↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢(男)と攻略対象(女)、理不尽な乙女ゲームの世界を変える  作者: 文字書きA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/117

第68話:ルート(後編)

「いや、好きなルートは全部だけど」


ニッコリ笑って、クリスが告(つ)げる。


「パットのルートで死ぬときは、だいたい他人に殺されるから。彼に殺害されることはないんだ」


「あ、そう……」


サラリととんでもないことを言われて、ジュリアは半目になった。


「ちなみになんで殺されるんだ?」


「細かいとこだと、花びんを割ったとか、君のドレスを汚(よご)したとか。聞いてはならない会話を聞いてしまったり、仕事がイヤで逃げだした先で、盗賊に襲われたなんてこともあったな」


「へー、そう……」


ジュリアは呆れ顔になる。


「なんのために、こんなゲームを作ったんだ?」


「あはは、みんなそう言ってたな。シリアスな設定がある乙女ゲームは珍しくないけど、アプグラは開発者が設定を凝(こ)りすぎて、変に現実的になっちゃったのが失敗だったんだって」


「そういうことか。その設定資料がここにあれば、助かるんだが……」


「ああ、FD(ファンディスク)についていたよ。ちょっと待ってて」


クリスはスッと席を立つ。机の前に立った彼は、小さなカギで引き出しを開けた。そしてその中から、紙の束(たば)を取りだしてくる。


「はい、これ。持ち出して誰かに読まれるとマズいから、ここで読んで」


そう言って差しだされた紙には、細かい字でビッシリと、ゲーム知識が書きこまれていた。ジュリアは渡された紙を見つめて、ため息をつく。


「……覚えきれる気がしねえな」


「だろうね。だから君が読むのは、ここだけでいいと思うよ」


話しながら、クリスは紙をめくる。そして彼は、ジュリアのことが書いてあるページを出した。


(こんなに細かく決められてたのか)


そこには以前も聞いたことがある、グラファ家の事情が書かれていた。

名門グラファ家の1人息子で、何不自由ない生活をしてきたせいで、ささいなことでは心が動かなくなってしまった父親。

政略結婚でグラファ家に嫁(とつ)いできて、夫の狂愛(きょうあい)により地下牢(ちかろう)に閉じこめられた母親。

そして、2人の娘としてワガママ放題(ほうだい)に育った娘。


(……ジュリアとしては、叱(しか)られた記憶がねえもんな)


前世では、母からよく怒鳴(どな)られた。あの頃は、それをうっとおしいと思っていたが。


(そうか。興味がないから、何をしてても怒らないのか……)


ジュリアの父親は、娘をただの駒(こま)としてしか見ていない。母親にいたっては、自分が子を産んだことも認識していないと書いてある。


「……これは本当のことなんですか?」


「そういう設定があるってだけだよ」


クリスは柔らかな声をだした。その目はとても優しげだ。


「君が覚えていないなら、信じなくてもいい。……本当は、これを見せるつもりはなかった。でも君が、戦うと言ってくれたから……。僕が知っていることは、明かそうと思ったんだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。