表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/56

第14話:絶望の殲滅、終わる世界

扉の先は──円形の広間。


天井が高く、壁一面に時計の文字盤が刻まれている。


十二の数字が、ぐるりと壁を囲む。


そして、広間の中央に──。


巨大な人型の影。


全身が漆黒で、顔は見えない。


右手には巨大な鎌。


左手には、時計。


【時喰いのクロノス Lv30】


「レベル...30...!?」


俺たちは、レベル20。


レベル差、十。


「嘘だろ...」


翔が呆然とする。


「今までで最大の差...」


美咲が唇を噛む。


「レベル30...勝てるの...?」


葵が震える。


クロノスが、ゆっくりとこちらを向く。


顔のない頭部が、俺たちを「見て」いる。


そして──。


低く、不気味な声が響く。


「...時ハ、終ワル」


次の瞬間。


クロノスが、一瞬で俺たちの目の前に現れた。


「速っ!?」


鎌が振り下ろされる。


「散れ!」


四人がバラバラに跳ぶ。


ドガァン!


鎌が地面を砕く。


巨大なクレーターができる。


石畳が粉々に。


「やばい...!」


でも、まだ終わりじゃない。


クロノスの左手の時計が、逆回転を始める。


カチカチカチカチ──。


そして──。


時間が、巻き戻る。


「え!?」


さっき散開したはずの四人が、元の位置に戻される。


「なっ!?」


「何が起きた!?」


再び、鎌が振り下ろされる。


「くそっ!」


今度は横に跳ぶ。


でも──。


時計が再び逆回転。


カチカチカチ。


また、元の位置に。


「冗談だろ!?」


「時間を巻き戻してる!?」


三度目の鎌。


「'氷結領域'!」


葵が氷の壁を展開する。


鎌が氷の壁に激突。


バキィン!


氷が砕け散る。


でも、一瞬だけ時間を稼げた。


「今のうちに!」


四人が散開する。


クロノスが、今度は翔を狙う。


「来るか!」


翔が槍を構える。


「'貫通突き'!」


強化された槍が、クロノスに向かう。


しかし──。


クロノスが時計を掲げる。


時間が、停止する。


カチ...


世界の音が、消える。


翔の動きが止まる。


槍も止まる。


空中で、完全に静止している。


「!?」


俺たちも、動けない。


いや、動いている。


でも、翔だけが止まっている。


「時間停止...!?」


クロノスが、止まった翔に近づく。


ゆっくりと。


そして──鎌を振るう。


時間が動き出す。


カチ。


「えっ!?」


翔の胸が、斬られる。


「ぐあっ!」


血が噴き出す。


深い。


致命傷だ。


「翔!」


俺が叫ぶ。


翔が膝をつく。


「くそ...こいつ...何なんだ...」


胸から、大量の血が流れる。


顔が、青ざめている。


でも、まだ立ち上がろうとする。


「翔!動くな!」


でも、遅かった。


クロノスが、再び鎌を振り上げる。


「翔!逃げろ!」


翔が槍を構える。


「まだ...戦える...!」


でも、体が震えている。


力が入っていない。


クロノスの鎌が、翔を薙ぎ払う。


ガシャッ!


「ガハッ...!」


翔の体が、真っ二つに斬られる。


上半身と下半身が、別々に地面に落ちる。


「翔ああああっ!」


葵が悲鳴を上げる。


翔の体が、光の粒子となって消えていく。


「嘘...嘘でしょ...」


葵が震える。


「翔が...死んだ...」


【結城 翔が死亡しました】


システムメッセージが、冷酷に告げる。


「くそ...くそおおおっ!」


美咲が矢を放つ。


「'炎矢乱舞'!」


十本以上の矢が、クロノスに向かう。


矢が、炎の軌跡を描きながら飛ぶ。


しかし──。


クロノスが時計を掲げる。


時間が、停止する。


矢が、空中で止まる。


「何...」


クロノスが、止まった矢を全て叩き落とす。


ガラガラガラ。


矢が、一本ずつ地面に落ちる。


「嘘...」


時間が動き出す。


クロノスが、美咲に向かう。


「まずい!」


美咲が避けようとする。


でも、クロノスの方が速い。


一瞬で距離を詰める。


鎌が、美咲の腹を薙ぐ。


「がっ...」


美咲が膝をつく。


腹から、内臓が見えるほどの深い傷。


血が、止まらない。


「美咲!」


俺が駆け出す。


でも、間に合わない。


クロノスが、鎌を振り上げる。


「やめろおおおっ!」


鎌が、美咲の首を刎ねた。


「あ...」


美咲の首が、宙を舞う。


体が、崩れ落ちる。


そして、光の粒子となって消えていく。


【桜庭 美咲が死亡しました】


「美咲...」


葵が、恐怖で動けなくなっている。


「嘘...みんな...死んじゃった...」


両手で杖を握りしめている。


体が、震えている。


クロノスが、葵に向かう。


ゆっくりと。


まるで、獲物を楽しむように。


「葵!逃げろ!」


俺が叫ぶ。


でも、葵は動けない。


恐怖で、足が竦んでいる。


「動けない...体が...動かない...」


涙が、頬を伝う。


クロノスが、葵の目の前に立つ。


鎌を振り上げる。


「やめろおおおおっ!」


俺が全速力で走る。


剣を構える。


「葵に...触れるな!」


でも──。


遅い。


距離が、遠すぎる。


鎌が、葵の体を斬り裂く。


「あ...」


葵の目から、涙が流れる。


「ごめんなさい...みんな...」


「私...役に立てなくて...」


葵の体が、光の粒子となって消えていく。


【藤崎 葵が死亡しました】


「葵いいいいっ!」


俺は、叫ぶ。


全員、死んだ。


翔も、美咲も、葵も。


全員。


残るは、俺だけ。


「くそ...くそおおおおっ!」


涙が溢れる。


怒りが、全身を駆け巡る。


「許さない...絶対に...許さない!」


剣を握りしめる。


クロノスが、ゆっくりとこちらに向かってくる。


「...時ハ、終ワル」


「ふざけるなあああっ!」


俺が突進する。


「'単調斬り'!」


【反復回数:166回】


三連撃が、クロノスを襲う。


シュッ、シュッ、シュッ!


ガキン、ガキン、ガキン!


弾かれる。


「'疾風斬'!」


【反復回数:167回】


五連撃。


ガキン、ガキン、ガキン、ガキン、ガキン!


やはり弾かれる。


「'回転斬'!」


【反復回数:168回】


全方位斬撃。


ガキン、ガキン、ガキン!


全て弾かれる。


「'崩壊斬'!」


【反復回数:169回】


重い一撃。


ガギャァン!


わずかに、ひびが入る。


でも、それだけ。


「なんで...!」


「なんで通らないんだ!」


もう一度、全力で振る。


「'単調斬り'!'単調斬り'!'単調斬り'!」


【反復回数:172回】


何度も、何度も。


三連撃、三連撃、三連撃──。


ガキン、ガキン、ガキン!


でも、全て弾かれる。


傷一つつかない。


「くそ...くそおおおっ!」


俺の腕が、痺れる。


剣を握る手が、震える。


血が滲んでいる。


「なんで...なんでこんなに...硬いんだ...」


クロノスが、時計を掲げる。


時計が、速く回り始める。


カチカチカチカチカチカチ!


速度が上がる。


時計の針が、ぐるぐると回る。


「まずい...!」


次の瞬間。


クロノスの動きが、加速する。


いや、加速というレベルじゃない。


一瞬で、俺の目の前に現れる。


「!?」


鎌が、俺の胸を貫く。


「がっ...」


痛い。


全身が、痛い。


血が、口から溢れる。


「は...あ...」


膝が、崩れる。


地面に、倒れる。


視界が、揺れる。


暗くなっていく。


「遥斗...すまない...」


弟の顔が、浮かぶ。


笑顔の遥斗。


「兄ちゃん、いつ帰ってくるの?」


いつもそう聞いてくれた。


「ごめん...遥斗...」


「帰れない...みたいだ...」


クロノスが、鎌を振り上げる。


最後の一撃。


俺の首を、刎ねるために。


「くそ...」


「俺は...ここで...終わるのか...」


鎌が、振り下ろされる。


そして。


俺の首が、刎ねられた。


【朝倉 蓮が死亡しました】


【全滅しました】


文字数:約3,000字


主人公レベル:Lv20


到達階層:15階層(時の迷宮・ボス戦)


スキル:『単調斬り』Lv10(三連撃)、『疾風斬』Lv1(五連撃)、『回転斬』Lv1、『崩壊斬』Lv1


反復回数:累計172回


状況:クロノス(Lv30)との圧倒的レベル差。時間操作により、翔、美咲、葵が次々と死亡。蓮も全力で攻撃するが全く通じず、全滅。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ