14-10話 Still on My Way(10)
面接の翌日、教室に入った瞬間に思ったのは、受験前までと何も変わっていない、ということだった。
黒板の右上には、その日の当番が書かれていて、窓際の席のやつは朝から眠そうにあくびをしている。
廊下では隣のクラスの女子が笑っていて、どこかの部活の朝練帰りだろう、ジャージ姿の男子が汗の匂いをまとって通り過ぎていく。
いつも通りだった。
世界は、俺が面接を受けたくらいでは何も変わらないらしい。
なのに、俺の中だけが少しずれていた。
机に鞄を置いて、椅子を引く。
その何でもない動作すら、一拍遅れて身体が追いついてくる感じがする。昨日、筑波の面接室で何を話したのか。
面接官の顔はどうだったか。
あの問いに対して、あの答えでよかったのか。
考えないようにしていたはずのことが、教室のざわめきの隙間から何度も頭を出してくる。
「で?」
席に座るより先に、横から声が飛んできた。
井上さんだった。
「どうだったの? 面接」
その一言をきっかけに、近くにいた三人の視線まで一気にこっちへ向く。
夏村さん。
多江ちゃん。
那奈。
四人とも、聞きたいことは同じなんだろう。
けれど、表情は少しずつ違っていた。
井上さんは単純に興味がある顔、多江ちゃんは答えの精度まで聞き出す気の顔、那奈は本人より先に緊張していたみたいな顔。
そして夏村さんは――たぶん、いちばん聞きたいくせに、いちばん聞くのをためらっている顔だった。
「どう、って……」
俺は鞄から教科書を出すふりをしながら時間を稼いだ。
「終わった、って感じ」
「それ答えになってない」
多江ちゃんが即座に切った。
「手応えは?」
「……わからん」
「わからんって何?」
「いや、本当に」
変に期待させる言い方もしたくなかったし、逆に自分から失敗した気配を出すのも違う気がした。
結局、昨日からずっとそうなのだ。
何かを言い切るには確信が足りなくて、かといって完全に曖昧なままにしておくには現実味がありすぎる。
井上さんが俺の机の端に肘をつく。
「ちゃんと喋れた?」
「喋ったよ」
「詰まった?」
「……少し」
それを聞いた那奈が「ああ〜」と自分が面接を受けたみたいな顔をした。
「でも、それって普通じゃない? 面接だよ? 詰まるよね?」
「詰まり方による」
多江ちゃんの返しは冷静だった。冷静すぎて少し刺さる。
「質問の意図が分からなくて止まったのか、言葉が出てこなくて止まったのか、どっちなの?」
「小倉さんさ」
井上さんが笑う。
「尋問みたいになってる」
「だって大事なところでしょ」
多江ちゃんはそう言って俺を見る。
視線はまっすぐだった。
そこには純粋な心配もあるし、同時に“ちゃんと分析して次に活かしたい”という勉強組らしい癖も見えた。
俺は少しだけ考えてから答える。
「言葉が、追いつかなかった感じかな」
「英語?」
「いや、英語もだけど……たぶんそれだけじゃない」
その答えに反応したのは、夏村さんだった。
「内容か」
ぼそっと、確認するみたいに言う。
「……うん」
そこまで答えると、それ以上は何も言いたくなかった。
四人も、それを感じたのかもしれない。
ほんの一瞬だけ空気が止まって、すぐに井上さんが肩をすくめて空気を崩した。
「ま、終わったもんは終わったしね」
「そう、そう。今さら言い直せないし」
那奈が続く。
「でもさ、ちゃんと受けて帰ってきたんだから、それだけでえらいよ」
「ガキ扱いすんな」
「じゃあ中学生として扱いましょうか?(笑)」
「全然評価が上がってない」
少しだけ笑いが起きる。
その軽さに助けられた。
けれど、助けられながらも、どこかで置いていかれている感じがあった。
みんなはもう“終わった試験”として扱っているのに、俺の中ではまだ面接室の扉が閉まっていない。
授業が始まっても、その感覚は消えなかった。
黒板の文字は目で追える。ノートも取れる。教師の話も理解できる。
なのに、その全部が一枚薄い膜の向こう側で起きているみたいだった。
今ここで数式の話をされているのに、頭の隅では「受かった場合、どうする?」という、まだ誰にも答えていない問いがずっと残っている。
昼休み。
購買で買ったパンを机に置いたまま、俺は生徒会室へ向かった。
礼を言わなきゃいけない相手がいたからだ。
廊下は昼のざわめきに満ちていた。
窓の外から入る光は明るいのに、校舎の中はどこか冬の手前の乾いた空気を含み始めている。
夏の終わりとは違う、もっと輪郭のはっきりした季節の気配だった。
生徒会室の前で一度だけ立ち止まる。
自分でも少しだけ変だと思う。
たかが礼を言いに来ただけなのに、ノックをする前に気持ちを整えようとしている。
コン、コン。
「はい」
中から聞こえた声は、いつも通りの落ち着いたものだった。
「失礼します」
ドアを開けると、さよりは書類に目を落としていた。
机の上には何枚ものプリントが並んでいて、赤ペンと付箋まで置かれている。
昼休みにやることじゃないだろ、と言いたくなるくらい仕事の姿勢が変わらない。
彼女は俺を見ると、ほんの少しだけ目を細めた。
「珍しいですね」
「そうか?」
「先輩が昼休みに自分からここへ来るの、あまりないので」
「……礼を言いに来た」
さよりの手が止まる。
目で指示をすると生徒会のメンバーたちは散々と外へ向かった。
「面接の件」
「ああ」
それだけ返して、彼女はペンを置いた。
「役に立ちましたか」
「立った。かなり」
「それならよかったです」
言い方は事務的だった。
けれど、完全に他人事として流しているわけじゃない。
その少しだけ隠れた安堵が、彼女らしかった。
俺はそこで帰ればよかったのかもしれない。
けれど、何となく足が動かなかった。
たぶん、自分でも気づかないうちに、誰かに昨日のことを“確認”してほしかったんだと思う。
「……何聞かれたか、話してもいいか」
言うと、さよりは小さく頷いた。
「どうぞ」
それから俺は、昨日の面接で聞かれたことを一つずつ口にした。
志望理由。高校生活で苦労したこと。医療への考え方。将来どうなりたいか……。
話しているうちに、自分でも驚くくらい細かいところまで覚えていることに気づく。
面接官の表情、机の木目、沈黙が落ちた長さまで、妙に鮮明だった。
さよりは途中で一度も口を挟まなかった。
最後まで聞いてから、ようやく口を開く。
「それ」
一拍。
「ちゃんと、先輩の言葉でしたか?」
そこで、俺は詰まった。
“ちゃんと”の意味は分かる。
用意してきた内容をなぞっただけじゃないか。
その場で答えたように見せかけて、結局は自分の中の正解集を読み上げただけじゃないのか。
そう問われているのだ。
たぶん、沈黙は一秒もなかった。
でも、体感ではもっと長かった。
「……全部が全部、とは言えない」
「ですよね」
即答だった。
責めているわけじゃない。けれど、逃がすつもりもない声だった。
「準備した答えを持っていくのは当然です。でも、それを綺麗に並べすぎると、深掘りで崩れます」
「実際、崩れた」
「でしょうね」
容赦がない。
だが、その容赦のなさがありがたかった。変に気を遣った慰めより、今はずっと楽だった。
「先輩」
さよりは資料を軽く揃えながら言う。
「面接って、受かるか落ちるかだけじゃありません」
「……分かってる」
「本当に分かってますか?」
その問いに、すぐには答えられなかった。
「昨日から先輩、ずっとそこに引っかかってますよね」
「……まあ」
「合格するかもしれない未来に、先に動けていない」
図星だった。
「受かったら考える、になってます」
それは、昨日から自分でも気づいていたことだった。だからこそ、言葉にされると痛い。
「でも、合否が出るまで待つって、一番楽なんです」
さよりの声は静かだった。静かだけど、そこで目を逸らさせない強さがあった。
「考えなくていいから」
俺は何も言えなかった。
昼休みが終わるチャイムが鳴るまで、二人の間には少し長い沈黙があった。
その夜の勉強会で、俺は明らかに止まっていた。
いつものように俺の部屋に集まって、参考書とノートを広げているのに、気づけばペン先が宙で止まっている。
問題は見ている。でも読んでいない。読んでいるようで、理解していない。
「かずくん」
多江ちゃんだった。
「そこ、五分くらい進んでないけど」
「……そんなに?」
「そんなに」
机の向こうから返ってくる声は妙に冷静だった。冷静な分だけ、誤魔化しが効かない。
井上さんが横から覗き込んでくる。
「もしかしてまだ昨日のこと考えてる?」
「いや」
「いや、その“いや”は考えてるやつ」
那奈まで「わかる〜」みたいな顔で頷く。
夏村さんは少しだけ黙っていたが、最後に一言だけ言った。
「集中しろ」
短い。だが、それがいちばん効いた。
集中したい。
だがしたいのに、できない。
自分の中に余白がない感じがした。
昨日まで詰め込んでいた緊張が抜けたはずなのに、抜けた場所に今度は不安と未決着が流れ込んできている。
その日の帰り、さよりから電話が来た。
珍しく、ではない。
むしろ、その日から二週間、それはほとんど毎日続くことになる。
『先輩』
「うん」
『今日、止まってましたよね』
第一声がそれだった。
「……見てたのか」
『見える位置にいましたから』
そりゃそうだ。勉強会で隣の机に座っているのだから、見えない方がおかしい。
『今の先輩、“保留状態”です』
「保留……」
『合否が出るまで、自分の次を考えないで済ませようとしてます』
言葉が淡々としている分、余計に突き刺さる。
『それ、一番周りに悪影響です』
「そんな大げさな」
『大げさじゃありません』
即答。
『あの四人、今は先輩を中心にして動いてます』
四人。
夏村さん、井上さん、多江ちゃん、那奈。
その名前を頭の中で並べた瞬間、胸の奥が少し重くなる。
『中心が止まってるのに、周りだけ走らせるんですか?』
さよりは本当に容赦がない。
「……じゃあ、どうしろって言うんだよ」
少しだけ苛立ちが混じった声になった。だが、さよりは動じない。
『やることは二つです』
区切るみたいに、はっきり言う。
『一つ目。四人の勉強をきちんと支えること。もう一つ。自分が受かった後のことを、今から考えること』
「受かった後なんて、まだ」
『“まだ”じゃないです』
切られる。
『受かったら考える、は遅いです』
一瞬、言葉が出なかった。
『先輩』
少しだけ声が落ちる。
『逃げないでください』
その一言が、その日の会話でいちばん残った。
そこからの二週間は、静かに過ぎていった。
だが、静かだからといって何も起きていなかったわけではない。
むしろ、目立つ事件がないぶん、細かい変化ばかりが積み重なっていった。
学校では進路希望調査の紙が配られ、進学か就職かでふざけ半分に騒ぐやつらがいる一方で、俺たちの周りでは模試の判定と過去問の配点が現実味を増していく。
昼休みに購買へ行く途中、井上さんが「最近の高三って顔が死ぬの早くない?」と笑い、多江ちゃんは「笑い事じゃないから」と切り返し、那奈はなぜかその会話を聞いて「私まだ高三じゃないけど、なんか今から怖い」と勝手に二年生化していた。
勉強会では、夏村さんの英語の音読が目に見えて滑らかになっていった。
リスニング用のCDを聞きながら書き取りをさせた成果が少しずつ出ていて、最初は単語の切れ目で止まっていたのに、今は文のまとまりで音を掴めるようになっている。
本人は「これ、通訳っていうか、同時に頭使うから普通に疲れる」とぼやいていたが、その顔には嫌そうな色がなかった。
多江ちゃんはそんな夏村さんを見ながら、表面上は冷静に問題を解いているくせに、分からない問題にぶつかった瞬間だけ異様に筆圧が強くなる。
井上さんは勉強会に来ても半分くらいは場の温度を読むことに使っている感じで、誰かが沈みそうになると軽く茶化して崩す。
那奈は相変わらず分からないところを分からないままにしない素直さがあって、その真っ直ぐさに救われることがある。
その全部を見ていると、さよりの言葉が何度も蘇った。
――中心が止まってるのに、周りだけ走らせるんですか?
毎晩のように電話は来た。
『今日は何をやりましたか』
『四人の進捗はどうですか』
『先輩、自分の勉強は?』
会話というより報告だった。
時々それがうっとうしく感じることもあった。
だが、電話が来ない日を想像すると、それはそれで妙に落ち着かない気がした。
管理されているのか、支えられているのか、自分でも判断がつかない。
けれど、どちらにせよ、あの電話があることで一日が終わる感覚だけは確かにあった。
その二週間のあいだ、いくつかの小さな出来事もあった。
放課後の廊下で井上さんに「受かったらさ、先のことちゃんと考えるんでしょ?」と急に聞かれた。
俺が曖昧に笑うと、彼女は「そういう顔してると、後でみんなに怒られるよ」と言って去っていった。
別の日には、多江が珍しく勉強会の帰りに「結果出るまで落ち着かないのは分かるけど、それで手止めるの、一番損だから」とだけ言った。
励ましではない。ただ事実を置いていっただけだ。
でも、たぶんあれは多江ちゃんなりの優しさだった。
那奈はというと、「かずくん最近ちょっとぼーっとしてる」と真正面から言ったあと、「でもちゃんとご飯は食べてね」と続けた。
子どもっぽいようでいて、案外本質を突いてくる。
そして夏村さんは、何も言わなかった。
何も言わないかわりに、いつも通り勉強して、いつも通り隣に座って、たまに俺のノートを覗き込み、たまに黙ってコーヒーを差し出した。
言葉にしないまま「ちゃんと戻ってこい」と言われている気がした。
発表の日は、拍子抜けするほど普通に始まった。
朝のホームルーム。
いつもの授業。
いつもの廊下。
ただ、呼び出しだけが違った。
進路指導室の前に立った瞬間、手のひらにじわっと汗が滲むのが分かった。
今年の呼び出しの時もここへ来た。
受験の話をし、推薦を受けるかどうかを決めた。
あのときも緊張した。けれど、今日はもっと直接的だった。
紙一枚、あるいは先生の一言で、この数か月の意味づけが変わる。
中に入ると校長、教頭、岡田先生、渋谷先生がいた。前回の面談と同様である。
「高松」
中に入ると、岡田先生はすぐに本題に入った。
「合格だ」
その二文字が、妙にあっさり落ちてきた。
拍子抜けするくらい簡単に。
しばらく、意味が入ってこなかった。
「……え」
「だから、合格だ。筑波、通ったぞ」
ようやく現実になる。
受かった。
その瞬間に、もっと派手に何かが動くと思っていた。
嬉しいとか、泣きそうとか、身体が震えるとか。そういう分かりやすい反応があると思っていた。
けれど、実際に最初に来たのは別の感情だった。
――で、どうする?
受かった。
じゃあ、その先は。
先生が何か言っている。おめでとうとか、よくやったとか、そういう類の言葉だった気がする。
でも半分くらいしか頭に入らない。
受かった後の現実が、一気に近づいてきたからだ。
校長が一拍入れ、こう言いだす。
「そこでだ。高松君。この合格を全校に拡散したいんだ。次回の朝礼の際、大々的に発表したい」
「そのお約束でしたよね。うちのような高校でもがんばれば有名大学に合格できるってことを全校に知らしめる。その旗頭になれと……。了解です」
「その役割を君は実現してくれたんだ。まずは感謝する」
そこからは俺の合格はそっちのけで朝礼での手順を検討する始末だ。
なにしろ俺に合格書類を渡す前に帰る指示を出したくらいだ。
先生方も舞い上がっていたのだろう。
しかし、落ち着いた俺がそこにはいた。
教室に帰ってみれば教室内は合格を確信していたらしく五時間目の開始まで大騒ぎであった。
その日の放課後すぐ、さよりに呼び出された。
場所は空き教室だった。窓際の席に西日が差し込んで、床の上に長い四角を作っている。冬の手前の光は、明るいのに少しだけ冷たい。
「おめでとうございます」
さよりはそう言った。
「ありがとう」
短く返す。
それで終わると思った。だが、当然終わらない。
「で?」
たった一文字。
それだけで、逃げ道がないと分かった。
「……とりあえず」
言葉を探す。
「今後は、四人を全員受からせる方向で――」
「逃げないでください」
被せられた。
強い声音ではない。けれど、そこで流さない意志だけははっきりしていた。
「それ」
さよりが一歩近づく。
「結論の先延ばしです」
言い切られる。
「先輩、自分の進路が一つ決まったのに、まだ“その先”を誰にも言ってませんよね」
「今はまだ四人が」
「四人のことを言い訳にしないでください」
そこまで言われて、ようやく理解する。
俺は“全員合格”を掲げることで、その先の問いから逃げようとしていたのだ。
誰と進むのか。
どこで線を引くのか。
自分が何を選ぶのか。
それを、まだ考えないで済む言葉が「全員合格」だった。
「先輩」
さよりの声が少しだけ柔らかくなる。
「全員合格は立派です」
「……」
「でも、その先は?」
答えられない。
「誰を選ぶのですか。誰と進むのですか」
その問いは、たぶん恋愛だけを指しているわけじゃなかった。
筑波へ進む自分。
残される四人。
勉強会で結ばれていた関係。
それが、合格を境にどう変わるのか。
その全部を含んだ問いだった。
窓の外では、部活帰りの生徒たちが小さく笑いながら歩いている。秋の空は高くて、何も迷っていないみたいに青かった。
俺だけが、そこで立ち止まっていた。
いや。
もう、立ち止まっていることすら許されないところまで来ていたのかもしれない。
受かったから終わりじゃない。
むしろ、ここからが始まりだ。
それを最初に突きつけてきたのが、さよりだったということが、たぶんこの二週間でいちばん象徴的だった。
彼女は励ましていない。慰めてもいない。
背中を押しているようでいて、実際には逃げ道を塞いでいる。
なのに、その圧が嫌ではなかった。
嫌ではないということ自体が、もうかなり深いところまで彼女に踏み込まれている証拠なのだろう。
「……分かってるよ」
ようやく絞り出す。
「分かってる。けど、まだ――」
「“まだ”じゃないです。先輩たちがかわいそうです。新たな気持ちで卒業してほしいって思わないんですか?」
即座に返される。
「先輩、そうやってずっと先延ばしにしてきたじゃないですか」
返す言葉がない。
「高校受験のときも、今回の受験の時も、先輩たちのことも……(私のことも……)」
そこまで言われると、もう認めるしかなかった。
俺は、決断の直前で立ち止まる癖がある。
何かを失うことが確定する瞬間、必ず一歩引いてしまう。
そして、その一歩引いた位置から“みんなのため”とか“今はまだ”とか、綺麗な言葉を被せてきた。
さよりは、それを全部見ていたのだ。
「……きついな」
苦笑交じりに言うと、さよりは少しだけ目を伏せた。
「きつく言わないと、先輩は止まるからです」
その言葉だけは、少しだけ痛かった。
だが少しだけ優しかった。
当作品をここまで読んで頂き、ありがとうございます。
面白い・続きが気になる等思われた方は、評価ポイント(↓の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)を入れて頂けると作者の励みになります。
また、ブックマーク登録・お気に入りユーザー登録の方もよろしくお願いします。




