第6話:リビングアーマー戦と理不尽な裏切り
四階層。
階段を登り切ると──石造りの闘技場のような空間。
円形の広間。天井が高く、観客席のような段差が周囲を囲んでいる。
「今度は闘技場か...」
翔が周囲を警戒する。
「嫌な予感がする...」
葵が呟く。
その時──。
広間の中央に、『それ』が現れた。
──鎧を纏った騎士。
いや、騎士ではない。中身が見えない。まるで鎧だけが動いているような、不気味な存在。
右手には大剣。左手には盾。全身を覆う漆黒の鎧は、傷一つない。
【リビングアーマー Lv10】
「レベル10...!」
俺たちは──蓮Lv6、翔Lv5、葵Lv4。
レベル差がある。
「やるしかない!」
リビングアーマーが、こちらに気づく。
ゆっくりと、こちらに向かって歩いてくる。
重い足音。ガシャン、ガシャン。
そして──突進してきた。
「速っ!」
三人が散る。
リビングアーマーの大剣が、地面を砕く。
石畳が粉々に。
「威力がヤバい...!」
その時──。
「おい!そっちの連中!」
声がした。
振り向くと、4人組の挑戦者が広間に入ってくる。
リーダーらしき男──30代前半、剣士。
【柊 誠 Lv9】
他3名も、Lv7〜8。
「協力しよう!一緒に倒そう!」
柊が提案する。
「...分かった!」
俺が頷く。
7人でリビングアーマーに挑む。
連携は、意外とスムーズだった。
柊グループが正面から引きつけ、俺たちが関節を狙う。
「膝の関節!」
「単調斬り!」
【反復回数:51回】
二連撃が、膝の裏を斬る。
ガキン、ガキン──。
まだ硬い。
「もっとだ!」
「疾風斬!」
【反復回数:52回】
五連撃が、同じ場所を襲う。
バキッ!
関節が砕ける。
「いいぞ!」
翔の槍が、肘の関節を貫く。
葵の氷魔法が、首の関節を凍らせる。
そして──。
柊の剣が、首の関節を両断する。
「やった!」
リビングアーマーが、崩れ落ちる。
【リビングアーマーを撃破しました】
【経験値を獲得しました】
「はぁ...はぁ...」
全員、息が荒い。
でも──勝った。
その時。
リビングアーマーの残骸から、何かが光った。
小さな、赤い石。
キラキラと美しく輝いている。
「これは...?」
俺が近づこうとする。
「待て!」
柊の声。
鋭い。
「それは俺たちのものだ!」
「え?」
俺が振り向くと──。
柊が、剣を抜いていた。
「でも、みんなで倒したんだから──」
「黙れ!渡せ!」
柊グループ全員が、武器を構える。
「!?」
「何なんだ、お前ら!」
翔が叫ぶ。
「お前らには関係ない!さっさと消えろ!」
柊が突進してくる。
「くそっ!」
俺が剣で受け止める。
ガギィン!
重い。
レベル差がある。
「翔!葵!」
「分かってる!」
三人で迎え撃つが──。
相手は4人。
しかも、レベルが高い。
「ぐっ...!」
翔が柊の剣で肩を斬られる。
血が噴き出す。
「翔!」
葵が氷魔法を撃つが、4人相手では手が回らない。
「このままじゃ...!」
「逃げるぞ!」
俺が叫ぶ。
「でも...!」
「いいから!」
三人で、広間の奥の扉に向かって走る。
「逃がすか!」
柊が追ってくる。
ギリギリで扉を抜ける。
螺旋階段。
駆け上がる。
「待て!」
柊の声が背後から聞こえる。
でも──。
階段を登ると、柊たちの足音が消えた。
「...追ってこない?」
「階層が違うと、追えないのか...?」
階段の途中で立ち止まる。
三人とも、息が荒い。
翔の肩から、血が流れている。
「くそ...何だったんだ、あいつら...」
翔が歯を食いしばる。
「あの石...そんなに価値があるの?」
葵が不安そうに聞く。
「分からない...でも、人を襲うほどのものだってことは...」
俺は拳を握りしめる。
「人間が...一番怖い...」
モンスターより、人間の方が怖い。
この塔が、人を狂わせているのか。
それとも──。
「...行こう。立ち止まってる暇はない」
翔の肩に、応急処置をする。
服を裂いて、包帯代わりに。
「ありがとな」
「次は、5階層だ」
負傷したまま。
でも、進むしかない。
俺たちは、階段を登り続けた。
文字数:約1,700字
主人公レベル:Lv6
到達階層:4階層クリア→5階層へ
スキル:『単調斬り』Lv5(二連撃)、『疾風斬』Lv1(五連撃)
反復回数:累計52回
状況:翔が負傷、柊グループに襲われ逃走
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