第4話:二階層の森、新たな力
二階層。
階段を登り切ると──。
「え...森?」
葵が驚く。
塔の中とは思えない光景。
天井には青空が広がり、木々が生い茂っている。地面には草が生え、どこからか鳥のさえずりが聞こえる。
「塔の中に、こんな空間があるのか...」
「魔法か何かで作られてるのかもな」
翔が周囲を警戒する。
「気をつけろ。一階層より、敵が強くなってるはずだ」
「ああ」
三人で森の中を進む。
木々の間を抜け、獣道のような細い道を歩く。
静か。
鳥のさえずりと、風が木の葉を揺らす音だけ。
「...静かすぎないか?」
俺が呟く。
「確かに。敵の気配が...」
その時──。
ガサッ。
茂みが揺れた。
「っ!」
三人が身構える。
茂みから、『それ』が飛び出してきた。
──狼。
いや、狼より大きい。体長は二メートル近い。
漆黒の毛皮。赤く光る目。
【ダイアウルフ Lv5】
「レベル5...!」
俺たちはまだレベル3。
レベル差がある。
「ヤバい...」
ダイアウルフが、低く唸る。
そして──跳んだ。
「避けろ!」
三人が散る。
ダイアウルフが、さっきまで俺たちがいた場所に着地する。
地面が揺れる。
「速い...!」
ダイアウルフが、今度は翔を狙う。
「くそっ!」
翔が槍を構える。
「突撃槍!」
槍が、ダイアウルフに向かう。
しかし──。
ダイアウルフが空中で体を捻り、槍を避ける。
そして、そのまま翔の肩に噛みつく。
「ぐあっ!」
翔が吹き飛ばされる。
肩から血が噴き出す。
「翔!」
「くそ...こいつ、ゴブリンとは格が違う...!」
ダイアウルフが、今度は俺を狙う。
「来るか...!」
剣を構える。
ダイアウルフが跳ぶ。
「単調斬り!」
【反復回数:24回】
剣を振る。
しかし──空を切った。
ダイアウルフが、俺の剣を避けながら前脚で俺を殴りつける。
「がっ!」
吹き飛ばされる。
背中を木に激突。
肺から空気が抜ける。
「つっ...痛い...!」
立ち上がる。
ダイアウルフが、再びこちらに向かってくる。
「氷結魔法!」
葵の魔法が、ダイアウルフを狙う。
しかし、ダイアウルフは避ける。
氷の矢が地面に突き刺さる。
「当たらない...!」
「葵!連射しろ!動きを止めるんだ!」
「は、はい!」
「氷結魔法!氷結魔法!氷結魔法!」
連続で魔法を放つ。
ダイアウルフが避ける。
でも、避ける方向が限られてくる。
「今だ!蓮!」
「ああ!」
俺が突進する。
ダイアウルフの横腹を狙う。
「単調斬り!」
【反復回数:25回】
剣が、ダイアウルフの脇腹を斬る。
「ガウッ!」
ダイアウルフが悲鳴を上げる。
血が飛び散る。
「当たった!」
でも、まだ倒れない。
ダイアウルフが、俺に牙を向ける。
「まずい!」
避けられない距離。
その時──。
「突撃槍!」
翔の槍が、ダイアウルフの後脚を貫く。
「ガアッ!」
ダイアウルフがバランスを崩す。
「今のうちに!」
「単調斬り!単調斬り!単調斬り!」
【反復回数:28回】
連続で剣を振る。
ダイアウルフの首、胴、脚──。
斬撃が、次々とダイアウルフを襲う。
「ガア...ウ...」
ダイアウルフが倒れる。
そして、光の粒子となって消えていく。
【ダイアウルフを撃破しました】
【経験値を獲得しました】
【レベルアップ!Lv3→Lv4】
「はぁ...はぁ...勝った...」
三人とも、息が荒い。
「翔、肩は?」
「...痛いけど、まだ戦える」
血が流れているが、致命傷ではないようだ。
翔の肩に、服を裂いて包帯代わりに巻く。
「ありがとな」
「応急処置だけど...次の休息の間まで持ちこたえてくれ」
「ああ、大丈夫だ」
森を進む。
さらに二体のダイアウルフと遭遇した。
でも、戦い方が分かってきた。
葵の魔法で動きを制限し、翔が牽制し、俺が急所を狙う。
【反復回数:45回】
『単調斬り』の速度も威力も、どんどん上がっている。
三体目のダイアウルフは、俺一人でも倒せるようになっていた。
【レベルアップ!Lv4→Lv5】
【『単調斬り』がレベルアップしました!Lv1→Lv5】
【新能力解放:二連撃自動発動】
「二連撃...!」
一回の『単調斬り』で、二回の斬撃が発生する。
試しに空中に向けて振る。
シュッ、シュッ!
一瞬で二回の斬撃。
「これは...強い!」
森の奥に、扉が見えた。
「二階層、終わりか」
扉の前に立つ。
【二階層をクリアしました】
【次の階層へ進むことができます】
扉を開け、螺旋階段を登る。
翔の肩の傷が、また血を流し始めている。
包帯が赤く染まっている。
「翔、大丈夫か?」
「ああ...なんとか」
顔色が悪い。
「早く休息の間が出れば...」
階段を登る。
しかし──。
休息の間の扉は、現れなかった。
「出ないのか...」
「さっき、あの人が言ってたな。不規則に現れるって」
「運が悪かったってことか...」
「くそ...」
翔が歯を食いしばる。
「でも、進むしかない」
階段を登り切る。
三階層へ。
文字数:約1,900字
主人公レベル:Lv5
到達階層:2階層クリア→3階層へ
スキル:『単調斬り』Lv5(二連撃)
反復回数:累計45回
状況:翔が負傷したまま次の階層へ、休息の間は出現せず
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