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輝け! ヤバ高キュイジーヌ  作者: しーなもん
第1章:創設ヤバ高調理部
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第10話『結成祝い』

 出来た焼きそばをテーブルに並べ、皆で席に座った。

 グラスにコーラを注ぎ、村岡が音頭を取る。


「それじゃあ、調理部の創設を祝いまして、かんぱーい!」


 皆でグラスを合わせ、コーラを一口飲んでから焼きそばを頬張る。

 肉の代わりにちくわを入れると杉浦は言っていたけど、ソースと肉汁が絡まったこのちくわも、これはこれで旨い。

 ソースがしっかりと染み込んだ油揚げが焼きそば全体の香ばしさを引き立たせ、杉浦はやっぱり凄い奴なんじゃないかと改めて思った。


「この焼きそば、美味しい……」


 隣に座るプリアが、ポツリと言った。


「杉浦っていう奴のアドバイスだよ。ちくわと油揚げを入れたのは正解だな」


「へえ、杉浦君のアドバイスなんだ」


 感心したように言う村岡。

 ああそうか、スーパーで杉浦と会った時、こいつどっかに行っていたな。


「あいつ、調理部入ってくんねえかな? 忙しいとは言っていたけど、バイトはしてねえらしいんだ」


 あいつの料理知識が欲しいが、それだけじゃない。

 この、男子一人しかいないという状況は何とかしないといけないからだ。

 この状況をハーレムとか言う奴がいるかもしれないが、それは大きな間違いだと断言できる。

 女の中に男が一人、それは地獄でしかない。

 部の為というか、杉浦には俺の為に入部してほしい。


「じゃあ、もう一回誘ってみる?」


 村岡にそう聞かれ、俺は頷いて返事した。


「そうだな。次会ったらまた誘ってみる」


「ところでさ」


 村岡が、隣に座る松原に顔を向けて言う。


「松原さんは、どうして急に部に入る気になったの?」


 げげっ!?

 それ聞くのか!?

 こいつ、気になることは全部お構い無しに聞いてしまうタイプの奴か。


「それは……」


 口ごもる松原に、追い討ちをかける村岡。


「やっぱりまだ、麦野君のことが好きなの?」


 食べた焼きそばを吹き出しそうになった俺は、口元を手で抑えてから怒鳴った。


「バカかお前ッ!」


 俺と同じように松原も怒りそうな質問なのに、松原は落ち着いた声で村岡に返事した。


「それは絶対にないよ」


 そう否定して、冷めた目を俺に向けて言い放つ。


「麦野君は、口悪いし、声でかいし、愛想ないし、怒りっぽいし。なんか、やれやれ系を頑張って演じてますって感じで、見ててキモいし痛い。あと丸刈りだし」


 散々な言われように、俺は血の気が引いた。

 丸刈りの悪口を言うのはやめろ、なんて言ってやりたいが、気力が出ない。


「あー、確かに、麦野君、そういうとこあるよねー」


 そう言ってケラケラ笑う村岡。

 そんな女子二人に、俺の代わりにプリアが言う。


「二人とも、言い過ぎです。麦野君は確かに口悪いし性格悪いですけど、言い過ぎです」


 なんのフォローにもなってないんだよな。

 むしろ、性格悪いっていうのまで足されてるし。

 

「付き合い浅いお前らに、そんなことまで言われたくねえんだけど」


 俺は無表情で淡々とそう告げると、村岡は笑って言った。


「そんなに落ち込まないでよ、全部冗談じゃん。ね、松原さん」


「うん、もちろん冗談だよ」


 いやいや、ほんの僅かでも冗談には聞こえなかったけどな。


「冗談だったなんて、嬉しいですね、麦野君」


 そう言ったプリアに、間髪入れずに突っ込む。


「今ので【嬉しい】はおかしいだろッ!」


 爆笑する3人。

 落ち着いたところで、松原は言った。


本当ほんとはさ、ずっと一人でお菓子の研究をしてることに、限界を感じたんだ。どれだけ自分が美味しい物を作れたと思っても、違う人が食べたら美味しいと感じないかもしれない。だから、色んな人の意見を聞いて、色んな人の口に合うお菓子が作りたくて、部に入ろうと思ったの」


 松原の言葉を聞いて、プリアが頷いて言う。


「私もです! 色んな人の口に合うインド料理、エスニック料理を作りたくて入部しました!」


「やっぱりプリアが作りたいのは、インド料理なんだね」


 村岡がそう言うと、プリアは元気に笑顔で「はい!」と返事した。


「あの……」


 松原が手を立てて、小さく挙手をする。


「私も、その、名前で呼んでほしいです。紅葉もみじって……」


 松原の言葉に、満面の笑顔で答える村岡。


「じゃあ私も千穂ちほって呼んでよ、紅葉!」


「うん!」


 松原は村岡にそう返事した後、プリアに顔を向けた。


「私もプリアって呼んでいいかな?」


 笑顔で答えるプリア。


「もちろんです、紅葉」


 そう言って喜び合う女子3人。

 プリア以外のファーストネーム呼びは若干恥ずかしいが、お望みならしょうがない。


「オッケーオッケー、紅葉に千穂ね。了解了解」


 そう言うと、険しい顔でこちらを見る二人。


「麦野君はダメ」


「ダメに決まってるでしょ」


「バカ!」


「ノンデリ!」


「ノンデリ!」


「バカ!」


 語彙力ごいりょくの無い二人のシンプルな悪口に、俺は目を瞑った。

 そして誓うのだった。

 絶対に、男をもう一人入部させるということを……。




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