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空手バカ一代と行く、JDまどかの心霊探索ツアー  作者: AKTY
第5話 イケメン先輩の闇バイト !? ―廃村でお泊まり編―

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第5話―エピローグ

 いま、まどかは素っ裸になろうとしていた。隣を見ると凛子りんこが、なにを期待していたのか、野外活動には向かないセクシーな下着を脱ごうとしている。


 円は素早くタオルで前を隠すと、凛子の身体を盗み見た。自分とは違う、凹凸がわかりやすい肉体。そこに異質な痕跡を見つけて、思わず「あっ」と声が漏れた。


 怪訝な目つきで隣を見た凛子は、円の視線を辿って自分の腹に目を向ける。そこで「えっ⋯⋯」と絶句した。


 凛子の白い肌に浮かび上がる丸い痣。ちょうど拳ぐらいのサイズの青黒い内出血が、凛子の腹部のみぞおちの少し下あたりにくっきりと刻まれていた。


 話は少し遡る。


 弥幸みゆきの安全運転で帰りも順調に進んでいた。ただ車内の空気はやはり行きの時とは違っていた。どこか気怠い雰囲気が漂う。ひと通り今日あった出来事について話したあとは、特に話題も見つからない。道幅の広い幹線道路に出る頃には会話もめっきり少なくなっていた。


 円はなにをするということもなく、ぼんやりと車窓を過ぎゆく景色を眺めていた。隣ではあいもかわらず省吾しょうごが筋トレをしていたが、それももう見慣れてしまって新鮮味がない。円はただ無心に、道に立っている建物や、看板などの文字を黙読していた。その中のある文章がなぜか彼女の口からポロっとこぼれた。


「スーパー銭湯3キロ先⋯⋯」


「おっ、神谷さんいいねえ」弥幸はやはり耳がいい。円のつぶやきを聞き逃さず拾い上げる。「汗もかいちゃったし、寄っていこうか、銭湯」


「はっ、えっ !? 」円は不意打ちを食らったかのように取り乱した。「私なんか言いましたか?」


「スーパー銭湯でしょ?いいじゃん、寄っていこうよ。いろいろあったしさ、けがれを落とすって意味でもさ」


「あっ、行きた〜い」凛子が派手に賛意を示す。「も〜汗ベタベタ〜」


「だよね~。有明くんもいいでしょ?」


「はい、いいと思います」省吾は素直に受け入れた。


 正直、円としてはそんなところに行きたくはなかった。他人と風呂に入るという行為が昔から苦手である。しかもよりによって凛子とだなんて⋯⋯しかしもう後には引けなかった。図らずも言い出しっぺは自分なのだった。


 幸い浴場は閑散としていた。円はさっさと髪と身体を洗い、「お゙お゙え゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙」と声を漏らしながら湯に浸かった。


 涼しくて過ごしやすかったとはいえ、夏の日である。これも弥幸が用意していたボディシートで身体を拭いてはいたものの、ひとっ風呂浴びるのは格別だった。


 のんびり満喫していると凛子が洗い場からやってきて、なぜか円と同じ浴槽に浸かった。円は内心舌打ちした。こんなに広いのになんでわざわざ近くに来るんだよ。寂しがり屋かこいつ。まあなにか文句でも言うつもりなんだろう、と円は黙って待ち構えた。


 しかし凛子はなにも言わないまま、静かに浸かっている。時間だけが過ぎた。慣れない裸の付き合いでもあり、円のほうが沈黙に耐えられなかった。


「その、お腹のそれ、痛くないの?」


「なんかね、別に痛くない」凛子はそれだけ言うとまた押し黙る。


 会話のキャッチボールが成立しない状況に円は嫌気がさし、もうあがろうと思った。凛子を変に刺激しないよう、円は湯の中をそろそろと前進した。そんな円の背中に向かって凛子が声をかけた。


「今日はありがとね」


 消え入りそうなくらい小さな声だった。思わぬ言葉に円は動きを止めて振り返った。凛子は顔を赤くして横を向いていた。


「はい?」円はあえて聞き直す。


 凛子は横を向いたままなにも言わない。


「ねえねえ、いまなんか言ったよね?なんて言ったの?ねえねえ」円はしつこく絡んでいく。


「あーうっさいうっさい」凛子はそう言って立ち上がると、ズンズン歩いて浴場から出ていった。


 円はその様子を見て、クククと笑う。なかなかかわいいところがあるじゃないか、もっとイジってやろう、と円も急いで凛子を追いかけていった。


 第5話 了



あとがき


 ここまで読んでいただきまして、誠にありがとうございます。


 今回ちょっと長くなってしまいました。ま、泊まりなんでね、しょうがないですね。長くなってもオバケが特別怖くなったりはせず、いつも通りの感じがだらだら続いただけでした。まあこれもしょうがない。私、怖い話とか書けないんで。


 それでも一応、人間関係という面ではそれなりに進展があったと思います。各キャラクターの人間性というものもハッキリしてきたのではないでしょうか。いっしょに夜を明かすといろいろ見えてくるもんです。


 円の気弱さと相変わらずなゲスさとか、省吾の対人への意外な躊躇い、凛子のスッピンと、あと可愛げもお風呂で書けました。あとは弥幸ですね。彼のしっかりしたところと、それでもやっぱり変なところが出てきました。タモリカレーがその象徴です。


 あっ、タモリカレーはレシピがネットに公開されていますんで、作ってみるといいですよ。手間と時間がちょっとかかりますけど、作るの自体は難しくないです。ちゃんとカレー粉まぶしたマッシュポテトを添えてください。くっそうまいです。


 てことで、今回はここまでですね。


 コメントやブックマーク、ポイント評価などいただけると非常に励みになります。みなさま何卒よろしくお願いいたします。


 それではまた次回をお楽しみに。



 AKTY



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― 新着の感想 ―
ホラーな空気にちょっとビクビクしながら読んでました。省吾が来てくれた時の安心感…! 円とコリンちゃんの距離も少し縮まった感じでニヤニヤしちゃいますね。
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