第11話:九階層突破と十階層の鍛冶屋
九階層。
階段を登り切ると──暗闇だった。
「真っ暗...」
葵が呟く。
視界がほとんど効かない。三メートル先も見えない。
「気をつけろ。敵の気配がする」
美咲が弓を構える。
四人で背中を合わせる。
その時──。
ヒュッ。
風を切る音。
「っ!」
咄嗟に剣で受け止める。
ガキン!
何かが弾かれる。
「見えない...!」
敵の姿が見えない。
暗闇に紛れている。
「影だ!影に潜んでいる!」
翔が叫ぶ。
再び、風切り音。
「氷結魔法!」
葵が氷の矢を放つ。
暗闇の中、氷の矢が青白く光る。
その光で、一瞬だけ敵の姿が見えた。
──黒い人型。全身が影のように揺らめいている。
【シャドウアサシン Lv15】
「レベル15...!」
アサシンが消える。
再び、暗闇に紛れる。
「くそ...どこだ!」
周囲を警戒する。
音も聞こえない。
気配すら消している。
「みんな、動くな!固まってろ!」
美咲が指示する。
「音に集中して!」
四人が息を潜める。
静寂。
風の音。
自分たちの呼吸音。
そして──。
かすかな、衣擦れの音。
「右!」
美咲が矢を放つ。
「炎矢連射!」
五本の炎の矢が、暗闇を照らす。
アサシンの姿が浮かび上がる。
「今だ!」
「単調斬り!」
【反復回数:101回】
三連撃が、アサシンを襲う。
シュッ、シュッ、シュッ!
一瞬で三回の斬撃。
一撃目が腕を斬り、二撃目が胴を斬り、三撃目が首を狙う。
「ギッ...!」
アサシンが悲鳴を上げる。
でも、また消える。
「しつこい...!」
「蓮!パターンを覚えるのよ!」
美咲が叫ぶ。
「パターン...?」
「敵の動きには必ず癖がある!音、気配、攻撃タイミング!」
そうか。
『反復の極意』。
同じことを繰り返せば、強くなる。
なら──。
「もう一回来い!」
アサシンが再び襲ってくる。
風切り音。
右から。
「単調斬り!」
【反復回数:102回】
三連撃が空を切る。
外した。
でも──。
「もう一回!」
アサシンの二撃目。
また右から。
同じパターン。
「単調斬り!」
【反復回数:103回】
今度は当たった。
三連撃が、アサシンの体を切り刻む。
「ギッ!」
「もっとだ!」
アサシンの三撃目。
右から。
またも同じパターン。
「単調斬り!」
【反復回数:104回】
完璧に当たる。
三連撃すべてがアサシンを襲う。
「ギャアッ!」
アサシンが倒れる。
光の粒子となって消える。
【シャドウアサシンを撃破しました】
「やった...!」
でも、まだ終わりじゃない。
暗闇の中に、まだ気配がある。
「あと三体!」
美咲が言う。
「パターンは分かった!同じように倒す!」
四人で連携する。
美咲の炎の矢で位置を特定し、翔が牽制し、葵が動きを止め、俺が止めを刺す。
【反復回数:115回】【反復回数:116回】【反復回数:117回】
何度も何度も、『単調斬り』の三連撃を繰り出す。
敵の動きが、手に取るように分かるようになる。
そして──。
【シャドウアサシンを撃破しました】×3
「全部倒した...!」
四人とも、息が荒い。
暗闇の中、出口の扉だけが光っている。
「行こう」
扉を開ける。
【九階層をクリアしました】
螺旋階段を登る。
十階層。
階段を登り切ると──巨大な工房だった。
「これは...」
石造りの広い空間。
中央には、巨大な炉。
赤々と燃える炎が、部屋を照らしている。
周りには、様々な武器や防具が並んでいる。
剣、槍、弓、盾──。
そして、部屋の奥に。
巨大な人型の、石のゴーレム。
全身が鋼鉄で補強され、右手には巨大なハンマー。
【マスター・ゴーレム(鍛冶屋)】
「鍛冶屋...山崎の言ってた通りだ!」
ゴーレムが、ゆっくりとこちらを向く。
「...客、カ」
低く、重い声。
「初メテノ、客、ダ」
ゴーレムが、ゆっくりと近づいてくる。
四人が身構える。
「待テ。敵デハ、ナイ」
ゴーレムが手を上げる。
「私ハ、鍛冶屋。武器ヲ、強化スル」
「強化...?」
「ソウダ。魔石ヲ、使エバ。武器ヲ、強化デキル」
ゴーレムが炉を指差す。
「一ツノ武器ニ、魔石ガ、三ツ、必要」
「魔石三つ...」
俺たちが持っている魔石は、全部で七つ。
四人の武器を全て強化するには...十二個必要だ。
「足りない...」
「ナラバ。今アル魔石デ、強化スレバ、良イ」
「誰の武器を強化する?」
四人で顔を見合わせる。
「蓮、お前の剣を強化しろ」
翔が言う。
「でも...」
「お前が一番前で戦ってる。お前の武器が一番重要だ」
「私もそう思います」
葵が頷く。
「私も賛成。あなたが強くなれば、チーム全体が強くなる」
美咲も頷く。
「...分かった。ありがとう」
俺は魔石三つを、ゴーレムに渡す。
「承知、シタ」
ゴーレムが魔石を受け取り、炉に投げ込む。
魔石が、赤く光る。
「剣ヲ、炉ニ」
俺は剣を、炉に差し込む。
熱い。
手が焼けそうだ。
でも、耐える。
炉の炎が、剣を包み込む。
赤く、白く、青く──。
炎の色が変わっていく。
そして──。
「完成、ダ」
ゴーレムが、剣を取り出す。
まばゆい光を放つ剣。
刀身が、美しく輝いている。
「コレガ、強化サレタ、剣」
ゴーレムが、俺に剣を渡す。
【強化された剣『継続の刃』】
「すごい...」
剣を握る。
軽い。
そして、力が漲ってくる。
「試シテ、ミロ」
俺は空中に向けて、剣を振る。
「単調斬り!」
【反復回数:118回】
三連撃。
シュッ、シュッ、シュッ!
でも──。
「え...?」
斬撃が、さらに鋭い。
速度も、威力も、明らかに上がっている。
「強化サレタ武器ハ、使用者ノ、能力ヲ、引キ出ス」
「能力を...」
「ソウダ。オ前ノ、反復ノ極意。ソノ効果ガ、増幅サレル」
【『反復の極意』の効果が1.5倍に向上しました】
システムメッセージが表示される。
「これは...すごい!」
「残リノ魔石デ、誰カノ武器ヲ、強化スルカ?」
「いや...まだ足りない」
魔石は残り四つ。
もう一人分の武器を強化できる。
「翔、お前の槍を」
「いや、葵の杖を先にしろ」
「でも...」
「後衛の支援が強化されれば、前衛も戦いやすい。俺はまだいい」
「...分かった」
葵が魔石三つを渡す。
「私の杖...お願いします」
ゴーレムが同じように、杖を炉に入れる。
炎が杖を包む。
そして──。
「完成、ダ」
【強化された杖『氷結の杖』】
「わあ...綺麗...」
杖が青白く輝いている。
「魔力ノ、消費ガ、減ル。威力モ、上ガル」
「ありがとうございます!」
葵が嬉しそうに杖を握る。
「試シテ、ミロ」
「氷結魔法!」
葵が空中に向けて魔法を放つ。
氷の矢が、今までの倍の速度で飛ぶ。
そして、威力も明らかに上がっている。
「すごい...!これなら、もっと戦える!」
「残リノ魔石ハ、一ツ」
魔石一つでは、強化できない。
「また魔石を集めたら、来ます」
「承知、シタ。待ッテ、イル」
ゴーレムが、再び部屋の奥へと戻っていく。
「よし、次へ行こう」
四人で、次の扉へ向かう。
【十階層のボスへ進みますか?】
「はい」
扉が開く。
その先は──闘技場。
広い円形の空間。
そして、中央に──。
二つの頭を持つ、巨大な獣。
全身が炎に包まれ、口からは火が漏れている。
【双頭の炎獣 Lv18】
「レベル18...!」
「全員、Lv15。レベル差三つか」
「行けるか?」
「行くしかない!」
四人で、炎獣に挑む。
文字数:約2,800字
主人公レベル:Lv15
到達階層:9階層クリア→10階層(鍛冶屋)→ボス戦へ
スキル:『単調斬り』Lv10(三連撃)、『疾風斬』Lv1(五連撃)、『回転斬』Lv1
反復回数:累計118回
所持アイテム:魔石×1
強化武器:蓮『継続の刃』、葵『氷結の杖』取得
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