第52話 北海道は暑いし寒いし……(中原)
夏休みに入り、学生が少なくなってか、コンビニも閑散としている。
「ねえ佐々木」
「なんだよ中原」
「ようやく夏休みだよね」
「そうだなー。今年は涼しくていいよなー」
「はじめは、酷暑だと思ったけど、意外と涼しいよねー」
「北海道以外の日本列島は、どこもここも暑いらしいけどなー」
「ところでさ、避暑地と言えば、軽井沢とか海外とかって言うじゃん」
「よく聞くよな」
「でも、なんで海外なのかな。北海道という、最高の避暑地があるじゃん」
「今年は涼しいけど、北海道も暑い年は暑いし」
「そうかもしれないけどさ」
「それに、本州は相当暑くて、むしろ東南アジアの方が涼しいらしいって、テレビで言ってたからなー。テレビの影響もあるんじゃね?」
「たしかにそうだよねー。円女の友達、ブルジョアでさ、海外で夏休みを過ごしてる子がたくさんいるの」
「やっぱ、お嬢様学校すげーなー」
「それで、ベトナムとかカンボジアとか、タイなんかの方が、近畿地方よりも涼しいって話ししてるんだよ」
「なぜに近畿地方なんだよ」
「それが、わざわざ京都の文化財を巡ってから、海外に行くとかってさ」
「近畿と海外を比べることが出来るのも、金持ちのお嬢様って感じだなー」
「今週、フィリピンと香港に行った友達がいるんだけどさ、雨が降った後や、台風が通過した後は、断然涼しかったらしいよ」
「日本もゲリラ豪雨とか言うけど、まだそこまでじゃないみたいだよなー」
「熱帯よりも暑い日本って、なんなんだろうね」
わたしと佐々木が、そんな最近の話題で盛り上がっているところ、お年寄りの客がやってきた。
「ねえ、カイロない?」
「カイロ、ですか?」
「そう、もう寝るときに寒くて寒くて、どうしようもないのよー」
「えーと、今の時期、さすがにカイロは売ってないですね……」
客は、しょんぼりとして帰って行った。
「さすがに、カイロは、ね……」
「年取ると、暑さを感じないっていうからな」
「確かに、夜中は涼しいけど、暖めるのは、この季節、まずいよね」
「熱中症になるパターンだな」
「ところで、なんだけどね……」
「なんだよ、中原」
「わたしも、夏休みに入ってすぐに、お腹出して寝てたら、ちょっとお腹壊しちゃった……」
「北海道は、寒いのも暑いのも気をつけないといけないんだな……」
「試される大地だからね……」
「いや、別にそれは試されてもなんでもないだろ……」




