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第50話:謎の男との初共闘

勝てない。


四十二階層のボス——そう悟った瞬間は、戦闘開始から三十秒後だった。


【深淵の番人 Lv32】


これまでで、最も強い敵。


人型。だが——人間の三倍の大きさ。


全身が漆黒の装甲に覆われ、両手に巨大な戦斧を持っている。


戦斧が振り下ろされる。


ドゴォォォン!


床が砕ける。衝撃波が広間を揺らす。


「っ...!」


翔が吹き飛ばされる。壁に叩きつけられ、崩れ落ちた。


「翔!」


「...大丈夫だ...まだ動ける...」


翔が立ち上がる。だが——足元がふらついている。


「『氷結領域』!」


葵が氷の壁を展開する。


番人の戦斧が、氷の壁を叩く。


バキィィン!


一撃で砕けた。


「嘘...一撃で...!」


葵の顔が蒼白になる。魔力も底をつきかけている。


「『炎矢乱舞』!」


美咲が矢を放つ。全弾、番人の装甲に弾かれる。


「通じない...!」


「『時間加速斬』!」


俺が飛び込む。


スローモーションの中で、四連鎖を叩き込む。


ガギィン!ガギギギン!ズガァン!ドゴォン!


手応え——浅い。


装甲が厚すぎる。


反撃の戦斧が迫る。


避ける。床を転がる。


「まずい...」


歯を食いしばる。


四人の全力が——通じない。


番人が戦斧を振り上げる。


次の一撃が来る。


その時——。


広間の入口に、人影が現れた。


銀髪が、青白い光に揺れる。


「——!」


あの男だ。


男が、無言で番人に向かっていった。


その手に——剣がある。


いつから持っていたのか。見覚えのない、細身の剣。


男の足が、床を蹴った。


速い。


俺の時間加速斬よりも——速い。


一閃。


男の剣が、番人の装甲を斬った。


ズバァッ!


装甲が——裂けた。


俺たちの全力が通じなかった装甲が、一撃で。


「なっ...!」


翔が絶句する。


番人がよろめく。


男が二閃目。三閃目。


ズバッ!ズバッ!


番人の体に、次々と傷が刻まれていく。


圧倒的だった。


四人が今まで与えられなかったダメージを、男が一人で叩き出している。


「...行くぞ!」


俺が叫んだ。


呆然としている場合じゃない。


「翔!美咲!葵!」


「おう...!」


翔が槍を構え直す。


美咲が弓を引く。


葵が残った魔力を振り絞る。


男が番人の注意を引いている間に——四人が攻撃を重ねる。


共闘。


男と四人の、即席の連携。


男が装甲を斬り裂き、俺たちが傷口に攻撃を叩き込む。


「『四連鎖』!」


俺の四連鎖コンボが、男が開けた裂け目に突き刺さる。


ドゴォォォォン!


番人の体が——大きく傾いた。


「今だ!全員!」


翔の槍。葵の氷。美咲の矢。俺の崩壊斬。


四人の攻撃が、同時に番人を貫く。


ズドォォォォン!


【深淵の番人を撃破しました】


番人が崩れ落ちる。


広間に、静寂が戻った。


【反復回数:5,500回突破】


「はぁ...はぁ...」


全員が、荒い息を吐いている。


「ありがとう!名前くらい教えてくれよ」


翔が男に声をかける。


男は——振り返らなかった。


そのまま、広間を出ていく。


「待ってください」


俺が呼び止めようとする。


だが——男はもう、扉の向こうに消えていた。


足音すら聞こえない。


いつも、そうだ。


現れて、消える。


名前も告げず。理由も語らず。


だが——今回だけは違った。


あの男は、俺たちを助けた。


なぜだ。


答えは、男の背中に聞くしかない。


文字数:約2,800字


反復回数:累計5,500回突破(+500)


到達階層:42階層クリア


備考:【深淵の番人 Lv32】戦。四人では歯が立たない敵に、銀髪の男が参戦し初共闘。男の圧倒的な剣技を目の当たりにする。男は名前を告げず去る

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