↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢(男)と攻略対象(女)、理不尽な乙女ゲームの世界を変える  作者: 文字書きA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/117

第26話:フィリクスとシリル(中編)

「オレみてえな男のことなんて、アンタら貴族は、見たくもねえって思ってんだろ」


そう言って、シリルはジュリアをにらみつける。彼女は鮮やかな笑みを浮かべた。


「私(わたくし)をあまりナメないでくださる? 殿下が許しているのなら、私からは何も言うことはありませんわ」


「……ハッ」


シリルはジュリアの言葉を鼻で笑って、更に続ける。


「結局王子サマのお人形かよ。アンタに自分の意思はねえんだな」


「シリル」


彼女が何か言う前に、クリスは笑顔で口を挟(はさ)んだ。


「ジュリアは僕を信頼して、任せてくれているだけだよ」


「そうですわ。それに私は、きちんと自分で考えています」


「グラファのお姫サマに、考えがあるとは思えねえがな」


彼の言葉に頷(うなず)くジュリアに、シリルはなおも絡(から)んでいく。その意味のない争いを止めたのは、フィリクスだった。


「そこまでにしろ、シリル。……お前が貴族を嫌っているのは分かっている。だが、彼女が手を貸してくれるというのなら、私には断る理由がない」


低い声と、メガネの奥の冷たいまなざし。普段の彼とはまるで違うその態度に、ジュリアは目を見開いた。


(……こっわ! こいつ、こんなヤツだったのか)


ジュリアの記憶にある彼は、地位が高いだけで目立たない、大したことのない男だ。孝太(こうた)も姉から聞いたことは、特にない。


(てか、正直ちゃんと聞いてねえ……)


クリスティアンに関しては、姉が熱心(ねっしん)に言い続けていたから、なんとなくでも知っている。だが、他の攻略キャラのことは、名前すら頭に残っていない。


(……どうしよう)


今の孝太は女だ。力では彼らに敵(かな)わない。そう思ったとき。ジュリアは無意識に、クリスに体を寄せていた。


(そうだよね。何も知らないなら、不安になるのも当たり前だ)


反対に、クリスの中にいる日奈(ひな)は落ち着いていた。何度も見た、キャラの裏側。彼女にとっては普通の光景で、あまり驚くことではない。だが、ジュリアは違う。


(この子はアプグラを知らないもの。私が守ってあげないと)


近づいてきた彼女の体を抱き寄せて、クリスは微笑む。フィリクスはまだ、シリルと話していた。


「グラファ家は、この国で唯一(ゆいいつ)の公爵家だ。お前が憎(にく)み、滅(ほろ)ぼしたいと思う、貴族そのもの。だが、その力も利用して、お前はこの国を変えるんだろう? そうでなければ、お前が私と組む意味はない。なぜなら、私もまた。お前が憎む、貴族の中の1人なのだから」


その言葉に、シリルは唇(くちびる)を引きしめた。その体が震え始めて、目もギラギラと輝(かがや)きだす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。