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第32話:黄金の回廊

十六階層に足を踏み入れた瞬間、目を疑った。


金。


壁も、床も、天井も——全てが黄金に輝いている。


宝石が散りばめられ、燭台から放たれる光が金色の表面に反射し、回廊全体が眩いほどに輝いていた。


「すっげ...」


翔が口を開けたまま立ち尽くす。


「きれい...」


葵も息を呑む。


美しい。


だが——空気は、張り詰めている。


「触るな」


俺が言った。


「え?」


「罠だ。多分」


直感ではない。ここまで塔を登ってきた経験が、そう告げている。


美しすぎるものには、必ず裏がある。


前方に、他の挑戦者たちが見えた。


五人、六人——目を輝かせながら、壁の宝石に手を伸ばしている。


「おい見ろよ、本物の金だぞ!」


「これ一つで一生暮らせるんじゃ...」


その手が、宝石に触れた瞬間。


ガコン。


床が抜けた。


「うわあああ!」


挑戦者が一人、奈落に消える。悲鳴が反響して、やがて聞こえなくなった。


「...っ!」


葵が口を押さえる。


だが、それだけでは終わらなかった。


別の挑戦者が壁の金塊を剥がした瞬間——壁の隙間から無数の矢が飛び出す。


ドドドドッ!


「ぎゃっ...!」


さらに別の挑戦者が天井の宝石に触れる。


天井から炎が噴き出した。


「あぁぁぁっ...!」


地獄絵図。


欲に駆られた者から順に、罠が発動する。


塔は——欲望を試している。


「行くぞ。何も触れるな」


四人で、回廊の中央を進む。


壁にも床にも触れず、ただ真っ直ぐに。


「蓮、左の床、色が少し違う」


美咲が指差す。


「ああ。踏むな」


注意深く避ける。


十七階層。十八階層。


黄金の回廊は三階層分続いた。


罠の密度は上がり、通路は狭くなっていく。


それでも四人は、誰一人として宝に手を出さず、黙々と進んだ。


十八階層を抜けた先。


通路が石造りに戻り、空気が変わる。


四人で、息をついた。


「...生きてる」


翔が壁にもたれかかる。


「欲を出さなくて良かった」


葵が胸を撫で下ろす。


その時、美咲が口を開いた。


「さっきの男——あの戦闘で傷一つなかったわ」


全員が、ハッとする。


あの銀髪の男。


十六階層より上から降りてきた。


つまり——この黄金の回廊を、抜けてきたということだ。


「あの罠を、傷一つなく?」


翔が眉をひそめる。


「相当強いか、全部知ってたかどっちかだな」


全部知ってた。


その言葉が、俺の中で引っかかる。


俺がループで迷宮の構造を覚えたように——あの男も、何かを知っているのか。


何も言えなかった。


ただ、違和感だけが大きくなっていく。


文字数:約2,200字


到達階層:16〜18階層(黄金の回廊)クリア


備考:黄金の回廊の罠を突破。欲に駆られた挑戦者たちが次々と脱落。銀髪の男がこの回廊を傷一つなく通過した事実に気づく

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