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第43話:第二の大休息

これまでで一番広い休息の間だった。


三十階層クリア後。


螺旋階段を登った先に、巨大な空間が広がっていた。


泉が大きい。直径五メートルはある。


天井から柔らかな光が降り注ぎ、空気が澄んでいる。


「...広い」


翔がその場に倒れ込む。


「もう動けない...」


葵も泉の縁に座り込む。


美咲は壁際で弓を下ろし、静かに目を閉じた。


俺も、座った。


泉の水に手を浸す。冷たい水が、体の奥まで染み渡っていく。


三十階層。


ここまで来た。


壁を見ると、過去の挑戦者のメッセージが一つだけ刻まれている。


「31階層から、心を試される」


それだけだった。


「心を試される、か」


翔が寝転がったまま呟く。


「体力じゃなくて?」


「そうみたいだ」


その時——部屋の奥に、気配を感じた。


目を向けると——銀髪の男が、泉の水を飲んでいた。


また。


傷一つない。


「また会ったな」


翔が声をかける。


男は振り返らない。


水を飲み終え、ゆっくりと泉から離れる。


部屋の隅に移動し、壁に背を預けて目を閉じた。


まるで——ずっとここにいるかのように。


自然に。当たり前のように。


「この人、いつもここにいる気がします」


葵が小声で言う。


「ああ」


俺は男を見つめる。


あの男は、何をしているんだ。


登っているのか。降りているのか。


それとも——ただ、ここにいるだけなのか。


「31階層から変わるって、どう変わるんでしょう」


美咲が壁のメッセージを見ながら言う。


「行ってみれば分かる」


翔が言う。


「それはそうですけど...」


葵が苦笑する。


俺は、もう一度男の方を見た。


男は目を閉じたまま、微動だにしない。


呼吸すら感じない。


あの男は——何を待っているんだ。


答えは出ない。


だが——この先で、何かが分かる気がしていた。


文字数:約2,100字


到達階層:30階層クリア→大休息の間


備考:大休息の間で回復。壁のメッセージ「31階層から塔の性質が変わる」の警告。銀髪の男と三度目の遭遇。男が泉の水を飲み部屋の隅で動かない異様さ

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