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輝け! ヤバ高キュイジーヌ  作者: しーなもん
第1章:創設ヤバ高調理部
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第2話『存在しないクラブ』

 翌日、入部届けに名前を書いた俺は、昼休憩中に職員室を訪れた。

 誰に話しかけたらいいのか分からないので、取り敢えず入り口から一番近い机の前に座っている中年男性の教師に声をかける。


「あのう、すみません」


「ん、何だい?」


「家庭科部って、どこで活動してるんですか?」


 俺の質問に、男性教師は顔をしかめた。


「家庭科部は無いよ」


 はい?

 いやいや、そんなわけ……。

 俺は昨日あの女から貰った紙をポケットから取り出し、教師に見せた。


「昨日これ貰ったんですけど」


 紙を見て、教師が言う。


「ああ、村岡だな……」


「村岡?」


「私が担当しているクラスの村岡だよ。部員集めをしているとは聞いている」


 部員集め……。

 えっ、じゃあ、まだ創設されていない部っていうことなのか!?


「私も現状はよく知らないから、1年4組の村岡に聞いてみるといいよ」


 教師はそう言って紙を俺に返した。


「はあ、そうですか……。ありがとうございました」


 一礼して、職員室を後にする。

 俺は足に力を入れながら廊下を歩いた。

 バカにしやがって!

 何が家庭科部だ!

 何が全国大会だ!

 創設すらされてねえ部なんかに誘うんじゃねえよ!


 自分のクラスである1年2組に戻る途中、廊下で昨日の女が他の女子と会話をしているのが見えた。

 確か、村岡とかいう名前だったな。

 俺はズコズコと歩いて村岡に近付き、声をかけた。


「おい」


 振り返った女を、ギロリと睨む。

 連れの女子がアワアワして村岡の袖を引っ張っているが、俺は構わず続けた。


「家庭科部なんてねえじゃねえか」


 そう言って、『来たれ家庭科部』と書かれた紙を突っ返す。


「まだないよ」


 紙を受け取りながら、あっけらかんとそう返事した村岡に、俺は低く重い声で言った。


「お前のイマジナリークラブに誘うんじゃねえよ」


「えっ、でも私は本気だよ!」


「今何人集まってんだよ?」


「まだ私一人だけど……」


「ざけんな!」


 俺は悪態をついてその場を後にし、自分の教室へと戻ったのだった。




 放課後になり、帰宅しようと鞄に教科書を入れていると、村岡がやって来た。


「麦野君」


 名前を呼ばれ、ギロリと村岡を睨む。

 どこで名前を調べやがったんだ、こいつ……。


「何だよ?」


 低く重い声でそう返事したが、村岡はまるで気にすることなく言った。


「1年1組に内藤さんっていう、両親がインド料理をやっている子がいるの。一緒に勧誘しに行かない?」


 勧誘だと?

 何言ってんだ、こいつ……。


「何でだよ」


 悪態をついてそう返事するが、村岡は構わず続けた。


「だって、両親がインド料理やってるんだよ? 絶対内藤さんもインド料理作れるじゃん!」


 俺は怪訝に村岡を見て、手のひらを相手に向けて左右に振った。


ちげえよ。何で俺が一緒に勧誘なんか行かなきゃいけねえんだよ」


 そう言うと、村岡はポケットから紙を取り出して俺に見せた。


「だって麦野君、もう部員だし」


 村岡が見せてきた紙は、入部届けだった。

『1年2組・麦野直人』

 しっかりと俺の名前が自分の直筆で記入されている。


「あっ……」


 思わず声を漏らした。

 そういえば、この女に突っ返した紙の裏面が入部届けだった。

 そして入部届けの欄に名前を記入していたことを忘れていた。


「待て待て、俺は入部する気はもうねえぞ!」


「でも入部届けはもらったよ?」


「じゃあ退部届け出してやるよ!」


「うーん、でもまだ存在してない部だから、退部届けなんて受理されないかもね」


 そう言って俺の入部届けをヒラヒラさせて、村岡はニヤッと笑った。

 そんな村岡にイライラを抑えながら返事する。


「じゃあその入部届けも無効だろ」


「そんなことないよ。だって入部希望者が4人いればクラブを創設できるって、生徒会の人が約束してくれたもん」


 目を細めて口を尖らせながらそう言った村岡に、イライラの抑制が限界を迎えた。


「分かったよ! 合計4人だな! じゃあ後2人勧誘して部が創設されたら、退部届けを出してやるよ! すぐ辞めてやる!」


 吐き捨てるようにそう言って、俺は1組の教室へと向かったのだった。


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