第18話:四人の連携、商人の助言
八階層。
美咲が加わってから、戦闘の効率が格段に上がった。
氷の世界を進む。吹雪の中、次々と敵が現れる。
【フロストドラゴネット Lv14】が三体。
「散開!」
美咲の指示で四人が別方向に跳ぶ。
ドラゴネットが氷のブレスを吐く。
「『炎矢連射』!」
美咲の五本の炎の矢が、一体のドラゴネットを貫く。
氷属性の敵には、炎が抜群だ。
「ギャアアッ!」
一体が燃え上がり、崩れ落ちる。
残り二体。
「蓮、右!翔、左!」
美咲の的確な指示。
「了解!」
俺は右のドラゴネットに突進する。
前回の記憶がある。
こいつの攻撃パターンは──まず爪、次にブレス。
「来る!」
予想通り、ドラゴネットが爪を振り下ろす。
横に跳んで回避。
「『単調斬り』!」
【反復回数:193回】
三連撃が首筋を斬る。
シュッ、シュッ、シュッ!
一撃目で鱗に傷、二撃目で深く斬り込み、三撃目で──。
「ギャッ!」
ドラゴネットが倒れる。
【フロストドラゴネットを撃破しました】
翔も同時に倒していた。
「やるじゃん!」
「お前もな」
さらに進むと、巨大な氷の塊が動き出した。
【アイスゴーレム Lv13】
人型の氷の巨人。動きは鈍いが、一撃が重い。
「葵、氷魔法は効きにくいかもしれない。翔と俺で脚を狙う!」
「はい!」
氷属性には氷魔法が効きにくい可能性がある。
だから──。
「美咲、炎で核を狙ってくれ!」
「分かった!」
俺と翔が両脚を攻撃。
「『単調斬り』!」
【反復回数:194回】
「『突撃槍』!」
両脚の関節が砕ける。
ゴーレムが膝をつく。
「今だ!」
美咲の炎の矢が、胸部の核を貫く。
【アイスゴーレムを撃破しました】
【レベルアップ!Lv10→Lv11】
「よし!」
八階層の最深部。
巨大な氷の壁の前で、最後の敵。
【アイスドレイク Lv16】
全長十メートルの氷のドラゴン。
「レベル16...こいつは強そうだ」
翔が警戒する。
「広範囲攻撃に注意しろ。散開する準備を」
俺が言う。
ドレイクが咆哮する。
「ガアアアアッ!」
そして──ブレスを吐く。
「散れ!」
四人が四方向に跳ぶ。
ブレスが広範囲に広がる。
「危ねえ...!」
翔が息を呑む。
「次は翼を狙う!弱点は付け根だ!」
美咲が矢を番える。
「了解!」
炎の矢が、翼の付け根を狙う。
「ガアッ!」
ドレイクが怯む。
「今だ!脚の関節!」
俺が突進し、『疾風斬』で五連撃。
【反復回数:197回】
関節に亀裂が入る。
「俺も!『突撃槍』!」
翔が反対側の脚を狙う。
槍が深く突き刺さる──が、一撃では貫けない。
「くそ、硬い...!」
翔が槍を引き抜き、再び突く。
ガキン!
また弾かれる。
「ちくしょう...全然通らない...!」
ドレイクが尾を振り回す。
翔に向かって。
「翔!」
「やばっ!」
翔が咄嗟に槍で受け止めようとする。
ガギャァン!
衝撃で、翔が吹き飛ばされる。
「ぐっ...!」
地面を転がる。
肩から血が流れる。
「翔!」
美咲が叫ぶ。
ドレイクが、倒れた翔に向かって前脚を振り下ろす。
「まずい!」
翔が立ち上がろうとするが、体が重い。
肩の傷が響いている。
「くそ...動け...!」
爪が迫る。
「翔!同じ場所を何度も攻撃しろ!」
俺が叫ぶ。
「同じ場所...?」
「ああ!装甲が硬いなら、同じ場所を何度も突け!」
翔が、俺を見る。
そうだ。
蓮は...同じ技を何度も使ってる。
『単調斬り』を、何百回も。
それで、強くなってる。
「俺も...同じことを...!」
翔が槍を構え直す。
ドレイクの前脚が振り下ろされる。
「うおおおっ!」
翔が槍を突き出す。
一回、二回、三回──。
同じ場所を、連続で突く。
「もっとだ...もっと速く...!」
体が熱くなる。
限界を超えている。
でも、止まれない。
「俺は...まだ戦える...!」
四回、五回──。
突く動作が、加速していく。
意識しなくても、体が動く。
そして──。
「これで...ああああっ!」
一瞬。
槍が、五回連続で突き出された。
【新スキル習得:『連続突き(ラピッドスラスト)』】
ガガガガガッ!
ドレイクの前脚の関節──亀裂の入った部分に、五回の突きが叩き込まれる。
バキィッ!
関節が砕ける。
「やった...!」
翔自身も驚いている。
「何だ...これ...体が勝手に...!」
ドレイクがバランスを崩す。
片脚が完全に使えなくなる。
「ガアアアッ!」
ドレイクが暴走する。
怒りに任せて、全方位に氷のブレスを吐く。
「やばい!広範囲だ!」
四人が散開しようとするが──。
ブレスの範囲が広すぎる。
全員を覆い尽くす勢いだ。
「まずい...!」
葵が必死に氷の矢を放つ。
「『氷結魔法』!」
でも、一発では足りない。
ブレスが迫ってくる。
「『氷結魔法』!『氷結魔法』!」
連射するが、間に合わない。
「くそ...一つじゃ足りない...!」
葵が焦る。
もっと広い範囲を守らなきゃ。
一発の魔法で、もっと広く。
「でも、どうやって...!」
その時、葵の頭に浮かんだのは──。
デザインの仕事。
一つのデザインから、派生デザインが生まれる。
ロゴから、ポスターへ。
ポスターから、パンフレットへ。
一つのアイデアが、連鎖的に広がっていく。
「そうだ...氷も...!」
「一つの氷が、次の氷を呼ぶ...!」
「連鎖させられるはず...!」
葵が杖を強く握る。
イメージする。
一つの氷の矢が、次々と氷を生み出していく光景を。
途切れることのない、氷の連鎖。
「私にも...できる...!」
葵の杖が、青白く輝く。
今までにない、強い光。
「みんなを...守る...!」
「『氷結連鎖』!」
【新スキル習得:『氷結連鎖』】
小さな氷の矢が、ドレイクのブレスに向かって飛ぶ。
氷の矢がブレスに当たる。
その瞬間──。
バキバキバキ!
氷の矢を起点に、氷が連鎖していく。
一つが二つに。
二つが四つに。
四つが八つに。
次々と氷が生まれ、ブレス全体を凍らせていく。
「すごい...!」
葵自身も驚いている。
「できた...私にもできた...!」
凍ったブレスが、空中で砕け散る。
ドレイクのブレスが、完全に無効化された。
「葵!」
美咲が叫ぶ。
「すごいわ!」
「今だ!ドレイクが隙だらけだ!」
俺が突進する。
片脚を失い、ブレスも防がれたドレイク。
もう、抵抗する力はない。
「これで...終わりだ!」
俺が跳ぶ。
ドレイクの頭上へ。
剣を構える。
「『崩壊斬』!」
【反復回数:198回】
剣を、ドレイクの首の付け根に叩き込む。
ガギャァァン!
装甲が砕け散る。
首が、斬り飛ばされた。
【アイスドレイクを撃破しました】
【レベルアップ!Lv11→Lv12】
「勝った...」
四人とも、地面に座り込む。
「はぁ...はぁ...」
翔が自分の槍を見る。
「新しいスキル...覚えちまった...」
「蓮の真似をしたら...体が勝手に動いた...」
葵も杖を見つめる。
「私も...氷が連鎖するなんて...」
「デザインの仕事と同じ...一つから、たくさんのものが生まれる...」
美咲が微笑む。
「限界を超えた時、新しい技が生まれるんだな」
「二人とも、すごかったわ」
「これで、もっと戦える」
俺も頷く。
「ああ。みんな、強くなった」
ドレイクの残骸から魔石×4を回収。
【八階層をクリアしました】
九階層。
暗闇の階層。
視界がほとんど効かない。
「真っ暗だな...」
「気をつけて。暗闇に潜む敵がいるかもしれない」
俺が警戒する。
【シャドウアサシン Lv15】が四体。
影に潜み、奇襲してくる。
「みんな、背中を合わせよう」
四人で円陣を組む。
ヒュッ。
風切り音。
「右!」
咄嗟に剣で受け止める。
ガキン!
「やっぱり右から...!」
「パターンがあるのかもしれない。同じ方向から二回目が来るぞ!」
俺が叫ぶ。
予想通り、再び右から攻撃。
「『単調斬り』!」
【反復回数:210回】
三連撃が、アサシンを捉える。
一体撃破。
「美咲、炎の矢で周囲を照らせないか!」
「やってみる!」
炎の矢が暗闇を照らす。
残り三体の位置が分かる。
「あそこだ!」
四人で連携し、残りを全て撃破。
【シャドウアサシンを撃破しました】×3
【レベルアップ!Lv14→Lv15】
「全部倒した...」
暗闘の中、出口の扉が光る。
【九階層をクリアしました】
螺旋階段の途中。
青白く光る扉。
「休息の間だ!」
扉を開ける。
泉の部屋。
四人で泉の水を飲み、完全回復。
しばらく休憩していると──。
「ようこそ」
フードを被った小柄な人物。
【謎の商人】
「また会ったね、挑戦者たちよ」
「商人か」
俺が立ち上がる。
「魔石で情報を売ってるって聞いたことがある」
「ほう、誰から聞いた?」
「...噂で」
商人が興味深そうに俺を見る。
「何が欲しい?」
「この先、効率よく強くなる方法はあるか?」
商人が少し驚いた様子。
「...面白い質問だ」
「魔石5つで教えよう」
俺は迷わず魔石を5つ差し出す。
「教えてくれ」
商人が魔石を受け取る。
「十四階層に【訓練の間】という隠し部屋がある」
「訓練の間?」
「そう。雷鳴の平原の北側。隠し扉を探せば見つかる」
「そこでは、幻影と戦える」
「幻影?」
「実体のない敵。倒しても消えず、経験値だけが入る」
「...!」
それは理想的だ。
「詳しく教えてくれ」
「幻影はレベルを選べる。Lv10からLv25まで」
「何度倒されても、魔法陣で復活する」
「つまり、安全に訓練ができる」
「そうか...ありがとう」
商人が消える。
「訓練の間...すごい場所があるんだな」
翔が呟く。
「十四階層まで行けば、安全にレベルを上げられる」
「急ごう」
四人で休息の間を出た。
文字数:約2,900字
主人公レベル:Lv15
到達階層:8-9階層クリア→10階層へ
スキル:『単調斬り』Lv10(三連撃)、『疾風斬』Lv1(五連撃)、『回転斬』Lv1、『崩壊斬』Lv1
反復回数:累計210回
所持アイテム:魔石×3(8個→商人に5個支払い)
新スキル:翔【連続突き】、葵【氷結連鎖】習得
パーティ構成:朝倉蓮(剣士Lv14)、結城翔(槍使いLv12)、藤崎葵(氷魔法使いLv11)、桜庭美咲(炎の弓使いLv13)




