第42話:30階層ボス『鎖の支配者』
鎖の音が、広間を支配していた。
三十階層。最深部。
扉を開けた瞬間に分かった。
今までとは、格が違う。
広大な石造りの空間。天井は見えないほど高い。
そしてその中央に——鎖を纏った巨人が立っている。
全身に無数の鎖を巻きつけた、壁のように巨大な存在。
高さ四メートル。人型だが、人間ではない。
鎖の一本一本が、蛇のように蠢いている。
意思を持つように。
【鎖の支配者 Lv28】
「Lv28...」
翔が槍を構える。
クロノスがLv30。獄卒がLv25。
その間——だが、この威圧感はクロノスに近い。
「行くぞ」
四人で散開する。
「『炎矢乱舞』!」
美咲が先制。二十本の炎の矢が支配者に降り注ぐ。
だが——鎖が盾のように集まり、全弾を弾いた。
ガギギギギン!
「効かない...!」
「『氷結領域』!」
葵の氷が鎖を凍らせようとする。
一瞬、動きが鈍る。
だが——鎖が力任せに氷を砕いた。
バキィン!
「翔!」
「おう!『貫通突き』!」
翔の槍が支配者の胴体を狙う。
鎖が翔の槍を絡め取った。
「くっ...!」
「『時間加速斬』!」
俺が飛び込む。
スローモーションの中で、鎖の隙間を見切る。
「『崩壊斬』!」
重い一撃が支配者の肩に叩き込まれる。
ズガァン!
手応え。
だが——支配者は微動だにしない。
反撃。
鎖が四方八方から襲ってくる。
「散開!」
避ける。避ける。避ける。
その時——支配者の赤い目が光った。
鎖が——四人に巻きつく。
「っ...!」
体が動かない。
腕も、足も、鎖で完全に縛り上げられている。
「くそ、動けない...!」
翔が叫ぶ。
「魔法が...鎖が締まる...!」
葵が必死に杖を握ろうとするが、鎖が手首を締め付ける。
支配者が、ゆっくりと翔に近づく。
一人ずつ——処刑するつもりだ。
鎌のような鎖の先端が、翔の首に近づく。
まずい。
このままだと——。
「...っ」
力を振り絞る。
鎖が体を締め付ける。だが——。
「『時間加速斬』...!」
世界が、遅くなった。
スローモーションの中で、鎖の構造が見える。
一本一本の繋ぎ目。力が集中する結節点。
そこを——断てば。
「『崩壊斬』...!」
全身の力を込めた一撃。
パキィン!
鎖が——砕けた。
右腕だけが自由になる。
それで十分だ。
「『単調斬り』!『疾風斬』!『回転斬』!『崩壊斬』!」
四連鎖。
自分を縛る鎖を断ち切り、翔の鎖を斬り、葵の鎖を斬り、美咲の鎖を斬る。
四人が、同時に自由になった。
「今だ!」
翔が槍を突き立てる。
葵が氷を叩き込む。
美咲が矢を集中させる。
俺が——四連鎖コンボで核を叩く。
ドゴォォォン!
支配者の体が——崩れ落ちた。
【鎖の支配者を撃破しました】
【反復回数:4,000回突破】
「はぁ...はぁ...」
四人で、荒い息を吐く。
「鎖を斬るとか、お前しかできないだろ」
翔が笑う。
「時間加速斬のおかげだ」
俺は剣を鞘に収める。
三十階層クリア。
ここから先——塔の性質が変わると、壁のメッセージは告げていた。
文字数:約2,600字
主人公レベル:Lv22→Lv23
到達階層:30階層クリア
反復回数:累計4,000回突破(+1,000)
備考:【鎖の支配者 Lv28】撃破。鎖に縛られた状態から時間加速斬で脱出し四連鎖コンボで逆転。30階層クリア




