表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空手バカ一代と行く、JDまどかの心霊探索ツアー  作者: AKTY
第7話 オカ研たちの夏合宿―田舎の事故物件編―

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/137

第7話―6 庭の様子を見に行く

 掃除を始めて、いの一番に庭を確認しにやってきたまどかは、誰に阻まれることなくスクスクと成長した雑草を目にした。家庭菜園があったはずだが、全体が緑に覆われていた。人が手を入れないとこんなにもなるのか、とシティガールな円さんは思った。


「うわあ、これはすごいことになってるね」後ろから弥幸みゆきの声がする。彼もやはり気になって、まずここにやってきたのだろう。


「井戸がどうとか全然わかんないですね」円は両手で庇を作って日光の直射を避けつつ、ぐるりを見渡してそう言った。


「これは草刈りも必要だなあ」


 弥幸のそんな言葉に円はなに !? と振り返る。まさかこの炎天下で草刈りをやらせるつもりなのか?イヤだイヤだ、絶対イヤだ、と円は目で訴えた。しかし弥幸はクルッと後ろを向いて、スマホを操作している。


「あ、どうも、おつかれ様です」どこに電話しているのか弥幸は丁寧な口調で話す。


 円はその様子を眺めながらコイツ大人だなあと思った。円の社会に対する貧困な想像力が、そこにビジネススーツに身を包んだサラリーマン弥幸を現出せしめた。なんの話をしているのかわからないが、すごく立派な人間に見える。来年には自分もあんな風に話せるようになるだろうか。とてもそうなるとは思えなかった。


「⋯⋯ああ、はい、ありがとうございます。はい、わかりました。それじゃあやっときますので、はい、失礼します」電話を切ると弥幸は振り返ってニコッと笑った。「草刈り機貸してもらえることになったよ。ご近所の農家の人に頼んでくれるって」


「この暑い中、草を刈るんですか?」円は弥幸が楽しそうに言うのが理解できない。


「ああ、大丈夫、僕がやるから。けっこう好きなんだよね、草刈り」と弥幸はさらに円にはわからないことを言う。


 こんなイケメンが草刈りを好きだなんて⋯⋯というか誰がこんなイケメンに草刈りなんてやらせたんだ?そんな資源のムダが許されるのか?円の疑問は尽きない。


「ちょっとせんぱ〜い、なにやってるんですか〜」と甘い声がした。見ると凛子りんこがパタパタと駆けてくる。なにやらやけにデカい帽子をかぶっていた。


「いやほら、庭がすごいでしょ」弥幸は凛子にも笑顔を振りまきながら答えた。「これから草刈りでもしようかなってね」


「え〜、ダメですよせんぱい、日に焼けちゃう。そんなのは省吾しょうごくんにさせればいいんですよ〜」などと凛子はなかなかひどいことを言う。「それか〜円ちゃんやれば〜」


「ヤダよ」円は凛子には構わずバッサリ切って捨てた。


「え〜、いいじゃん。円ちゃん日焼けとか気にしないでしょう?」


「その帽子ちょうどよさそうじゃん。あんたやんなよ、弥幸先輩も喜ぶよ」


 女ふたりバチバチと火花が散った。睨み合う両者、激闘を予感させるフェイスオフであった。しかしここで水入り。スマホが鳴った。弥幸が確認している。


「おっ、先方の了承取れたって。ちょっと行ってくるね」そう言い残して弥幸は立ち去った。


「あっ、待ってくださいよ〜」と凛子がその後を追っていく。


 ただひとりその場に残された円は、急に静寂に包まれたように感じる庭をもう一度見渡した。蝉が鳴きやんだ気がしたが、それもほんの一瞬だった。夏の気配は色濃く、キツい日差しと頬の横を伝う汗が不快だ。向こうでエンジン音がしたのをきっかけに、円は家の中にいようと玄関へ取って返した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ