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役立たずと追放された俺の保存倉庫は、飢えた世界を救う最後の希望だった  作者: レモンティー


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第十六話 三日で売らなければ村が飢える


三日後までに村の収入を確保しなければ、次の大麦を買えない。

売れるものは木工職人ガランの器だけだったが、北の市場では安い量産品が出回っていた。

俺は値引きの相談をしようとして、彼が削りかけの匙を見つめているのに気づいた。

「安く売るために薄くすれば、使う人が困る」

とガランは言った。

その一言で、売る相手に実物を使ってもらう方針が決まった。

北の市場へ向かうことになったのは、俺とヨルン、それに木工職人のガランだった。

ガランは無口な男で、出発前から何度も木の器を磨いていた。

「売れると思うか」

「まだ分かりません」

「商会に睨まれた品だぞ」

「だから、別の人に見てもらいます」

ラトナには三日分の余裕しかなかった。

ベルクへの配給は、セヴたちが大麦を運ぶことで続ける。

俺が戻れなければ、二つの村の仕入れ計画が崩れる。

「期限を決めよう」

俺は出発前に村長へ言った。

「三日目の夕方までに戻らなければ、残金で最低限の穀物を買ってください。俺の帰りを待たないで」

エナが帳面に赤い線を引いた。

「分かった。あなたが戻らなくても回るようにする」

北の市場は大きかった。

街道沿いに店が並び、木工品の露店も多い。

しかし最初の三軒では相手にされなかった。

「うちは付き合いのある工房から買ってる」

「値段が高い」

「よそ者の品は保証できない」

ガランの肩が少しずつ落ちていく。

四軒目で、年配の女性店主が器を手に取った。

「丈夫だね。でも重い」

「山の木で作ってる」

ガランが答えた。

「毎日使うなら、もう少し軽い方がいい」

女性は器を返した。

俺はガランに尋ねた。

「薄く削れますか」

「割れやすくなる」

「じゃあ、厚みを残す場所を変えるのは?」

ガランは器を見つめた。

「持ち手と底を残して、縁を薄くするなら……」

「試せますか」

市場の裏で道具を借り、ガランは半日かけて一つ作り直した。

女性店主は改良した器を持ち上げ、指で縁をなぞった。

「これなら十個欲しい。ただし、同じ品質でね」

ガランは驚いた。

「十個?」

「売れたら次は二十個」

その場で見本代を受け取り、納期を決めた。

だが十個では、二つの村を支えるには足りない。

俺たちは市場の食堂へ向かった。

店主に木の匙を見せると、今度は別の問題が出た。

「熱い汁で曲がらないか?」

俺は三日目の夕方までの残り時間を帳面に書き、食堂主の返事を待った。

「熱い汁で試すなら、ここでやってくれ」

と食堂主は鍋を指した。

ガランは匙を握り直した。

売れなければ村へ持ち帰る麦は減る。

だが欠陥を隠して売れば、次の注文は二度と来ない。

「試してください。壊れたら、俺が直します」

食堂主は黙って鍋を火にかけた。

湯気が上がるまでの時間が、ひどく長く感じられた。

ガランは自分の掌に残った削り傷を見つめていた。

「これで駄目なら、売れる形になるまで直す。でも、村の麦を買う金は今日必要なんだ」

その声は震えていた。

俺は値引きの言葉を飲み込み、試験が終わるまで待った。

市場の作業場で、ガランは十本の注文書を広げ、一本ずつ必要な木材の長さを書き出した。

ヨルンが残りの木材を数えると、見本を作り直した分だけ余裕がなくなっていた。

「これじゃ十一本目を作れないな」

「十一本目はまだ頼まれていない」

とガランは答えた。

「十本を守る。足りない木を買うなら、その代金を先に計算する」

以前なら商会が言い値で材料を渡し、完成品の値段も決めていた。

今回は自分たちで決める必要がある。

ガランは何度も計算をやり直した。

俺はその隣で、村に持ち帰る豆の袋を数えた。

「食堂の娘の意見がなければ、使いやすい匙にはならなかった」

「だから次は、買う人に先に使い方を聞きましょう」

彼は削りかけの匙を持ち上げた。

「仕事ってのは、作って終わりじゃないんだな」

俺は返事をせず、食堂主の書いた納期を指した。

三日目の夕暮れまでに村へ戻ることと、明日の納品を守ること。

二つの約束を守らなければ、今日の銀貨にも意味がなくなる。

ガランが差し出した最初の匙を、食堂主は熱い汁に沈めた。

柄の付け根が、ぱきりと割れた。

「これじゃ子供に持たせられない」

食堂主が匙を返す。

残り一日。

材料代を取り戻せなければ、村で待つ人々の食事は尽きる。

「半値で売ろう」

とガランが言った。

「割れない分だけでも買ってもらえば、今夜の麦になる」

俺は頷きかけた。

だが食堂の娘が折れた匙を拾い、柄を握った。

「ここを太くして、私の手には少し短くして。そうしたら熱い汁もすくえるよ」

ガランは娘の手と折れ目を交互に見た。

「……作り直す時間をくれ」

市場が閉まる鐘が鳴るまで、彼は作業台を離れなかった。

俺とヨルンは材料を押さえ、削り屑を片づけた。

二度目の匙は割れなかった。

「十本だけなら買う。ただし明日の納品だ」

と食堂主。

「十本なら、必ず仕上げます」

ガランは値引きではなく、自分の腕と納期を賭けて答えた。

食堂主は前金を半分渡し、注文書に署名した。

俺たちはその銀貨で大麦と豆を買った。

帰路の雨で荷車の車輪が泥に沈んだとき、ガランは俺が食料だけを倉庫へ入れて先に帰る案を止めた。

「荷車を置いていけば、明日の十本は届かない。今日の飯だけじゃ村は生きられない」

三人で泥を掘り、石を敷いた。

三日目の夕暮れ、村の広場へ戻ると、エナが残りの食料を数えて待っていた。

俺は買った麦を並べ、ガランは注文書を村長へ差し出した。

「十本の仕事ができた。明日、俺が届ける」

トトが空の木箱を持ってきた。

「じゃあ、僕が運ぶ札を書くよ」

村長は売れ残りの匙も数え、次の便の積み荷を減らした。

誰も失敗を隠さず、無理な注文も受けなかった。

ガランは注文書を懐に入れた。

「三日で全部を売れたわけじゃない。でも、明日も作っていいんだな」

「はい。明日も、あなたの仕事を待っている人がいます」

広場に歓声が上がった。

三日の期限が終わるその夕方、村には食料と、次の食料を買うための仕事が残った。

だがガランは売上を数えて顔を曇らせた。


翌週の大麦を買えば、工房の屋根を直す金がなくなる。

「雨が降ったら器が駄目になる」

とヨルンが言う。

ガランは修理用に貯めた銀貨を村長に渡した。

「器ならまた作れる。腹を空かせた子の三日は戻らない」

村長は全額を受け取らず、屋根を直すための共同作業を翌朝に決めた。

ガランは修理を諦めた屋根を見上げた。

雨粒が一つ、完成した匙に落ちる。

ヨルンが器を奥へ運び、村長は明朝の屋根修理に集まる人の名前を読み上げた。

ガランはようやく息を吐き、完成した匙を一本ずつ布で包み、受取人の名を書いた札を結んだ。

欠けた品があれば次の市で交換すると約束した。

俺が札を読み終える前に、職人は次の注文用の紙を広げた。

納期の欄は、まだ空白だった。

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