↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢(男)と攻略対象(女)、理不尽な乙女ゲームの世界を変える  作者: 文字書きA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/117

第29話:内緒話(中編)

「……で、フィリクスはそのこと、知ってるのか?」


ジュリアの問いに、クリスはゆっくりと、首を縦(たて)に動かした。彼女の頬(ほお)に冷たい汗が流れる。室内に流れる重い空気を感じながら、ジュリアは続けた。


「……それで?」


「フィリクスは父を憎(にく)んでいる。だが、生きるためには父親の庇護(ひご)を受けるしかない。……彼はね、ブランソン家の実権(じっけん)を握(にぎ)りたいんだ。そのために確かな実績(じっせき)を求めている。彼の力によってブランソン家が公爵になれば、父親よりも彼を支持するという者も現れるだろう。それを狙(ねら)っているんだよ」


「ようは遠回しな復讐じゃねえか。そんなもんに、力を貸していいのか?」


ジュリアの目がすわる。彼女の中にいる孝太(こうた)は、事情を詳(くわ)しく知るにつれて、だんだんと怒りがわいてきた。


(ふざけんな。そんなことで、俺は殺されるかもしれねえのか)


彼の感情は、クリスにも伝わる。そして、彼になっている日奈(ひな)は。


「……うん、そうだね。君にとっては理不尽(りふじん)なことだ」


ジュリアに共感して、穏やかな声でそう言った。その反応が予想外で、孝太は一瞬(いっしゅん)、怒(いか)りを忘れる。


「……え」


「この国って、そういう話ばかりなんだよ。恨みと憎しみが積(つ)み重なって、爆発寸前の状態になってるんだ。……ほら、だから革命軍(かくめいぐん)なんてのも出てくるわけで。でも、それはどれも僕たちが生まれる前のこと。関わってもいないのに、責任を取らされたくはないよね」


淡々(たんたん)と。静かな声で、クリスは話す。ジュリアもしだいに落ち着いてきた。


「……お前がこのゲームをやり込めた理由(ワケ)、なんかちょっと分かったわ」


やがて、彼女はため息と共に言葉をはきだす。


「イライラしねーんだな。こんな状況でも」


「……ふふ」


クリスはニコニコと笑っていた。


「そうだなあ。まあ、僕は全員の個別ルートを知ってるから。例えばフィリクスとか。本音も弱音も聞いちゃってるから、むしろ可愛く見えちゃって。君みたいには思えないんだ」


「……ああ、そう」


その笑みで、完全に気が抜けてしまって。ジュリアは肩を落として、ひたいを押さえた。


「……んで、シリルは?」


「ああ、彼。もちろん、フィリクスの本当の目的は知らないよ」


「まあ、そうだよな。……知ったらどうなるんだ? バッドエンドか?」


「いや。それは秋ごろに通る、必須(ひっす)イベントだね。むしろ明かさないとならないことだ」


「なんでだよ! どう考えても、揉(も)めごとにしかならねえだろうが!!」


ジュリアは思わず声をあらげた。クリスはわずかに眉を下げて、困り顔になる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。