ヴァルガシア国の王族④
翌日
ブランシュとノーザンは屋敷へと向かった
あの二人に不老不死の事を聞くため、本当に不死身なのか、あの魔法に後遺症があるのかを知るために
その頃ヴォルフとノワールは事務室で今後の事を相談している
もし、本当に王族だったら、自分たちを連れ戻そうとしているのか、仮に攻撃をされたらと、対策をするために
『ノワ、今日は外に出ない事にしよう、もしあの王族に見つかったら何をされるかわからない』
『そうだな…一応屋敷の外にも結界を貼っておこう』
『うん、僕も手伝うよ』
二人は事務室を後にし、警戒を高めながら、屋敷の外へと出た
屋敷の外
周りに結界を張るため、魔法陣を創り出し、意識を集中させ、魔力を高めた
ヴォルフ「……ノワ、僕はもうあの国には戻らない」ヴォルフ「ここが僕とノワールの住処であり大切な家。だから…たとえ、あの王族の子孫であろうとも容赦はしない」
ノワール「あぁ…ここが俺とヴォルフの居場所で、一緒に暮らす場所」
ノワール「俺も子孫だろうと、誰であろうとも、ヴォルを傷つける者は許さない」
ヴォルフ「うん、僕もノワを傷つける奴は許さない…っ…?!…」
話している途中、白い耳は立てており、何者かの気配を察知した
黒い耳も同じく何かを感じ取り、動かしながら警戒を高めた
何者かがこちらに来る、二人は剣を構えた
白い獣人と灰色の獣人がこちらに向かってくる
ブランシュとノーザンだ、二人は敵意がないように見せるため、穏やかな顔で近づいてきた
ブランシュ「あなた方がヴォルフ様とノワール様ですか?私達はあなたと話したくてこちらに…」
ヴォルフ「なぜ私の名前を知っている!?ここに何をしにきた?!あの服装…やっぱり貴様らはあの王族の者…!」
普段冷静な姿とは見違えるようなほど、声を荒げ牙を剥いた
体の周りには微かに魔力の粒子が浮かんでいる
ノワールもまた牙を出し、普段出さない唸り声をあげ、鋭く凍りつくような目で、二人を睨んだ
ノワール「王族だろうと関係ない!死にたくなければここから去れ!!」
ブランシュとノーザンはその威圧感を感じる、空気に怯みそうになるが、先にノーザンがゆっくりと二人に近づいた
ノーザン「ブランシュ様、ここは私が話をします…」
尻尾を垂らし、牙は見せず、敵意がないということを表しながら二人のことを知りたいと話した
ノーザン「ヴォルフ様、ノワール様、私は二人のことを知りたいと思い、ここまで来ました……なんだっ…」
そう話しかけた瞬間、魔物が現れた
それもかなり大きい魔物、角があり、大きい虎のような魔物だ
ヴォルフとノワールはすぐさま、そちらに視線を向け攻撃魔法を唱えた
ヴォルフ「なんでこういう時にっ…ぅ…ノワール、こいつらはどうする…?!…」
ノワール「ちっ…貴様らもさっさとここから去れ!お前らに話すことなどない!!」
魔物はブランシュ目掛けて噛みつこうとしたが、ノーザンはそれを剣で受け止め
そのまま振り払ったが、腕には深く怪我を負い、血が出ている
魔物は怯みながらも、唸り声をあげている
ノーザン「ブランシュ様…大丈夫ですか?!…ノワール様、私達はまだ去りませんよ…っ…お二人に話を聞くまでは…」
ブランシュ「ノーザン!!…っ…私は大丈夫ですので…あ…腕から血が…」
ヴォルフはブランシュの胸にある紋章を見つめ、低い声でつぶやいた
ヴォルフ「……あの紋章…やはりヴァルガシア国の王族か……」
怯んでいた魔物がノーザンを狙い、再度襲おうとしている
ブランシュはノーザンに治癒魔法をかけているため、魔物にはまだ気づいていない
あと一歩、攻撃を受ける瞬間、ヴォルフは二人を守るように攻撃を防いだ
防がれた事でここが危険と察知したか、それとも魔力に怯えたのか魔物は、逃げていった
ヴォルフ「うぅ…ふんっ…はぁ……貴様ら王族がここで死なれては困る…ここは魔物が多い、早く私の前から消えてくれ!!」
ブランシュ「いえ、私はここから退きません…私は二人に聞きたい事があってここにきました。だから私はなんとしてでもここにいます!」
ノーザン「私もブランシュ様と同じです。二人にしか聞けない事を聞くために、隣国からここへやって来ました…なので何としてでもここから退きません
」
その言葉にヴォルフとノワールは少し固まった、いや引いている様子だ
こんな真剣な顔をして、自分たちの事を聞こうとする意思、敵意を見せない姿勢、そしてその眼差しを
何が目的かもわからない、それでいて復讐をするようにも見えない
かと言って国に連れ戻そうとする雰囲気でもない
ノワールはヴォルフの元に行き、小声で二人をどうするか相談をしている
ノワール「ヴォル、こいつらどうする…?…あの紋章に白い見た目…どうみても王族だが、俺らに対する扱いがあまりにもおかしすぎる…このまま追い返すか?」小声
ヴォルフ「僕はこのまま追い返したい、子孫とはいえ王族には違いない。それに目的がわからない…僕らの事を知られたら何をされるか…」小声
そんなコソコソと話している中、ブランシュが話しかけてきた
ブランシュ「あの…私達は本当に怪しい者ではございませんので…それとヴォルフ様、あなたはヴァルガシア国の王族ですよね…?横におられる方も側近のノワール様なんですよね…?」
ヴォルフ「なんで…その事を…?…!…っ…」
ノワール「…………っ………なぜ…お前らがそのことを……」
二人はその場でお互いの手を強く握りしめた
白い毛も黒い毛も逆立て、牙を見せており、恐怖と怒りに満ちている
心臓の音がうるさい、二人は今にも倒れそうで、噛みつきそうな状態を耐えている
この獣人らに過酷を、かつての王族と側近である事を知られている
不老不死の今を、やはりこの力が目的なのかと
周りに魔力の粒子を纏わせ、いつでも魔法が撃てるように備えた
ヴォルフ「私は…私はもう…王族ではない…!!貴様らに話す事もないと言ったはずだ!これ以上…私とノワールに関わるというのなら、その命が消えてもいいという事だ!」
ノワール「私は……もう側近ではない…!なぜその事を知っている!?…たとえ王族だろうとも容赦はしない…!!」
剣を抜き、いつでも攻撃ができると威嚇した
その反応にブランシュとノーザンは圧倒されかけており、尻尾を巻き気味になってしまっているが
その恐怖を抑えながら、敵意がないことを必死で伝えた
ノーザン「私達はお二人に危害は加えません…!!…ですのでお話だけでも聞いてください…!!」
ブランシュ「私は確かに王族です…でも今日は王族としてではなくただの獣人として、ブランシュとしてお二人を伺いました…!なので少しだけでも私達のこと聞いてください…!!」
それは嘘偽りのない言葉だった
それに加えて、敵意がない事が匂いからでも感じ取れ、気持ちを察したのか、魔力を抑え、剣を腰に収めた
ヴォルフは紅く鋭い目で低く、少し震え気味な声で答えた
ヴォルフ「…何しに…ここへ来た…ブランシュ殿…ノーザン殿…」
ノワール「王族に…貴様らに話す事はないはずだ…それともなんだ…ただの茶化しに来たのか…?」
声も震えており、蒼い瞳は刺すような目をしていた
ブランシュとノーザンは警戒をされないよう、トーンを落とし、落ち着きのある声で話した
ブランシュ「お二人に話を…不老不死の事を知りたくてここへ来ました」
ノーザン「不老不死の力の事も…その後遺症のことも知りたくて、お二人に…」
その声は敵意がない事がわかる、だが不老不死という言葉が引っかかるため
ヴォルフとノワールは不老不死の事を知られないためにも、嘘をついた
そんなものは知らないと、何故自分たちに関係があるのだと
ヴォルフ「不老不死…?…私はそんなものは知らない、なぜ私が知っていると思っているんだ…?私は…ただの獣人だ…」
ノワール「不老不死……なぜそれが貴様に関係する…私達はそんなものは知らない…もういいだろ……ん?…」
鼻に水が当たるのを感じた時、ぽつり、ぽつり、と突然の雨が降り出した
その粒は次第に強く、雷も鳴り始めた
ヴォルフ「……雨…ここで話すのもなんだ…あとは屋敷で話を聞く…ノワールも屋敷に入れるくらい、大丈夫だろ…?」
ノワール「…あぁ…それにさっきみたいに魔物が来ても困る…」
ブランシュ、ノーザン「いいのですか…?」
ノワール「いいと言っている…お前も…ノーザン殿の怪我も見てやらないとな……ん??…」ノーザンの腕を見ながら
ノーザンはすでに怪我が治っており、傷跡もなくまるで何もなかったような状態になっている
それが違和感に感じたのか、警戒をした
ノワール「ノーザン…貴様は何者なんだ…それにブランシュ…お前もよく見たら魔力がおかしい…王族とはいえそこまでの魔力はないはずだ…」
ヴォルフ「…ノワール、この者の話はあとで聞こう…雨もひどくなっているし、早く戻ろう」
ノワール「そうだな…」
二人は屋敷へと戻っていき、ノーザンとブランシュは内心驚いているが、平常心を装い二人についていった




