特殊
一部の過去描写に暴力シーンなどがあります
ヴォルフは元王族の血筋、スノータイプの狼獣人であり、その純白の毛が特徴的だ
ただスノータイプには紅い目はいない
ヴォルフは髪はシルバーカラーのため、アルビノではないにも関わらず紅い目をしている
王族時代の頃、周りからは奇妙だと遠ざかれていた
この紅い目のせいで誰も近寄られずに、常にひとりぼっちでいたが
10歳の頃にノワールと出会い唯一の友達であり、今では信頼できる大切なパートナーだ
ノワールは屋敷の中にある、事務室で魔法書を探していた
ノワール「魔法書ここにないな……ん?…この本は…?」
古びた本を手に取ったノワール、その本は狼獣人について詳しく載っている本だった
ノワール「この本…狼獣人…スノータイプのことが書かれている…まぁ暇だし読んでみるか」
ノワールはソファに腰をかけ、本を読んだ
内容は狼獣人の特徴、地域による毛色や体格、文化の違いなど
もちろんスノータイプのことも書かれている
ノワール「スノータイプ…白い毛が特徴の狼獣人……寿命は130年ほど…様々な目の色を持つが、紅目はいない…だが稀に一部の特定の血筋には、紅い目をもった個体が生まれる事もあると噂されている…王族の事か…?…」
本の内容はこう書いてあった
紅い目を持った個体は他の個体より、魔力が多く特殊な魔法が使えると言われている
時に感情が高まれば周りを破壊するほど、暴走する事も
ノワール「特殊な魔法…あの魔法か…?」
純白の毛に紅い目、その姿は美しくもあり、不気味でもあり恐怖を感じる事も
ただメスの獣人は10年を超えることなく、命を落としてしまうほど短命だ
オスの獣人も短命であるが、20年ほどしか生きられない
このような短い命で、突然変異のような存在
子孫を残す機能は成獣になっても、体質の問題、魔力の多さなどで機能はない
紅い目のスノータイプは一代のみで終わるとされている
そのため今ではこのような個体がおらず、幻のような扱いで噂されている
ノワール「……短命…体質…そして暴走…まぁ…そうだよな…あの時の…ヴォルは俺ですら止められなかった…」
ヴォルフは過去に暴走をした事がある
不老不死になった後とはいえ、ノワールがあの国の王族に捕まり危険な目にあった時
ヴォルフは魔法を使い、ノワールを助けた
だがその時は相手の獣人が重傷を負うほど、悲惨で周りの草木を焼き切るほどに
2人が不老不死になり10年が経った頃
あの国に2人のことが知られた、不老不死ということを
王族は不老不死の体は価値が高いと、欲に溺れた王族はその力を手に入れるため、ヴォルフとノワールを捉えた
本当に不老不死なのかを確かめるため、ノワールの首に剣を立てた
切られる瞬間ヴォルフは魔法を使った
青い炎を剣のように作り出し、腕に目掛けて攻撃をした
『汚い手でノワに触れないで…!!』
王族は怯んだ、全身青い炎に包まれ熱さよりも魔力を奪われていた
追い打ちをかけるように魔法を唱えるヴォルフ
でも相手はもう闘う体力もないようだ
ノワールはすぐさまヴォルフの元へ向かい、もう戦わなくていいと必死に抑えていた
『ヴォル…もういい…これ以上はダメだ…』
まるであの時は我を失って苦しんでいるようだった
幸いにも誰の命を奪う事はなかったが、それでもあの魔力は、魔法は普通の獣人では扱えないものだった
王族はもうこれ以上2人に関わらないと誓い、去っていった
最後に『やはりお前は異質だ』と言いながら
その後のヴォルフはこの魔法を怖がり、それ以降使う事はなかった
ノワール「あの時は不老不死の影響だと思ったが…まさか生まれ持った力だったとはな…まぁ俺も似たようなものだけど…」
その頃ヴォルフは事務室に入ろうとしていた
ヴォルフ「この本戻しとかないとな、ん?ノワの匂いがする…ここにいるのかな」ガチャ
ノワールはヴォルフが入ってきた事に、驚き尻尾をあげた
ノワール「ヴォル?!…いきなり入ってくるなよ…びっくりするだろ…」
ヴォルフ「そんなにびっくりするほど?…この本戻そうと思っていて…ノワはここで何していたの?」
ノワール「俺は魔法書を読みに…って…ヴォルが持っていたのか…」ヴォルフが持っている本を見ている
ヴォルフ「あ、この本?ノワも読むんなら言ってよ、一緒に読んでいたのに…」
ヴォルフはソファに腰をかけ、ノワールが読んでいる本を覗き込んだ
ヴォルフ「ノワにしては珍しく、狼獣人の本を読んでいるんだね」
ノワール「暇だったからな、それにスノータイプのことも知りたいし」
ヴォルフ「そんなの僕が教えるのに…その本、紅い目の事も書かれているよね…特殊な魔法とか…暴走とかも…どうせただの作り話だよ…」
ノワール「まぁ…そうだよな…ヴォルは10歳を過ぎても生きていたし…子孫を残せないって書いてあったが、そんなものはメス同士の…俺らには関係ないからな…」
ヴォルフ「うん…不老不死になる前は20歳まで生きていたし…魔力も安定していた…あの頃も蒼い月には反応するけど、子孫を残す気もなかったし…それに不老不死の今、そんな機能もなくなった…だから迷信だよ」
ノワール「そうだな…こんなもの迷信だ、誰かが作った創作だよ…きっと……でも…もうあんな姿のヴォルは見たくない…」
ヴォルフ「もうあの魔法は使わないから…僕は大丈夫だから…力の制御もできるよ…」
ノワール「うん…もしヴォルに何かあっても俺が守るからな…」
ヴォルフ「その時は守ってね……ノワも…暴走はしないで…あの時のノワ、ノワじゃない気がしたから…」
ノワール「俺も大丈夫だ、理性は保てる…それにヴォルがいるから」
ヴォルフ「そうだよね…もし何かあったときは僕が守るから……んっ…ノワの匂い…落ち着く…」
ヴォルフはノワールの胸に顔を埋めた
ノワールは優しく抱きしめ、頭を撫でた
2人はしばらくの間、雑談をして夕食まで時間を潰した
その後夕食を終え、部屋へと戻っていった
あの時のノワールは数年前、ある組織に狙われていた時
ヴォルフを人質にされた
必死に探し、見つけた時には傷だらけで弱っていたヴォルフ
ノワールはすぐさまヴォルフを魔力補給に治癒魔法をかけた
こんな事をしたあの組織の幹部に闇魔法を使った
黒く、赤と青の混ざった魔法を放った
『ヴォルを傷つけた奴は許さない…!!』
幹部はその魔法が普通じゃないと察知したのだろう
結界を張ったが、もう遅い
魔法が直にあたり、倒れ意識を失っていた
魔力が減っていくのを感じ取りながら
だがノワールは暴走し魔法を唱え続けた
ヴォルフは傷だらけの体を支えながら必死に止めた
『ノワ、僕は大丈夫だから…もう魔法つかなくていいから…!』
ノワールは正気に戻りヴォルフを抱えその場をさった
常に体の周りには黒いオーブが漂っており、ノワールは苦しんでいた
ヴォルフほどの力ではないが、暴走をしたノワールは簡単に命を奪える
その後あの組織がどうなったかは知らない
2人は部屋に入ってすぐにベットへと入った
朝の依頼で疲れているようで、ヴォルフはノワールに抱きついた
ヴォルフ「ノワの体あったかい…ノワは…あの本を…紅い目の事を見て…どう思った…?」
ノワール「どう思ったって…別にヴォルへの見方が変わるわけじゃないし、短命も魔力の事も…今は関係ない…」
ヴォルフ「うん…今は関係ない事…でもあの頃は…僕は少し気にしてた…特に魔力の事とか…」
ノワール「…魔力は…ヴォルは少し多いだけだよ…俺だって不安定な時もあったし…」
ヴォルフ「今は気にしてないから大丈夫…昔は…その歳にしては魔力が多いって…色々言われたから…」
ノワール「魔力なんて個人差があるよ…あの頃は…使用人らは魔力の影響で、ヴォルに子孫を残せない事を言っていたが、そんなの個人差があるしな…」
ヴォルフ「うん…でも僕は養子だったし、あの頃の王族はそんなの期待していないのも知っていたら…特に気にしてなかったから…安心して…」
ノワール「あぁ…成獣になってからは嫌味のように言われていたが…メス同士の番にそんな事を言っても意味ないのにな…」
ヴォルフ「そもそもメス同士じゃできない事なのに…それに大事なところも魔力のためにあるんだし、自分にとって機能が全くないわけじゃない」
ノワール「そうだな…大事なところは魔力のためだな、俺も不老不死の影響で子孫を残す機能もない…俺はヴォルがいればいい…」
ヴォルフを抱きしめ、お腹あたりをさすった
黒く暖かい手で優しく撫でてくれて、疲れが癒やされていく
ヴォルフ「うん…僕もノワがいればいい…メス同士なんだから、関係ない事…」
ヴォルフもお返しにと、白い手でノワールのお腹を撫でた
柔らかい毛で優しくさすってくれて、触り心地がいい
2人はさらに近づき、白い毛と黒い毛が密着するくらいまで身を寄せた
ノワール「うん…こんなの後遺症にもならないな…明日は大事なところで…魔力たくさん分けてあげるよ」
ヴォルフ「僕も魔力分けるよ…たくさん…血もいっぱい吸ってね…」
ノワール「血もたくさん吸うよ…俺はヴォルと2人きりが一番の幸せだ」
ヴォルフ「僕もノワと2人きりで暮らすのが1番の幸せ」
2人はお互いの顔を見つめ、他愛のない会話をした
そろそろ眠くなった頃に、目を瞑り就寝をとった
ヴォルフは特殊な狼獣人だ
本気を出した力は恐ろしく、大切なパートナーのためならどんな者でも容赦はしない
またノワールも少々特殊なハーフ獣人である
ハーフであるため、魔力が不安定で数少ない闇魔法が使える
その力はヴォルフほどではないが、それでも一般の獣人とは比べ物にならないほど、強く
感情が昂れば自分を制御できなくなる
大切なパートナーが目の前で危険な目にあおうとなれば、その力を使い誰であろうと手加減はしない
この2人の力が不老不死の影響なのかは不明だ
ただ間違いなく不老不死になる前から、普通の獣人より魔力が強い
それは他人から見てわかるものではなかった
そのため2人は王族時代の時は特に魔力について触れられなかった
2人の特殊な魔法は感情の昂りにより発動する魔法
条件が揃えば逃亡前に城を滅ぼさせていた可能性もあったかもしれない
2人はこの力を、この魔法を使わないようにした




