↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢(男)と攻略対象(女)、理不尽な乙女ゲームの世界を変える  作者: 文字書きA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/118

第63話:密談(後編)

「特別なことは、何もしていないよ」


クリスが笑って、ワイングラスをクルリと回した。


「僕はクロスリーの店に、一緒に行っただけだ」


「……そのような名前の者は、貴族の中にはおりませんが」


「平民だからね。大通りに店がある。店主は革命軍(かくめいぐん)の仲間の1人だ」


「はあ……。それだけですか?」


フィリクスは怪(あや)しむような目を、2人に向けた。ジュリアがフフンと、鼻を鳴らして笑う。


「革命を起こすということは、今の状況に満足していないということでしょう? そんな方々の声に耳を傾(かたむ)けている姿を間近(まぢか)で見れば、親しくなれるのも当然かと」


「……はあ、なるほど」


フィリクスはまだ、納得してはいなかった。そんな彼に、クリスは穏やかな笑みを向ける。


「のけ者にされるのが気に入らないなら、次は君も一緒に行くかい? 僕たちは構(かま)わないけれど」


「では、ぜひ」


フィリクスは迷わず、即答(そくとう)した。彼の瞳(ひとみ)が、月明かりの下でキラリと輝く。


「革命軍の情報を集めておくのは、私にとっても大切なことですからね。あなたが協力してくださるなら、助かります」


「じゃあ、そういうことで。……僕たちはそろそろ広間に戻るよ」


クリスは笑みを崩(くず)さず続けた。彼はフィリクスから目を離さず、ジュリアの手を引く。


「ずっと君とバルコニーにいるわけにもいかない。メルが僕たちを気にしているんだ。そろそろ彼に、顔を見せておかないとね」


「……あの男ですか」


フィリクスの目が細められる。


「彼のことは、私も警戒しています。油断できる相手ではありませんから」


「メルは未来の、グラファ公爵になるからね。君がブランソン家を継いで、2人目の公爵になったとしても、それだけで戦える相手でもないし」


その言葉に、フィリクスは無言の肯定(こうてい)を返した。クリスは彼をバルコニーに残して、ジュリアと共にパーティー会場に戻る。


「……もしかして、このゲームのラスボスはお兄様なのですか?」


戻る途中で、ジュリアが聞いた。クリスは少し、考えこむ。


「……そうかもしれない」


しばらくしてから、彼は小さな声でつぶやく。会場にいたメルヴィンが、笑顔でこちらに近づいてきていた。


「メルは愛する人の笑顔より、泣き顔のほうが好きなんだ」


彼が来る前に、クリスはそんな言葉を落とす。ジュリアは嫌な予感がした。


(てことは1番手ごわいのは……)


近寄ってきたメルヴィンは、柔らかな笑みを浮かべている。だが、その心のうちまでは、彼女にも読めない。


(気をつけておいた方がいいな)


そう思って、ジュリアはさり気なくメルヴィンとフィリクスの間に入る。パーティーはその後も、問題なく続いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。