第35話:分断の試練
四人で戦うのが、当たり前になっていた。
翔が前で敵を引きつけ、葵が援護し、美咲が狙撃し、俺が斬る。
それが——俺たちの戦い方だった。
だが今、ここには俺しかいない。
閉鎖空間。
狭い石造りの部屋に、獄卒の分身が立っている。
鉄槌を構えている。
「俺は一人でも強い」
剣を構える。
分身の鉄槌が振り下ろされる。
「『時間加速斬』!」
世界がスローモーションになる。
鉄槌の軌道が見える。
避ける。
「『単調斬り』!」
三連撃。
装甲の隙間を突く。
ガギィン!
手応え。だが、浅い。
鉄槌が再び襲ってくる。
横薙ぎの一撃。
「『疾風斬』!」
五連撃で弾く。
だが——返しの一撃が、死角から。
「っ...!」
肩を掠める。
血が滲む。
「...いつもなら、翔が防いでくれてたな」
一人だと、死角が多い。
でも——それは、言い訳だ。
「もう一回」
剣を構え直す。
「『単調斬り』!」
三連撃。
「『疾風斬』!」
五連撃。
「『回転斬』!」
回転斬。
「『崩壊斬』!」
重い一撃。
四つのスキルを——続けて放った。
だが、繋ぎ目に隙間がある。
スキルとスキルの間に、一瞬の間。
その間に、鉄槌が割り込んでくる。
「...もう一回」
最初から。
「『単調斬り』!『疾風斬』!『回転斬』!『崩壊斬』!」
四連鎖。
二度目。繋ぎ目が、少し縮まった。
「もう一回」
三度目。さらに縮まる。
「もう一回」
四度目。五度目。六度目。
反復するたびに、スキルとスキルの隙間が埋まっていく。
体が覚え始めている。
単調斬りの終わりが、疾風斬の始まりになる。
疾風斬の終わりが、回転斬の始まりになる。
途切れない連撃。
無限に繋がるコンボの——原型。
【反復回数:3,000回突破】
「見えた」
七度目の四連鎖。
初めて——途切れなく繋がった。
ガギィン!ガギギギン!ズガァン!ドゴォォン!
四つのスキルが、一つの流れになる。
分身の装甲が——砕けた。
「ぐ...おおお...!」
分身の体が揺らぐ。
もう一度。
「『単調斬り』!『疾風斬』!『回転斬』!『崩壊斬』!」
完璧な四連鎖。
ドゴォォォン!
分身が——塵になった。
息が荒い。
全身が汗に濡れている。
だが——笑みが浮かんだ。
「...繋がった」
四連鎖コンボ。
ここから先は、反復するだけだ。
その時——空間の壁に、亀裂が走った。
崩れていく。
壁の向こうに——広い空間が見える。
翔の声。
「蓮!」
葵の声。
「朝倉さん!」
美咲の姿。弓を下ろし、息を切らしている。
四人が、再び同じ場所に集まった。
全員ボロボロだ。
翔の槍は血に濡れ、葵の杖は罅が入り、美咲は矢が残り少ない。
でも——全員、立っている。
「お互い生きてて良かった」
翔が、笑った。
葵が涙をこらえて頷く。
美咲が小さく息を吐く。
「...まあ、このくらいはね」
俺は、仲間の顔を見回した。
一人でも戦えた。
でも——やっぱり、四人の方が強い。
それが分かっただけで、この試練には意味があった。
文字数:約2,500字
反復回数:累計3,000回突破(+500)
備考:四連鎖コンボ(単調斬り→疾風斬→回転斬→崩壊斬)が初めて途切れなく繋がる。無限コンボの原型が誕生。永劫の獄卒を撃破




