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過去編 禁断の魔法 前半

この話は2人がまだ不老不死になってから15年後の話です

一部、重い描写があります

過去編 禁断の魔法 前半



不老不死になってから15年後


ヴォルフは事務室である本を読んでいた、その本はとある古本屋で購入した物で

内容は不老不死、禁断の魔法についての本だ

あの時から疑問に思っていた、なぜ自分はその魔法が使えたのか、あの時はノワールを助けたい一心で使った

希望を、奇跡を信じて、そして今、ノワールは生きている

もし、あの時使わなかったら、共に尽きていた可能性も、失敗をしていたら共に命が消えていた可能性もあった


ただあの時は使う事以外選択肢はなく、呪文を唱え魔力を全て注いだ

そして2人は永遠の命を得て、愛し合い、絆を愛を通わせている

ヴォルフ「禁断の魔法…この本古すぎて読めない…現代の本は嘘ばっかりだし…まぁ当たり前か…使う人なんていないし」

古すぎて読めない分厚い魔法書のようなものを読み、解読ができず頭を抱えている

そこへノワールが部屋に入ってきた

ノワール「ヴォル、ここにいたのか…探したよ、もう夜遅いし、そろそろ部屋に…ん?なんの本を読んでいるんだ?」

持っている本を見つめ、どういう本を読んでいるのか聞いてきた

ヴォルフはノワールの顔の方を向き、この本の説明をした

ヴォルフ「あ、ノワ…もうこんな時間か…禁断の魔法について調べていたんだ」

ノワール「なんでそんなものを?今更調べてもどうにも…」

ヴォルフ「そうだけど…15年前とはいえ、なんで僕にあの魔法が使えたのか気になって」

ノワール「なるほど、でもそんなの偶然か…それかヴォルの力が強かったからなんじゃない…?…そもそもこの魔法使おうとする人自体少ないし」

ヴォルフ「偶然か…確かに僕の力も関係しているかもしれないけど、調べれば調べるほど失敗例が多くて…いや成功例がほとんどないから…せいぜいあるのはこの魔法が作られた時だけ…」

ノワール「…成功例がない…そう考えるとあの時は奇跡のようなものか…」

ヴォルフ「本当に奇跡みたいなもの…それにこの魔法を作った獣人の情報も少ないし、本当に成功例があったのかもわからない…」

ノワール「確かに俺とヴォル以外の不老不死なんて見た事も聞いた事もないし、そもそもあの魔法自体謎が多い…」

ヴォルフ「だから調べようって思って…正直考えたくないけど、もしかしたら失敗していた可能性だって…」

白い尻尾を下げ、不安な表情をしている

考えたくもない仮説だが、もしかしたらがあったらと恐怖で押しつぶされそうになる


それはノワールも同じで、もしあの時意識を失っていたらと思うと不安でたまらなくなる

ノワール「あまり考えたくないな…あの時は必死に傷跡を押さえながら、治癒魔法使っていたし…絶対にヴォルを失いたくなかった…」

ヴォルフ「…僕も…何がなんでもノワを失いたくないから、ずっとノワに魔法かけて…それであの魔法を思い出して、即座に使った…」

2人はあの時大切な番を失いたくない一心で治癒魔法や回復魔法を使っていた


ヴォルフは自分の持てる魔力を与え続け、ノワールは傷を塞ぐために治癒魔法を自分に、そして胸に傷を負っていたヴォルフにもかけていた


ただノワールは重症のためか、治りが遅く意識を失いかけていたが

そこでヴォルフは禁断の魔法を使い、ノワールは傷も魔力も回復し、ヴォルフには一生消えない傷痕とかなり魔力を消費した


そんな 15年前の事を思い出しながら、2人はお互いの手を強く握り

今のこの生きている体温を共有した

ノワール「…でも今は俺もヴォルも生きている…もしもの話なんて過ぎてからするものだし、今もこの先の永遠を大切に過ごそう…」

ヴォルフ「うん…もしもの話なんて過ぎてからじゃないとできないし、今もこの先も大切にしよう…ちょっと気になって調べていただけだよ…」

ノワール「うん…あ、そういえば禁断の魔法について、その本にはなんて書いてあったんだ?」

ヴォルフ「この本?古すぎてほとんど読めなくて…古代文字とか詳しくないし…」

ノワール「古代文字か…少しなら読めるし、その本を貸してみて」

ヴォルフ「うん、でも古すぎて読めないと思うよ」

白い手に持っていた本を黒い手に渡した

ノワール「本当に古いな、紙もボロボロ…流石に読めない…ん?…ここのところは…そういうことか…」

少し驚く表情をしている、どうやら少しだけ内容がわかるようだ

ヴォルフ「ノワ、なんて書いてあったの…?」

ノワール「あ…いや…正しいのかは分からないが、ここに王族のみ使える魔法と書いてあるんだ」本に指を差しながら

ヴォルフ「王族のみが使える魔法…確かにこの魔法は魔力をかなり使う魔法だったけど…」

ノワール「古いから真偽は不明だが…だがこれが本当なら失敗例が多い理由もわかる…」

ヴォルフ「王族…確かに一般の獣人が使ったら失敗するだろうし…じゃあ僕が使えたのは王族だったから…」

ノワール「あの国の…王族の血統は特殊だからな…でもヴォルは元々魔力が多い体質だし、王族だからと言って必ず成功するわけじゃない…この本にも王族での失敗例も書いてあるし…」

ヴォルフ「…まぁ王族でも成功するわけじゃなさそうだし…でもこの魔法を作ったのは一体…」

ノワール「あの国の王族…それも国王だ…ここにそう書いてある…」

ヴォルフ「国王か…あの国の王になる者なら、蘇生魔法を作れそうだ…他に何か載ってない…?」

ノワール「他は…あ…その情報がここにも載っている…それも日記?のような感じだ」

ヴォルフ「日記…?その部分のところノワは読める…?」

ノワール「読めるが、俺の翻訳が合っているかどうかは…」

ヴォルフ「それでもいいから、読んでみて…この魔法を作ったきっかけを知りたい」

ノワール「あぁ…俺も知りたいし、読み上げるよ…禁断の魔法…」

本の内容を読み上げたが

それはあまりにも多数の犠牲の中、成り立っている魔法のようで

残酷であり、それでも愛する番のためという強い気持ちが伝わっている



禁断の魔法、別名、蘇生魔法


私はこの魔法を作り出すことに成功した

愛する者を蘇らせるため、そのために研究をし続け、何人もの獣人を実験に使ってきた


この蘇生魔法には犠牲となる命が必要だ、もう準備はできている

ようやくこの魔法が使える、あぁ、愛しき番よ、今、この世に蘇り共に永遠に暮らそう


私は魔法を使った、愛する言葉を伝えながら、そして他者の魔力も命を使い、呪文を唱えた

そして番が生き返った、見た目もあの頃のまま

若く不死身で歳をとることなく、怪我も病気もすることなく、永遠に生き続けられる

番は再びこの世に戻れた事に喜んでいた

またあなたと暮らせて嬉しいと、私も嬉しい

愛する番と何年も、何十年も、何百年も、永遠に暮らせるのだから


ただ、番には特殊な症状が現れた

それは私の血を吸わなければならないという、まるで伝説上の吸血鬼のように

吸血をしなければ、我を失って暴れてしまう

仕方ない、死んでいる者を生き返らせるのだから、このような症状が現れてもおかしくはない

私も後遺症なのか、吸血をされない日が続くと体がだるくめまいがするようになった


それに加え、永遠の命と引き換えなのだろうか

王としての致命的な後遺症も残ってしまった

愛し合う日々が多いにも関わらず、子孫を残せる事がなくなってしまったようだ

永遠の時を生きる命には、王の血筋を広め、後世に残す必要はないという事なのか

それでも私たち2人にはそんな後遺症があろうとも、この先、永遠の時を、共に人生を歩んでいくと誓った



そう書いており、次のページからは破られた跡があり読めなくなってしまった

ノワール「……共に人生を歩んでいくと…そう書いてある…」

ヴォルフ「…僕達が使った状況は違えど、症状は同じだね…」

ノワール「だな…他者を犠牲にしてまで番を蘇らす…残酷で…重い愛だな…」

ヴォルフ「…重いね…でもあの時、僕は誰の命も犠牲にせず魔法は使えたけど…これも本当なのかな…」

ノワール「どうだろう…犠牲がないと成り立たないとは書いてないし…まぁ古い本だから、不明な事が多い…あまり深く考えない方がいい…」

ヴォルフ「うん…古いし、ページも破られていたから、どうせ誰かが書いた創作だろう…」

ノワール「不老不死の創作なんて世の中たくさんあるし、これもその一つだろうな…」

ヴォルフ「禁断の魔法なんて、どういった仕組みなのかも…誰も分からないし…」

ノワール「そうだな…ただこれは俺の仮説だけど、蘇生魔法には大量の魔力に…蘇生する者と蘇生させる者の愛とか…心が通じ合うから、使えるんじゃないかな…?」

仮説ではあるが、蘇生するには大量の魔力はもちろん、両者の愛する気持ちも大事だと


蘇生する者、蘇生される者の2人の気持ちが、心が一つになるからだと

何よりも失いたくない、その心を、魂を、離したくないから、ずっと永遠でもそばにいたい

という意志が強いから使えたのではないかと、ノワールは語っている


ヴォルフはその話を聞いて、頷き、自分も薄々感じていたと

魔力も必要だが、魔法は気持ちや心が影響するから、使えたのも納得できると話した

ヴォルフ「なるほど…確かに僕は魔力は大量に消費したし…魔法も心が大事だと言われるからな…心が一つにか…ノワはあの時、どういう気持ちだった…?」

ノワール「あの時…俺はヴォルを残して死にたくないと思っていた…意識もなんとか保とうと必死で、そこでヴォルが魔法を使ってくれて…俺も必死に応えるように願っていた…」

あの時はヴォルフを残して、絶対に死にたくない気持ちでいっぱいだった


そして微かに聞こえた声を、呪文を聞いて

すぐにそれが蘇生魔法だと気づき、薄れていく意識を保ちながら、心の底から願っていた

魔法が成功するようにと、生きたいという気持ちを強く祈っていた

そして意識も取り戻し、怪我も魔力も回復し、すぐさまヴォルフを抱きしめ、生きているこの瞬間を幸せに感じていた


そう語るノワールを見て、自分も同じ気持ちだったと話した

ヴォルフ「…僕もノワを死なせたくなくて…絶対にノワを助けたいと思って魔法を使った…僕の使える全てを捧げてまで…」

あの時は反応が薄れていくノワールを見て、絶対に死なせないという気持ちが強かった


どこかで見た蘇生魔法を、禁断の魔法を思い出し、死に物狂いで呪文を唱えながら、魔力を精一杯注いだ

涙でまともに見えず、傷が痛む中、生きてほしいと強く願っていた

そして次第に傷が塞がり、魔力も回復して意識が戻ってすぐにノワールを抱きしめた

生きているんだと、この瞬間を幸福に感じていた


その話を聞いて、お互いが信じたからこそ、今も生きていると話している

ノワール「ヴォル…そのおかげで今がある…お互いの気持ちを…心から信じていたからこそ、俺もヴォルも生きている」

ヴォルフ「うん…僕もノワも信じる気持ちが強かったから、愛する心があったから、今の…永遠の時がある」

ノワール「あぁ…本当に…あの時魔法が成功していてよかった…」

ヴォルフ「本当によかったよ…僕は体に傷が残っちゃったけど、ノワの命に比べたら全然だし…こうしてずっと一緒にいられるから…」

ノワール「吸血も悪くないし…ヴォルの血も他も全て美味しいし…愛し合う時も深く繋がれる…」

ヴォルフ「僕もノワの血も…他のも美味しくて大好き…それにノワの吸血、気持ちよくて好きだし…愛し合う時もノワのことしか考えられなくなる…」

2人は不老不死になってからはお互いの血も他の体液も甘く、魔力が豊富に含まれるようになった


これも魔法の影響なのかもわからない、ただ愛し合う時は深く相手のことしか頭になく

毎晩、2人だけの甘い時間を過ごしている

ノワール「俺もヴォルのことしか考えられなくなる…ヴォルの全てが甘くて…愛おしくて…大好き」

ヴォルフ「僕も…ノワの全部が大好きで、甘くてとろけそうで…愛している…ずっと一緒にいよう…」

ノワール「ずっと一緒にいよう…それに子孫を残せない体でも俺らメス同士だし、関係ないな」

ヴォルフ「うん…そもそもメス同士に必要ない物だからね…」

ノワール「逆に魔力だけの機能になって嬉しいし、こんなの後遺症にもならないな…」

こんなものは後遺症にもならない、むしろ今は魔力に特化している


ただヴォルフは元々紅い目の影響もあり、不老不死になる前からも魔力だけの体質だった

ノワールは自覚はしていなかったが、不老不死の前から、元々魔力が不安定気味であり、それを補うためなのか、魔力に特化している体質だった

その影響か2人は不老不死になる前の体から、大事なところは魔力のために存在していた


メス同士の番である自分達には必要のない機能、だからむしろ魔力に特化していて良かったと思えた

そして不老不死になり、大事なところはさらに魔力中心の一部となり、より多くの魔力を貯め、全身へと注がれるようになった


そのため後遺症と言うほどもなく、むしろ魔力に特化してくれてよかったと2人はそう思っている

ヴォルフ「僕も大事なところが、魔力中心になって嬉しいし…ノワと永遠に2人きり…」

ノワール「俺も同じだ…ずっと…永遠に過ごそう…」

ヴォルフ「うん…永遠に何百年経っても…ずっと…一緒…」

ノワール「うん…ずっと…一緒……あ、もうこんな時間…そろそろ部屋に戻らないと」

ふと時計を見上げ、短い針はすでに11時を指していた

ヴォルフ「えっ…もうこんな時間…?…思ったより長く居座り過ぎた…明日朝から依頼があるから、早く寝ないと…」

ノワール「明日は牧場の手伝いがあったな…この本ここの本棚に入れとくよ」

ヴォルフ「うん、ノワ、僕の事愛してくれてありがとう…大好き」

ノワール「あぁ、ヴォルも俺を愛してくれてありがとう…大好き…んっ…」

2人は尻尾を巻き付け合い、キスをした

その後、移動中の間も愛を伝え合い、寝室へと戻っていった

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