↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢(男)と攻略対象(女)、理不尽な乙女ゲームの世界を変える  作者: 文字書きA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/127

第123話:フィリクスの変化(前編)

クリスたちが医者の家に行ったころ、フィリクスはやっと、後始末(あとしまつ)を終えて帰っていた。


「……おや? クリスティアン様は、どこに行かれたのですか? お姿が見当たらないようですが……」


自室に戻る前に、声だけかけておこうと思って。彼は王子の姿を探す。使用人たちに聞いても、誰も居場所を知らなかった。


「ああ。あのかたでしたら、裏から出ていかれましたよ」


最後に話しかけた門番が、そんな言葉を返してくる。フィリクスは凍(こお)りつくような思いがした。


「……行き先は?」


「さあ……特には聞いておりません」


「帰る、時間は」


「それも特には。……何かありましたか?」


「……いえ、何も」


かろうじて、それだけ言って。フィリクスはよろよろとその場を離れた。


(何をしているんだ。今の状況で、街の……それも、治安(ちあん)の悪いほうの道に出るとは)


クリスティアンだけではない。ジュリアとシリルもいなくなっている。それを確認して、彼は自分に言い聞かせた。


(心配はない。シリルがいるなら、おそらく無事に帰るだろう)


そう思っていても、心はまったく落ちつかない。クリスに何かあったらと思うだけで、目の前が暗くなって、足がうまく動かなくなる。


(当たり前だ。あの男に何かあれば、私の計画が壊れてしまう)


もしも、彼が大ケガを負(お)って帰ってきたら。そんな想像をしただけで、息がうまくできなくなる。


(……医者を呼んでおくべきか?)


そこまで考えたところで、彼は気づいた。まだ、何も起こっていないということに。


(私は、何を)


頭の中に、クリスティアンの顔が浮かぶ。彼を失いたくないと、強く思った。


(何を、バカな……あの男がいなくなったとしても、次の王になれる人間は残っている。今度は、そちらと手を組めばいいだけだ)


そんな考えが浮かんでしまって、フィリクスは自分のことが心底(しんそこ)イヤになった。


(私は何を考えているんだ。王には代わりがいるかもしれないが、クリスティアンの代わりが務(つと)まる人間など、どこにもいない)


フラつく足で空き部屋に入って、彼は床(ゆか)にヒザをつき、イスにすがった。


(……そうか。私はもう、クリスティアン様のことを認めていたのか。彼以外の人間に仕えることなど、考えられないほどに……)


深呼吸して、立ち上がる。


(どうせ落ちつけないのなら、裏口のそばに立っておけばいい。そうすれば、あのかたが帰ってきたとき、すぐにわかる)


空き部屋から出たフィリクスは、すでに決意を固めていた。クリスティアンが無事に戻ってきたら、この気持ちを伝えようと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。