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輝け! ヤバ高キュイジーヌ  作者: しーなもん
第1章:創設ヤバ高調理部
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第9話『焼きそばの作り方』

 結成祝いの材料を購入するため、俺たちは大須にあるスーパーに寄ることにした。

 買い物カゴに、中華麺4袋、豚バラ肉、もやしを入れる。

 結成祝いで作るのは、焼きそばだ。


「玉ねぎとキャベツも入れますね」


 そう言って買い物カゴに入れようとするプリアに、俺は断りを入れた。


「もやし以外の野菜やソースなんかは家にあるから、それ使おうぜ」


 そう言って、カゴの中身を計算する。

 全部で600円くらいか。

 豚バラ肉さえなければ150円くらいで済むが、さすがに肉は少しだけでもほしい。

 どちらにしろ恐ろしく安上がりな結成祝いになりそうだ。


「じゃあ俺、レジに行くわ」


 プリアにそう言ってレジに向かおうとした時、俺たち以外のヤバ高制服が目に留まり、俺は足を止めた。

 あれは確か限界飯の……名前、杉浦だっけ?


「よお、買い物か?」


 杉浦に声をかけると、杉浦はこちらを見て「ああ、どうも」と返事をした後、俺の持っている買い物カゴの中身を見て言った。


「焼きそば?」


「ん? ああ、良く分かったな」


「僕も今晩は焼きそばなんだ」


 そう言った杉浦の買い物カゴの中身を見ると、中華麺、ちくわ、油揚げ、もやしが入っていた。


「焼きそばにちくわ?」


「うん、お肉の代わりに入れたら美味しいよ」


 味の想像をしてみる。

 焼きそばにちくわは合いそうだ。


「お前、今日はバイト?」


 そう聞くと、杉浦は不思議そうにこちらを見る。


「えっ、僕、バイトなんてしてないよ?」


 俺は目を丸くして杉浦に言った。


「えっ、バイトしてねえの!? だってお前、金ねえって言ってたじゃん」


「バイトなんて面倒なことできないよ」


「面倒って……」


 人のことをとやかく言う権利なんてないが、あんな限界飯を食うくらいならバイトして金を稼げばいいのに、とは思ってしまう。


「じゃあ、また」


 そう言って杉浦は去っていった。


「ちくわか……」


 あいつの限界飯がどんなものか気になった俺は、買い物カゴから豚バラ肉を元に戻した。


「えっ、お肉戻しちゃうんですか?」


 プリアが驚いた顔で言う。


「あいつ、毎日昼飯に学校で限界飯作ってるらしいんだ。そんなあいつの焼きそば、食ってみたくね?」


 そう聞くと、戸惑った顔をするプリア。

 まあ、そうだよな。

 プリアはあいつの限界飯を見たことがないし。


「まっ、いいじゃん。美味そうだし、より安くなるしさ」


 そう言いながら、ちくわと油揚げを買い物カゴに入れる。


「これもよろしく!」


 どこかに行っていた村岡と松原が、俺の買い物カゴに2リットルのコーラと、ポテチ、カットしてパックに入ったチーズケーキを3つ入れた。


「あっ、お前ら勝手に!」


「別にいいじゃん、結成祝いなんだから」


 笑顔でそう言う村岡に、俺は溜め息を吐いた。

 どうせ、俺の分のチーズケーキはない。

 豚バラ肉すら節約しようとしたのが馬鹿らしくなる。


「お前らがそんなことするなら、俺も節約しねえからな!」


 そう言って俺は肉コーナーに戻り、さっきの豚バラ肉ではなく、イベリコ豚のバラ肉を買い物カゴに入れたのだった。




 玉ねぎを繊維に沿って薄く切り、キャベツを角切り、人参を短冊切り、ちくわと油揚げを適度なサイズに切る。

 フライパンをコンロの上に乗せて、俺はジト目でリビングを見た。

 あいつらはリビングにあるテーブルを囲って、コーラを飲みながらポテチを食べて談笑している。

 なぜ、幽霊部員になる俺があいつらの飯を作っているのか……。


「お前ら手伝えよ」


 そう言うと、村岡がこちらに顔を向けて言った。


「だって私、魚料理専門だもん」


「はあ? 何だよそれ? 魚はさばけんの?」


「捌けるよ。おじいちゃんが魚料理のお店やってて、小さい頃から手伝ってたから」


 それは凄いかもしれないが、だからといって他の料理は作らなくてもいいとはならない。

 村岡に反論しようとしたら、松原が続けて言った。


「私もお菓子以外は全然知らないから……」


 知らないなら見とけよ!

 そう言いたいが、松原にはあまり強く言えない自分がいた。


「私、手伝います」


 そう言ってプリアが席を立つ。


「おお、すまんな」


 プリアにそう言うと、村岡がとんでもない事を言い出す。


「えーっ!? プリアにだけ手伝わせるなんて、可哀想じゃん!」


 俺はカチンときて言い返した。


「一番可哀想なのは、俺だ!」


 そう怒鳴ると、3人は互いに顔を見合わせて爆笑した後、キッチンにやって来た。


「しょーがないね、手伝うよ」


 代表してそう言った村岡に菜箸を渡す。


「じゃあ、後はよろしく」


 まあ、野菜は切ったし、後は炒めて終わりなんだが……。

 プリアが火をかけたフライパンに、そのまま豚肉を入れようとしたので俺は叫んだ。


「おい、やめろ! まだ油引いてねえ!」


「あっ、ごめんなさい。ウチではフッ素加工のフライパンだから……」


 プリアがそう言った後、続けて村岡が言う。


「油なんて、お肉焼いたら出てくるじゃん」


 俺はそんな二人を怪訝に見た。


「フッ素加工でも油は引いた方がいいぞ。それに、最初に肉を炒めるより、麺を炒めた方がカリッとして旨い」


 驚いた顔で互いの顔を見合わせる3人。

 本当にこいつら、これから調理部をやっていくのか?


「えっ、でも屋台とかだと先に肉炒めてるよね?」


 村岡の質問に、淡々と説明する。


「鉄板だと水分が充分飛ぶからな。でもフライパンだと水分が充分飛ばなくてベチャっとしちゃうんだよ」


 村岡は俺の説明を聞き、真剣な眼差しで言った。


「ごめん、やっぱり麦野君作ってよ。私ら近くで見学してるからさ」


 俺は溜め息を吐いた。

 まあ、あっちで談笑してるよりかはマシか……。


「じゃあお前ら、せめてブレザー脱げよ」


 そう言うと、身を守るように後退りをする3人。


「む、麦野君って、そういう人だったの!?」


 顔を赤らめてそう言った松原に察しがついて、俺は怒鳴った。


「バカかお前らッ! 油が飛んで汚れるからだろ!」


 俺は村岡から菜箸を奪い取り、続きを作るのだった。

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