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第41話:途切れた記録

もう一度、あの隠し部屋に戻った。


召喚記録の碑。


剣の模様が刻まれた、名前のない記録。


「何度登っても、塔は終わらなかった。それでも俺は登り続けた」


あの言葉が、頭から離れない。


「蓮、また来たのか」


翔が後ろから声をかけてくる。四人全員が、この碑に引き寄せられていた。


石碑に近づき、剣の模様をよく見る。


他の記録と——明らかに違う。


筆致が違う。


いや、それだけじゃない。


石の風化具合が、他の記録とは比べものにならないほど古い。


「...これ、相当古いですね」


葵が石碑の表面を指で撫でる。


「他の記録は二十年くらい前のものが多いけど、この剣の模様だけ——もっと古い。何百年前かもしれない」


「何百年前?」


翔が目を丸くする。


「この塔、そんな前からあるのか...」


四人で、「何度登っても」の意味を考えた。


沈黙の中で、翔が口を開く。


「なあ蓮。これって——ループしてたってことか?」


俺は、一瞬固まった。


ループ。


俺と同じ能力を持つ者が、何百年も前にいた。


「でも、ループできるのは特別な能力があるからじゃ...」


葵が言いかけて、俺を見た。


俺の『反復の極意』。


ループの記憶と反復回数を引き継ぐ、この能力。


同じ力を持つ者が、何百年も前にいたとしたら——。


何も言えなかった。


「死んだのか、帰ったのか、それとも別の何かなのか——分からないわね」


美咲が静かに言う。


分からない。


この人は、何度も塔を登った。


何度登っても、終わらなかった。


それでも登り続けた。


そして——記録は、ここで途切れている。


俺は、碑の剣の模様に触れた。


冷たい石の感触。


前回触れた時に感じた「何か」は——今回も、微かに響いた。


錯覚かもしれない。


だが——この模様は、ただの飾りじゃない気がする。


「何度登っても塔は終わらなかった」


その言葉が、胸に刺さる。


俺のループと、この記録は繋がっているのか。


あの銀髪の男と、この記録は繋がっているのか。


答えは出ない。


「...行こう」


四人で、隠し部屋を出る。


扉を閉める前に、一度だけ振り返った。


薄暗い部屋の中で、石碑が静かに佇んでいる。


剣の模様が——光っているように見えた。


気のせいだ。


そう言い聞かせて、扉を閉めた。


文字数:約2,200字


到達階層:25階層(隠し部屋・再訪)


備考:召喚記録の碑を再調査。剣の模様の記録が何百年も前のものと判明。蓮のループと同じ能力を持つ先人の存在がほぼ確定。銀髪の男との関連は未解明

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