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空手バカ一代と行く、JDまどかの心霊探索ツアー  作者: AKTY
第7話 オカ研たちの夏合宿―田舎の事故物件編―

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第7話―16 まどか、気持ちよくなる

 男衆が外で泥と汗にまみれている間、リビングではまどか凛子りんこが指示に従って動画をチェックしていた。凛子はタブレットの方が使い慣れているということで、円はノートパソコンを使っている。


 3台設置されたうち、庭のものが一番可能性が高そうだと思い、円はまずそれを選んだ。凛子は男性陣の寝室のやつを。円がそう割り振った。せめて弥幸みゆきの寝姿でも眺めさせてやろうという、円なりの優しさだった。


 会話もせず、黙々と作業を進めていたが、円の気持ちが先に折れた。


「あー、なんもねー」円は後ろに手をついて宙を見上げた。そんな彼女を天井のシミがバカにするみたいに笑っている。


 凛子は円の嘆きの声など無視して、真剣に画面を見つめていた。弥幸の喜ぶような成果を挙げてやろうと頑張っている。それに録画とはいえ弥幸をずっと眺めていられるのは悪くなかった。寝返りひとつが愛おしい。彼女の瞳には弥幸の隣にいる省吾しょうごの姿は映っていなかった。


 もう無理だと思った円はもともと倍速だったのをさらに倍、それも我慢できずさらにさらにとすっ飛ばした。異常を発見できないまま、さっさと見終えてリビングの動画へ。本当は庭は円以外の者がやるべきだった。というかこんな細かい作業を円に任せるべきではなかった。円こそ庭で穴でも掘っていればよかったのだ。


 実はそのカメラは異変をバッチリ撮影していた。後日弥幸がすべての動画をあらためて検証した時、家の建物から例の隅っこまで移動する影のようなものを発見した。本当にうっすらとだからよく注意しないと気づかない。倍の倍の倍で見えるものではなかった。適材適所というものはある。これについては仕事を割り振った弥幸の失策だったと言えよう。


 それはともかくとして、もはややる気は微塵もなくなった円をよそに、凛子だけが作業に没頭していた。そんな彼女が本当に、本当に渋々ではあるが、円に向かって質問を投げかけた。


「ねえ、あのさ、円ちゃん、これさっきからなんか、泡?みたいなのが画面いっぱいに出てきてるんだけど⋯⋯」


 円は自分の動画を一時停止にし、ゴロゴロ転がって凛子の隣に来た。そこで差し出されたタブレットを見る。


「ああはいはい、オーブね」円はすぐに興味を失ってまた転がって戻っていく。


「ねえ、ちょっと、オーブって?これ問題ないやつなの?」


「あ?オカルトサークルにいてオーブも知らねえのか」円はガラ悪く言い放った。「そんなんじゃ先輩たちのメンツが立たねえだろうが」


「うっ⋯⋯」言い方はあれだが円の言うことにも一理あるかもしれないと思い、凛子は言葉を詰まらせる。


「まったく近頃の若えもんはだらしねえなあ」円は唐突に始めたキャラを崩さず、説明を始めた。「いいか、オーブってのはなあ、ホコリに光が反射したとかなんとか理由はあるが、オカルト的には霊がいるって合図なんだよ」


「えっ !? これって心霊現象なの?ホントに?じゃあ早くみゆき先輩に報告してこなくっちゃ」自分がそれを発見できた喜びに浮足立った凛子は、すぐに立ち上がろうとした。


「バッキャロー!」円はそんな凛子に罵声を浴びせる。「オーブなんかに喜ぶのはトーシロだけなんだよ。そんなのを外で泥だらけで穴掘ってる先輩に見てもらおうってのか!笑わせんな!」


 円の叱責をまともに受け取りシュンとなった凛子は、また座り込むと黙って元の作業に戻った。騙されてはいけない、弥幸はオーブを見れば子どものように喜ぶだろうし、それで元気が出て穴掘りも捗ることだろう。だがいまの凛子にはそんなこと知る由もなかった。


 一方、円はただただ快感に酔いしれていた。他人を叱りつけることはなんと気持ちのいいことか。いままで実際に見てきた口うるさい教師や、ネットで話題にされるパワハラ上司の気持ちがわかる。こんな気持ちいい思いをしてたのかアイツラは。


(ああ、これいいな。また機会見つけてコリンで遊ぼう)新たな快楽の扉を開いた円は、そんなことを考えながら凛子を鑑賞した。



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