第2話 終焉剣バル・ネメシス
「か、影斗!?」
白石の声だ。
『クックックッ……ようやく解き放ったか、影斗。我が名は影。深淵を治めし王である』
オレの口から紡がれる言葉通りに黒川の動きと言葉が合わさる。
黒川が闇を振り払い、立ち上がれば漆黒の髪に深緑の2本の双角。
赤き瞳は白石を見下すかのごとく冷たく光る。
「あなたが影だったの……」
『今更気づいたか、馬鹿な女だ。黒川影斗などこの世には存在せぬ、全ては我の仮の姿に過ぎぬのだ』
「あなたがまさかこの学園に巣食う影だったなんて、皮肉なものね。
そんなあなたと私が愛を確かめ合っていただなんて。
私こそ、あなたを葬り去るために遣わされた聖なる者よ」
白石がキッと鋭い瞳で黒川……否、影を睨みつけた。
ゆっくりと白石の右手が空へと伸びる。
「白き花は散り、 黒き夜は明ける。
涙を祈りへ。 祈りを刃へ。 刃を救済へ。
神より授かりしこの力、 私は世界を護る。
《ホーリー・ノクターン》!!」
白石が空から降りそそぐ巨大な力を受け止めた。
爆風が吹き荒れ、オレは目を細める。
爆風が収まれば、白き翼を背に美しい純白のドレスを身にまとう天使……が、いた。
『フハハハッ!! 面白い、天使であったとは!!!
永き眠りは終わりだ。
血を求め、 魂を求め、 世界の終焉を求めし魔剣よ。
主の命に応えよ。
――顕現せよ、《終焉剣バル・ネメシス》』
影の右横の空間が歪む。
その歪みへと手を突っ込み勢いよく引き抜いた。
そこには禍々しいほどの力を放つ《終焉剣バル・ネメシス》が握られていた。
「深淵の王、あなたがどれほど闇を纏おうとも、私は恐れない。
なぜなら―― 私の背には、救いたい人々の願いがある。
私は剣ではなく、祈りで戦う者。
私の名は、聖翼の代行者マリア。
この世界に、まだ希望があることを証明するわ!」
影とマリアが対峙する。
一陣の風が2人の間を吹き抜け、さらにオレのノート【漆黒の書】の頁をめくった。
オレは目の前で起こっていることに呆けてしまう。
ちょっと待って、これはオレがしたのか?!
嘘だよね?
ぼ、僕のせいで、黒川の封印が解けちゃったぁぁぁぁぁ!?




