えをしたいとヴォルフは提案した
ヴォルフ「ノワ、雪かきする前に遠吠えしない?…たまにはノワと共鳴したい…」
ノワール「いいよ…遠吠えしよう、俺の声聞いてほしい」
ヴォルフ「うん…僕もノワに声聞いてほしいし…一緒に遠吠えしよ…」
2人は向かい合い、遠吠えをした
ノワール「ワォー…ン…ワォーーン」
ヴォルフ「ウォーーン…ワォーン…」
大好きだよと、愛しているって、ずっとずっと、永遠にこの気持ちは変わらないよと
この森の中に響く遠吠えと共に、変わる事もない気持ちを伝えた
その後、何度か遠吠えをした後はそろそろ雪かきをしようと、2人は体についた雪や土をブルブルっと震わせて、汚れを落とした
ノワール「よっと…そろそろ戻って雪かきするか!」
ヴォルフ「うんっ!…っ…狼の姿で走り回るのも…遠吠えするのも楽しかった」
獣人姿に戻った2人は屋敷の周りに積もった雪を除雪して
屋敷の中へと戻っていった
屋敷
2人は暖房の前でソファに座り温かい飲み物を飲みながら、他愛のない話をしている
ヴォルフ「あったかい、ノワ寒くない?」
ノワール「寒くないよ、ヴォル、少しこっちに来て」
大好きな番のそばにより、身を預けるように顔を肩に乗せた
ヴォルフ「うん…ノワ、昔は雪が降るといっつも部屋に引きこもっていたよね」
ノワール「そりゃあ寒いから、引きこもるに決まっているだろ…」
ヴォルフ「前に僕が雪の日に無理に外に連れ出した時、ノワ、嫌がりながらも少し嬉しそうだったよね」
ノワール「あったな…で、そのあと2人して風邪引いたな」クスッと笑いながら
2人は不老不死になって間もない頃、大雪の日に外で遊び、風邪気味になった事があった
不老不死とはいえ、まだ慣れてない頃だったため
その頃は今よりも魔力変化や温度差などで体調を崩しやすく、怪我も治りにくかった時期だった
そんな遠い昔の事を思い出し、懐かしさもあるような表情をしながら、少し甘酸っぱい思い出話をしている
ヴォルフ「あったね…あの時、ノワには悪いことしたなって思ってる…」
ノワール「でもあの時、俺はヴォルと遊べて楽しかったって思ってた…それに不老不死になった後だし、風邪も1日で治ったから…そんなに悪くない思い出だよ」
ヴォルフ「僕はあの時、罪悪感を感じてた…不老不死とはいえ風邪引いちゃうし…」耳を下げている
ノワール「あんまり気に病むな、それにもう若い頃の話なんだし…ヴォルの方こそ昔から風邪ひきやすかったんだから」
ヴォルフ「うん…僕は耳が大きいから、他のスノータイプよりは寒さに弱かったからね…でも今はもう風邪引いたりしないし、安心して…」
ノワール「ヴォルは耳が大きいからな…でもヴォルの大きい耳も大好き」
ヴォルフ「僕も…ノワの少し小さい耳…大好き…ノワはもう風邪引かないよね…?」
ノワール「俺も…もう風邪ひかないよ…不老不死だし…それにこうやってヴォルが暖めてくれるし」目を細め、微笑みながら
ヴォルフ「僕の毛はふわふわだから…ノワ、寒くないようハグしてあげる」
白い手で大好きな番に抱きついた
ふわふわな尻尾をノワールの体に巻き付くように
黒い尻尾も応えるようにヴォルフに巻き付けている
2人は体温がよく伝わるよう、体をひっつけ暖をとっている
ノワール「ヴォル、あったかい…んっ…」
ヴォルフ「んっ…ノワもあったかいよ…明日も雪で遊ばない?」
ノワール「明日も…?…いいよ、明日も明後日も飽きるまで遊ぼう」
ヴォルフ「うん、寒かったら僕が暖めてあげるからね」
ノワール「その時は頼むよ、俺も寒かったら暖めてあげるよ」
そう話しながら、明日したい事や今日楽しかった事などを話して夕方まで過ごした
その晩、2人はあったかい夕食を食べ、暖かい部屋で身を寄せ合いながら体も、心も暖めあった
2人は冬が終わるまでの間、雪を楽しんだ




