第10話:炎の弓使い、4人目の仲間
八階層。
階段を登り切ると──再び、氷の世界。
「また氷...?」
でも、六階層の毒沼とは全く違う。
今度は、吹雪が吹き荒れている。
視界が悪い。三メートル先も見えない。
「寒い...!」
葵が体を震わせる。
「くっ...前が見えない...!」
その時──。
吹雪の中から、影が現れた。
いや、影じゃない。
複数の敵。
【フロストドラゴネット Lv14】
小型のドラゴン。体長三メートル。全身が氷の鱗で覆われている。
そして──三体。
「やばい...!」
「散れ!」
三人がバラバラに跳ぶ。
ドラゴネットが氷のブレスを吐く。
「うわっ!」
ブレスが地面を凍らせる。
俺の足元も凍る。
「動けない...!」
ドラゴネットが爪を振り下ろす。
「くそっ!」
剣で受け止める。
ガギィン!
衝撃が腕に響く。
「重い...!」
押し負けそうになる。
「突撃槍!」
翔の槍が、ドラゴネットの脇腹を貫く。
「ギャアッ!」
ドラゴネットが怯む。
その隙に、俺は足元の氷を剣で砕く。
「助かった!」
でも、残り二体のドラゴネットが、葵を狙っている。
「葵!」
葵が必死に魔法を撃つ。
「氷結連鎖!」
氷の魔法が連鎖する。
でも、相手も氷属性。
効果が薄い。
「くっ...氷が効かない...!」
ドラゴネットが葵に迫る。
「まずい...!」
その時──。
「そこまで!」
女性の声。
凛とした、鋭い声。
次の瞬間、炎の矢が吹雪を切り裂いた。
ドラゴネットの頭部に突き刺さる。
「ギャアアッ!」
ドラゴネットが燃え上がる。
【フロストドラゴネットを撃破しました】
「!?」
吹雪の中から、一人の女性が現れた。
二十代後半。短めの黒髪、鋭い目つき。弓を構えている。
黒いジャケットに動きやすいパンツ。腰には矢筒と、何かのバッジのようなものが見える。
【桜庭美咲 Lv13】
「大丈夫ですか?」
美咲が冷静に聞く。
「あ、はい...助かりました...」
俺は思わず敬語で答える。
この人、何か違う。
一般人じゃない。
雰囲気が、違いすぎる。
「炎属性の矢...氷には効果抜群ですね」
美咲が再び弓を構える。
「炎矢連射!」
五本の炎の矢が、残り二体のドラゴネットに向かう。
「ギャアッ!」「ギャアッ!」
ドラゴネットが次々と燃え上がる。
【フロストドラゴネットを撃破しました】×2
「すげえ...」
翔が呆然とする。
「あなたたちも良い連携です。特に前衛の二人」
美咲が弓を降ろす。
「私は桜庭美咲。警察官です」
「警察...!」
「ええ。機動隊に所属していました」
なるほど。だから、この雰囲気なのか。
戦い慣れている。
「俺は朝倉蓮です。工場勤務です」
「結城翔。大学生」
「藤崎葵。デザイナーです」
三人が自己紹介する。
「工場、大学生、デザイナー...バラバラですね」
美咲が少し表情を緩める。
「でも、良いチームワークでした」
「桜庭さんは...一人で?」
葵が聞く。
「ええ。ずっと一人で登ってきました」
美咲が周囲を見渡す。
「でも、そろそろ限界かと思っていたところです。一人では、厳しくなってきました」
「それなら...」
俺が提案する。
「一緒に行きませんか?」
「え?」
「俺たちも、仲間が増えれば心強いです。桜庭さんも、一人より安全だと思います」
「...いいんですか?」
「もちろんです!」
葵が笑顔で頷く。
「俺も賛成だ」
翔も頷く。
「...ありがとうございます」
美咲が初めて、柔らかく微笑んだ。
「では、お願いします。あと、美咲でいいですよ」
「分かりました、美咲さん」
四人で拳を合わせる。
八階層の残りのエリアを、四人で進む。
美咲さんの炎の矢は、氷属性の敵に絶大な効果を発揮した。
【フロストドラゴネット】も【アイスウルフ】も、次々と倒していく。
「すごいですね、美咲さん」
「ありがとう。でも、あなたたちの連携も見事よ」
四人の連携は、驚くほどスムーズだった。
翔が前衛で牽制し、俺が急所を狙い、葵が魔法で支援し、美咲さんが遠距離から炎の矢で止めを刺す。
【アイスゴーレム Lv13】との戦闘。
「突撃槍!」
翔の槍が、ゴーレムの脚を狙う。
「単調斬り!」
【反復回数:68回】
俺の三連撃が、関節を砕く。
「炎矢連射!」
美咲さんの炎の矢が、核を貫く。
【アイスゴーレムを撃破しました】
「やっぱり、四人だと楽だな」
翔が笑う。
「ねえ」
美咲さんが立ち止まる。
「敬語、なしにしませんか?」
「え?」
「こんな環境にいるんだし、堅苦しいのは疲れるでしょう」
美咲さんが少し困ったように笑う。
「お互い、生き残るために協力してるんだから。もっと気楽に話しましょう」
「...いいんですか?」
「むしろ、その方が助かるわ。命預け合う仲間なんだし」
「...分かった。じゃあ、よろしく、美咲」
「うん、よろしくね」
美咲が笑顔で頷く。
葵も嬉しそうに笑う。
「これで、本当にチームって感じですね」
「ああ。四人、対等だ」
翔も頷く。
新しい仲間。
四人パーティの結成。
さらに進む。
【レベルアップ!Lv10→Lv11】
そして──。
八階層の最深部。
巨大な氷の壁の前で、最後の敵と遭遇した。
【アイスドレイク Lv16】
全長十メートルの、巨大な氷のドラゴン。
「これは...ヤバいな...」
「でも、やるしかない!」
四人で挑む。
ドレイクが氷のブレスを吐く。
「散れ!」
四人が四方向に跳ぶ。
「炎矢連射!」
美咲の炎の矢が、ドレイクの翼を狙う。
「ガアアッ!」
ドレイクが怯む。
「今だ!」
俺が突進する。
「単調斬り!単調斬り!単調斬り!」
【反復回数:85回】【反復回数:86回】【反復回数:87回】
連続で剣を振る。
ドレイクの脚を斬る。
「疾風斬!」
【反復回数:88回】
五連撃が、脚の関節を砕く。
「回転斬!」
【反復回数:89回】
全方位に斬撃を放つ。
ドレイクの腹部を斬る。
「もっとだ!」
「単調斬り!単調斬り!単調斬り!」
【反復回数:92回】【反復回数:93回】【反復回数:94回】
剣を振り続ける。
同じ技を、何度も何度も。
「疾風斬!」
【反復回数:95回】
五連撃。
「回転斬!」
【反復回数:96回】
全方位斬撃。
「単調斬り!単調斬り!単調斬り!単調斬り!」
【反復回数:100回】
そして──。
【反復回数:100回突破!】
【『単調斬り』が進化しました!】
【『単調斬り』Lv5→Lv10】
【新能力解放:三連撃自動発動】
「!」
一回の『単調斬り』で、三回の斬撃が発生する。
「これは...!」
試しに振る。
シュッ、シュッ、シュッ!
一瞬で三回の斬撃。
「すごい...!」
「蓮、今よ!」
美咲の声。
ドレイクの首が、目の前にある。
「これで...終わりだ!」
「単調斬り!」
三連撃が、ドレイクの首を斬る。
一撃目で亀裂が入り、二撃目で深く斬り込み、三撃目で──。
首が、斬り飛ばされた。
【アイスドレイクを撃破しました】
【経験値を獲得しました】
【レベルアップ!Lv11→Lv12】
「やった...!」
四人とも、地面に倒れ込む。
「はぁ...はぁ...勝った...」
「良い連携だったわ」
美咲が笑う。
「美咲のおかげだよ」
翔が笑い返す。
ドレイクの残骸から、魔石が現れる。
【魔石×4】
「十階層の鍛冶屋で、使えるな」
四人で魔石を分ける。
【八階層をクリアしました】
扉が開く。
螺旋階段。
「行こう。次は九階層だ」
四人で階段を登る。
新しい仲間と共に。
そして、『単調斬り』は三連撃へと進化した。
俺の戦いは、まだ始まったばかりだ。
文字数:約2,500字
主人公レベル:Lv12
到達階層:8階層クリア→9階層へ
スキル:『単調斬り』Lv10(三連撃)、『疾風斬』Lv1(五連撃)、『回転斬』Lv1
反復回数:累計100回(突破)
所持アイテム:魔石×7
新キャラクター:桜庭美咲(炎の弓使い、元警察官・機動隊、Lv13)加入
パーティ構成:朝倉蓮(剣士)、結城翔(槍使い)、藤崎葵(氷魔法使い)、桜庭美咲(炎の弓使い)
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