↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢(男)と攻略対象(女)、理不尽な乙女ゲームの世界を変える  作者: 文字書きA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/117

第47話:心に決める

(これでいいんだ)


クリスが手配した馬車に、ポウムと一緒に乗りこみながら。ジュリアはそんなことを思った。


「それじゃあね。また今度」


ニコニコと笑って、彼は2人を見送る。馬車の中で、ポウムは言った。


「王子様って、素敵ですよね」


「……そうね。あなたは、あの人のことが好きなの?」


ジュリアは少し身構(みがま)える。隣(となり)に座っている少女は、口元に指を当てて考えた。


「んー……。私は、別に」


「……そう」


その言葉が本音(ほんね)かどうかは、ジュリアにはわからなかった。2人はそれきり会話をやめて、馬車に揺られる。


(……帰ったら、何をしよう)


静かになった馬車の中。聞こえるのは、車輪が回るガタゴトという音だけだ。


(向こうに俺の味方はいない。……自分の家、なのにな)


公爵家の前で馬車が止まる。先に下りたポウムの手を借りて、ジュリアはゆっくりと馬車から出た。門番が無言で、2人を見送る。屋敷の中ではジュリアの兄が、笑顔で彼女を出迎(でむか)えた。


「おかえり、ジュリア」


妹は黙って頭を下げる。彼はまだ、彼女の変化に気づいていない。


「……ねえ、お兄様」


気づかれるわけにはいかない。そう思いながら、ジュリアは目線を下に向けたまま口を開く。


「お祭りの日の前に、クリス様と出かけてもいいかしら」


「ああ。また新しいドレスを仕立てるんだろう? もちろんいいとも。グラファ家の令嬢たるもの、常に誰より美しく、目立つ存在でなければね」


兄は笑ってうなずいた。そのことで、ジュリアが安心した後に。


「……それに、僕もクリスに会えるのは楽しみだ。親(・)友(・)だからね」


少し声を低くして、男は続けた。ジュリアはそっと顔を上げる。彼女の兄は、少し不気味にも見える笑みを浮かべて、クリスのことを語っていた。


(……マジか)


考えてみれば当然だ。ジュリアとクリスは同じ転生者だが、記憶が戻った時期は違う。


(何をしたんだ、お前……)


ジュリアは心の中で、クリスに向かって問いかける。当たり前だが、脳内にいる彼は何も答えない。彼女の兄……メルヴィンは明らかに、クリスのことを特別視していた。


(それは、親友だからだと思ってたが……)


シリルの変化もある。何よりも。クリスは元々、乙女ゲームのプレイヤー側(がわ)だった。


(主人公と同じように動いてたんなら、攻略対象からそういう目で見られててもおかしくねえよな)


彼女は1人で納得する。そして。


(まあ、何でもいい。ここにアイツは来てねえし、誰が相手でも、俺は婚約者の立場が使える)


改めて彼は決意する。少し危機感(ききかん)の足りないクリスの代わりに、全力で彼を守ろうと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。