ヴァルガシア国の王族⑦
翌日
ヴォルフとノワールは日が昇る前に、目が覚めてしまった
ヴォルフ「…まだ四時半…早く起きすぎた…というか寝れない…ノワは…」
ノワール「……ヴォルも起きたのか…?…俺も早く目が覚めてしまった…」
ヴォルフ「昨日は色々あったからね……ブランシュ…あの子は王族って言っていたし…僕の親戚ってことになるのかな…」
ノワール「そうなるんだと思う…オオカミ科の獣人は家族…群れの絆が深いけど…ヴォルはブランシュのこと…どう思っている?」
ヴォルフ「僕としてはまだ初対面だし、群れの一員って感じではないけど…まだあの子達は若いし、苦労はしてほしくない…」
ノワール「そうか…俺もあの子達を見ると、このまま差別も受けないで、自由に暮らしてほしいと思ってしまう…ノーザンもブランシュと変わらなさそうな年に見えるし、多分小さい時から一緒なんだろうな…」
ヴォルフ「うん…当時の王族がしたことは許されない行為だった…でも今の子孫は関係ない、僕とノワに危害を加えようとも見えないし、罪もない子孫に復讐をしたいとは僕は思わない」
ノワール「俺も同じだ…罪のない者に復讐をしたところで何もならない、そんな事をすれば当時の王族と同じになってしまうからな…」
ヴォルフ「そうだね……っ…と…まだ早いけど、もう起きようかな」体を起こす
ノワール「うん…俺ももう起きるよ」
同じように体を起こし、二人は朝の支度をした
日が上り、ブランシュとノーザンも起床し、支度を済ませた後は客間に向かった
客間
ブランシュ達は二人に話をしている
ブランシュ「あの、昨日の返事は…どうでしょうか…?」
ヴォルフ「私達のことだが、まぁ…いずれバレるだろうし、王族に不老不死の事を話していいよ…」
ノワール「…今のあの国は変わっているようだしな…それにお前らの事を受け入れているようだし、私達のことを知られても連れ戻しにはこないだろう…」
ブランシュ「はい!お二人のこと、王族にもお伝えします」
ノーザン「今の王族はとても素晴らしい方々ですので、昔のような偏見や差別をする方はいません。いずれ…」
言いかけていたところ、ブランシュはノーザンの耳にマズルを近づけ、小声で話した
ブランシュ「ノーザン、ここは私が言うわ」
ブランシュ「ヴォルフ様、ノワール様。今すぐにとは言いません。いつか、私の国へ、ヴァルガシア国へと来ませんか?」
その言葉にヴォルフとノワールは少し尻尾を立て、驚いているが
すぐにいつもの表情へと戻り、落ち着いた声で答えた
ヴォルフ「…いつか…な…だがすぐには行かない、私にも心の準備というものがあるからな…その時はノワールも一緒に…」
ノワール「あぁ、ヴォルフと一緒なら行くよ。もうあの国でハーフへの差別もなさそうだし…」
ブランシュ、ノーザン「いつでもお待ちしています!」笑顔で尻尾を振りながら
数十分の間、今の国のことや王族のことを話しており
ブランシュとノーザンが国へと戻るため、ヴォルフとノワールは途中まで見送った
ブランシュ「あとは私たちで帰れますので、お見送りありがとうございます」
ノーザン「ありがとうございます」
ヴォルフ「これくらい、いいよ…今の王族達には私達のことを伝えてくれ、ただ王族としてではなくヴォルフとノワールとしてお願いするよ。もう私はただのヴォルフで、ノワールの番だから」
ノワール「もう私は側近のノワールではないからな、ただの何でも屋のノワールであり、ヴォルフの番だからな」
ブランシュ「はい!姉上にもそう伝えておきますね!」
ノーザン「では、私たちはこれで」
二人はは城へ戻るために馬車に乗って行った
ヴォルフとノワールも自分達の住処、屋敷へと帰っていった
屋敷ではレイ、ルナ、レオに昨日のことを話しており
あの人物は王族であったこと、もしまた会っても警戒しなくていいと伝えた
3人は驚いていたが、そんな人物に無礼な態度をとってしまい、心配していた
だが、ブランシュとノーザンは特に気にしていない様子だったと話した
『あの子達は特に何も言ってなかったから、心配しなくて大丈夫だよ』
『また会いに行くかもって言っていたから、その時はよろしくな』
3人はほっと胸をなでおろした
今後の依頼や休暇の予定などを話したあと、ヴォルフとノワールは部屋へと戻っていった
部屋
ヴォルフはベットの上に座り、ノワールに抱きついた
ヴォルフ「ノワ…今日はずっとそばにいたい…いいかな?」
ノワール「いいよ…俺もそばにいたいし。それに色々と疲れているだろ、しばらくは休もう」
ヴォルフ「うん…ブランシュとノーザン…悪い子ではなかったけど、それでも王族ってだけで話すのは疲れる…」
ノワール「王族…本当にあの頃とは、変わっているようだったな…そういえばあの二人、不老不死と言っていたが、王族は知っているのだろうか…」
ヴォルフ「どうだろう…でもあの感じだと知ってそうだね…僕とノワールの事も知られるだろうし。そのうち会うだろうから、その時に聞いてみよう」
ノワール「うん…ヴォルは今のあの国に行ってみたいって思う…?」
ヴォルフ「…どうだろう…まだわからない…不安はまだある…でもあの国も変わっているんだから、僕も変わらないと…」
耳を下げながら、少し震え気味の声で話した
ノワールはヴォルフの胸に顔を埋めるような形で、抱きつき、手を握った
ノワール「ヴォルはあの頃に比べて十分変わっているよ…力だけじゃなく心も強くなった…」
ノワール「俺も不安はある…あの頃は差別とか色々あった、でもヴォルと一緒だったから耐えれた…だから、俺はヴォルと一緒ならどこにでもついていくよ」
ヴォルフはその顔を見つめ、目を合わせながら、落ち着いた声で伝えた
ヴォルフ「ノワ…うん、僕もノワと一緒ならどこへでもついていく。すぐには無理かもしれないけど、依頼が落ち着いたらあの国に行こうと思う…その時は…」
ノワール「その時はついていくよ、一緒に、ずっと…」
二人は見つめ合いながら、優しいキスをした
ヴォルフとノワールは数日間、依頼を休み、心と体を休めた
いつか、きっと遠くないうちに二人はヴァルガシア国に行く
もうあの頃とは違う、差別も偏見もない国へと変わった
同性同士の番も当たり前の存在で、メス獣人も弱い存在ではない
紅い目の事もきっと不気味な存在ではないと、思いたい
王族も二人のことを、不老不死で、かつて国から逃亡した、元王族と側近の事を受け入れてくれるだろう
いや、今はただのヴォルフとノワール、そんな二人を認めて、受け入れてくれるはずだと
そう思いながら、二人は普段通りの日常を過ごした




