↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢(男)と攻略対象(女)、理不尽な乙女ゲームの世界を変える  作者: 文字書きA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

111/118

第111話:ジュリアがいる意味(前編)

「……ああ、もちろん」


まっすぐな目をして、クリスが言う。


「約束しよう。僕は、君たちを大切にする王になると」


(立ち直りが早(はぇ)えなあ)


ジュリアは横から、彼を見ていた。キリッとした顔も、可愛いと思えてしまうのは、クリスのことを好きになったからなのかと考えながら。


「……よし。すぐにブランソン侯爵家に行くぞ」


シリルはドアのほうに向かった。クリスも鏡をパットに渡して立ち上がる。ジュリアは無言で、彼の手に自分の腕を絡(から)めた。

3人は、そのまま裏口から出ていく。赤色に染(そ)まる裏路地(うらろじ)を通って、彼らは侯爵家に向かった。


「おや、あなたは……」


裏門を守る衛兵(えいへい)が、クリスの顔を見て声を上げる。彼は声をひそめて返した。


「……詮索(せんさく)はするな。僕はフィリクスに用があるだけだ。ここに来たことも、誰にも話さないように」


そう言いながら、彼は門番に金貨を握(にぎ)らせる。門番は、黙って3人を中に入れた。


「……こんな時間に、どうしたんです」


騒(さわ)ぎを聞きつけて、フィリクスが来る。クリスは小声でささやいた。


「メルヴィンが、僕たちの動きに気づきかけている。少し早いが、先に行動を起こすべきだ」


フィリクスの目が細められる。彼は3人を連れて、空き部屋に入った。そして、ため息と共に言葉を落とす。


「……しくじったのか」


「どう思われてもかまわない。ただ、僕は後悔していないよ。あの場でポウムを助けられなければ、革命(かくめい)を起こす意味なんてないから」


「フン、相変わらず甘い考えかただ」


フィリクスはクリスをにらみつける。冷ややかな声で、彼は続けた。


「まあいい。終わったことに、何を言ってもムダになる。重要なのは、これからのことだ。アンブラー伯爵家と、ベックウィズ侯爵家。それと、バーケット辺境伯にはすでに約束を取り付けてある。すぐに彼らに話を通そう」


フィリクスが口に出した名前は、すべて有力貴族のものだ。ジュリアはそのことに驚く。だが、次に続いた言葉には、それ以上の衝撃(しょうげき)を受けた。


「まあ、お前の考えは正しかったな。婚約破棄をしていれば、今より面倒なことになっていただろう。婚約は、家と家の契約だ。ジュリアが王妃となる以上、グラファ家は、お前の王位継承に文句を言えない。後は、彼女が家と対立するだけだ」


「……はい?」


思わず聞き返してしまった。そんなジュリアに向かって、フィリクスは厳しい声音(こわね)で告(つ)げる。


「家族と戦えないのなら、すぐに別れろ。国を変えるには、王妃の協力が不可欠(ふかけつ)だ」


クリスが心配そうな目を向けてきた。その表情を見て、彼女は気持ちを引きしめる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。