表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空手バカ一代と行く、JDまどかの心霊探索ツアー  作者: AKTY
第7話 オカ研たちの夏合宿―田舎の事故物件編―

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/137

第7話―22 英依先輩の見解Ⅱ

 夕方になり、弥幸みゆき凛子りんこは今日も買い出しに出ていった。英依はなえの、肉を喰わせろというリクエストを受けて、今晩はバーベキューとしゃれこむようだ。海ではないが、夏!旅行!BBQ!と、まどかのイメージするパリピの夏イベントを順調に消化しつつあった。


 英依は黒尽くめのライダースタイルから涼しそうな白いワンピースに着替え、縁側に腰掛けている。円はその隣。なんとなく逃げ出すタイミングを逸し、その場に釘付けになった。そんなふたりの視線の先には空手着に着替えた流れからそのまま稽古に突入した省吾しょうごが、またも地味な動きを繰り返している。


 さっき少しだけ夕立があった影響で、気温はだいぶ下がったようだ。涼しい風が心地いい。このあたり街中とは違うな、と円は思った。


「なるほどね⋯⋯ああやって重心移動の感覚を身体に覚え込ませているのね⋯⋯」英依は誰に言うともなくそう呟いた。


 横にいる円はギョッとして英依の様子を盗み見る。よかった、話しかけられたわけじゃない。それにしてもこの人、あの動きを見てそんなことがわかるのか。やっぱ武道かなにかやっているのだろうか、と円は疑問を抱いた。抱いたが故に、英依にその気配を悟られた。


「なにか聞きたいことでもあるの?」英依はニッコリ笑顔で話しかけた。


 怖い怖い、笑顔が怖い、と円は完全にブルっちまっているが、なんとか不審に思われない程度の間を空けたのみで会話を続けることができた。


「⋯⋯えっと、その、先輩もああいう、格闘技?とかやってるのかなあって⋯⋯」


 英依は一瞬目を見張り、驚いたような素振りをしたあと、フフッと笑う。


「まさか、私ずっとインドアで生きてきた人間よ?運動とか大っ嫌いよ。あんなの出来るわけないじゃない」


 かなり予想外の返答に戸惑う円。ん?どういうことだ?省吾はたしか⋯⋯ルールなしなら勝てないとかなんとか言ってたぞ?買いかぶりってやつか?


 円はつい英依の目を真っ直ぐに見つめてしまった。背筋が凍るとはまさにこのこと、たったそれだけで円の身はすくんでしまう。英依の瞳の奥の、野獣のようななにかが円を縛りつけた。


 いやいや、そんなはずがない。これはたぶんアレだ、花山薫的なヤツだ!生まれついての強者というか、鍛えないことが強さだ、みたいな。だってワンピースから覗く二の腕にはしっかり筋肉がついているじゃないか。同じようにインドアで運動嫌いな円の肉体とは明らかに出来が違う。


 おそらく彼女の異常なまでの勘の鋭さも、野性的なもの。きっとサバンナでだって生きていけるだろう。円は身体の各所に嫌な汗をかきながら、そんなことを考えた。


「省吾は偉いわね⋯⋯」また英依がボソッと言った。


「そうですね」とこれには円も同意する。


 省吾の稽古はまだまだ続いている。涼しくなったとはいえ、日差しの下でずっと動いている。遠目からでも汗が光るのが見て取れた。


 誰に強制されるでもなく、ひたすら空手の道を追求する空手バカ。どこに行っても誰が見ててもお構いなしに弛まぬ努力を続けている。いまだに省吾の空手がオバケに効くのが謎ではあるが、この日々の努力を目にしてしまえば、そういうこともあるのかなと納得してしまう。あっ、そういえば英依先輩はこの点どう考えているのだろうか?


「あのう、先輩、なんで有明くんの攻撃が幽霊に効果あるんですかね?」円はどうしても気になって尋ねてみた。


 英依は眉をひそめて首を傾け、少しだけ考える素振りを見せる。


「さあね、わかんない」英依はそう言うと、また円を怯えさせる笑みを浮かべた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ