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空手バカ一代と行く、JDまどかの心霊探索ツアー  作者: AKTY
第5話 イケメン先輩の闇バイト !? ―廃村でお泊まり編―

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第5話―22 キャンプの後始末

「ギャーーーーー」という叫び声が周囲の山々にこだました。


 撤収準備を進めていたまどかたちは一斉に声のした方へ目を向ける。そこには両手で顔を覆った凛子りんこが座っていた。全員の視線を、というか弥幸みゆきの視線を感じたのだろう。慌てて背を向けると、なにやら自分の荷物をゴソゴソとあさっている。


「どうしたの?コリンちゃん大丈夫?」弥幸が声をかける。


「ああ、はい、だいじょーぶで〜す」と凛子は後ろを向いたまま返事をした。


 目覚めたとはいえ、まだ虚ろな様子だった凛子を連れて拠点に戻った一行は、とりあえずこの場を早く離れようと、大急ぎで後始末を開始した。まだフワフワしていた凛子は、椅子に座らせて放置していた。


 そこでさっきの叫び声である。はっきり覚醒した凛子は常日頃の習慣でまずは鏡を取り出して自分の化粧を確認したのだった。そこに映ったのは自分は見慣れているが、いまこの場にあってはならない顔。意外と和風でサッパリした素顔の凛子だった。


 状況を理解した円は、なにをいまさらと冷ややかにその背中を眺めた。お前のすっぴん顔なんて、さっきからみんなに見られてるだろうが。こちとらもっとエグいのだって見せられてんだよ。


「コリンちゃ~ん、それもうカメラにも収められてるし、手遅れだと思うよ〜」円はそうからかってウシシと笑った。


「あー、うるさいうるさいうるさーい!」凛子が背を向けたまま怒鳴った。


 円はさっきまでの薄味な凛子の顔を頭に浮かべる。あの顔のままならもう少し親しみやすくなるのにな、と円は思った。コリンというよりも、まさに "和道凛子" という感じの、あれで黒髪ストレートにでもしたらオカルト映えするだろうに。少なくとも序盤で消えるモブキャラ役から主要キャラくらいには昇格するだろう。


 その後、作業はつつがなく進行した。メイクをキメてキラキラ☆ギャルに戻った凛子は、照れ隠しのように積極的に弥幸のことを手伝った。すべてとは言わないまでも、おおむね元の状態へ戻し、一行は速やかにその場を後にした。


 帰りの道中、弥幸は円たちの話を詳しく聞き取りした。省吾しょうごが正拳突きをぶちかましたくだりでは、お前そんなキャラだったか?というような大興奮のリアクションを見せた。


「みんなが止まっていた時、そんなことが起こってたんだねえ」どうにか気持ちを落ち着かせた弥幸はそう言って、少し寂しげな溜息をついた。「なんで僕には見えないのかなあ」


「先輩はその間ずっと撮影していたんですか?」と円は同情心を抱きつつ尋ねた。


「うん。でもそれだけじゃなくてね、僕もマネして肩をつかんだんだよ、全員の」力ない弥幸の声。「そのカメラの映像確認してもらえばわかるけどさ、撮影しながら映ってるモヤモヤに手を突っ込んでみたりさ」


 円は後部座席に置かれていたカメラを再生してみる。凛子はそれを嫌がっている様子だったが、弥幸の手前なにも言えず、苦い顔をしていた。


 当の場面を再生してみると、たしかに静止している3人に、あれこれ働きかけようとする弥幸の手と声が映っていた。凛子を中心とした黒いモヤモヤも、まずは円、そして円に触れた省吾を取り込むという、その変化の流れがはっきり収められている。そこへ果敢に突っ込む撮影者の手。しかしその行為はなんの変化も及ぼさない。


 こんなガッツリ異常なことが起こっているにも関わらず、弥幸にだけはそれを観測できないというのは⋯⋯これはもうすごい才能だなと円は感心してしまった。英依はなえやMAYOIの信頼の理由が飲み込めた気がした。オカルトの才能が皆無であることが、逆にオカ研会長としてなによりの武器であるのかもしれない。


 そんな円の心のなかの賞賛の声はもちろん弥幸には届かない。隣に座る凛子の的外れな励ましの声に苦笑いを浮かべながら、弥幸は丁寧にハンドルを操作していた。




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