↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢(男)と攻略対象(女)、理不尽な乙女ゲームの世界を変える  作者: 文字書きA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/118

第40話:そういうもの?(後編)

「……ふふ。ふわふわする……」


酒を飲み続けて、クリスはすっかり良い気分になっていた。ニコニコと笑って、彼はジュリアにもたれかかる。


「ねえ、君も飲みなよ。お酒、美味しいよ?」


「……私まで酔(よ)ってしまったら、あなたを助ける人間がいなくなるでしょう」


呆れた顔で彼女が返す。彼は笑みを浮かべたまま、目を閉じた。それを見て、ジュリアは渋い顔をする。


「ちょっと。寝るなら王宮に帰ってから……」


「ヤダ。だってここ、宿屋でもあるんだよ。せっかくだから泊(と)まりたい。お金はあるし……」


「……バカ野郎。お前、自分を何だと思ってるんだ。王宮に帰らなかったら、捜索隊(そうさくたい)が出てくるだろうが」


つぶやきながら、シリルはクリスの腕を掴(つか)む。


「ほら、オレの肩を貸してやる。だから動け」


「……はあい」


ポワポワとした笑みを浮かべて、彼はうながされるままに立ち上がった。ジュリアは彼の手からコップを取って、机に置く。


「クリス様」


「うん?」


気が抜けた柔らかい表情で、男は首をかしげる。長いハチミツ色の髪が、ランプの明かりを受けてキラリと光った。


「あなたは私の婚約者ですからね。どうか、お忘れなく」


その言葉に、シリルがギクリとする。クリスの笑顔に見とれていた自覚(じかく)がある彼は、目をそらして言った。


「……ま、まあ。とにかく、王宮に行くぞ。歩けるか?」


「んー? うん……」


笑いながら、クリスはうなずく。その足どりはフラフラとしていた。


「……もう。私も、お手伝いしますわ」


ジュリアは席を立って、シリルと一緒にクリスを挟(はさ)み、彼の腕を肩にかけた。右にジュリア、左にクリスがいる状態で、両側から支えられながら彼はゆっくりと歩きだす。ジュリアは彼の頭にフードを被(かぶ)せて、自分も顔を隠(かく)した。


「……シリル。その人、大丈夫? 部屋、空いてるけど」


ドアのカギを開けて、外に出た先で。酒場の娘が、心配そうに声をかけてくる。シリルは鋭(するど)いまなざしで、彼女を見た。


「いや、いい。……こいつは家に帰してやんねえとな」


「……ふうん」


娘は目をシパシパとさせて、興味深そうな顔をした。


「アンタはホントに、その人のことが気に入ったんだね。今度アタシたちにも紹介してよ」


「……ああ、全部終わったらな」


そう言って、彼は2人を連れて歩く。そのまま店を出た3人は、夜の街を進んでいった。その道中(どうちゅう)で、シリルは2人にだけ聞こえるように言葉を落とす。


「革命(かくめい)が成功したら、もう1度あの店に来てくれよ。またオレが奢(おご)ってやるから」


「えー? どうして?」


クリスの声は弾(はず)んでいた。暗い道に、明るい声が響(ひび)く。


「お金、払(はら)わせてよ。大好きなお店なんだから」

いつも読んでくださり、ありがとうございます。

ご意見、ご感想、リアクションでも作者はとても嬉しいので、送っていただけますと幸いです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。