表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空手バカ一代と行く、JDまどかの心霊探索ツアー  作者: AKTY
第5話 イケメン先輩の闇バイト !? ―廃村でお泊まり編―

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/137

第5話―16 弥幸のカレーと夜の再訪

 弥幸みゆきの作ったカレーは絶品だった。タマネギをじっくり炒め、独自に調合したスパイスを使った自作のルーをわざわざ持参していた。下ごしらえしてきたという具材も完璧だった。


(おま、お前これ、タモリカレーじゃねえか!)カレーについては一家言あるまどかはひと口食べただけで看破した。この長時間煮込まれてホロホロと崩れる鶏肉と、複雑なスパイスの風味。そして添えられたカレー風味のマッシュポテト。これぞ本家のタモリカレー!


 こんなガスを大量に消費する料理をキャンプで出してくるなんて⋯⋯弥幸の底力(財力)を目の当たりにした思いだった。もうお前オカ研じゃなくてカレー研の会長だろ、と円は心の中で最大級の賛辞を送った。


 表面的には「うまいっす」とボソリと言って、おかわりを要求した程度だったが。


 食後、弥幸は全員分の飲み物をまめまめしく準備してから話しだした。


「それで今夜なんだけど、僕はもう一度あの神社へ撮影に行こうと思ってるんだけど、みんなはどうする?」


「あ、それなら私は行きたいです」円は特に考えることもなく参加を希望した。


 そうなると当然省吾(しょうご)も頷いて、賛意を示す。あとは凛子りんこだけだが⋯⋯


「もちろんわたしも行きますよ〜」と快活に答えた。


「ほんと無理しなくてもいいんだよ?夜遅くだし、テントで寝ててもいいんだから」弥幸が気遣う。


「そんな〜独りで寝てる方が絶対怖いじゃないですか〜」と凛子は至極真っ当なことを言った。


 夜に凛子を連れてあそこへ向かうことには、さすがの弥幸も不安があるようだ。その気持ちは円も同じだった。しかしたしかに、置いていった凛子になにかあるよりは、いっしょに行って起こった事象に対処するほうがまだ容易な気がしてきた。


 それに、凛子に付き合ってこんな面白そうな探索に参加しないなんてことも円にはできないわけで、自ずと選択肢は限られていた。


「それじゃあ全員参加ということだね」弥幸も覚悟を決めたのか、全員の顔をひと回り見つめた。最後の同意を取り付けて話しを続ける。「なら23時頃に向かおうか。あまり遅すぎても明日がつらくなるしね」


 うおぉぉぉ、燃えるぜぇ、と円のテンションはこの時最高潮だった。タモリカレーによる底上げ+廃村キャンプというシチュエーション。なんならイグアナのモノマネだって披露できそうだ。


 その後、時間まで弥幸の長い怪談話兼オカルト講義を聞いていてもまったく眠くならなかった。むしろいつになく積極的に話に参加して、弥幸を喜ばせた。この手の話に弱い凛子は、楽しそうにやりとりするふたりをを苦々しい気持ちで見つめていた。


 そんな勢いで向かった夜の探索だったが、結果は完全に空振りだった。せっかく省吾も正装に着替えたのに。静謐な夜の神域を、キャーキャーと甲高いギャルボイスで乱しただけだった。本当にこんな小うるせえ奴が "神さま" とやらに気に入られたりするのか?と円は疑問に思った。罰が当たるという方がずっと納得できる。


 映像的には素晴らしいものが撮れただろう。懐中電灯の明かりに照らされた古びた神社は、どこか禍々しく、恐怖心を掻き立てるものがあった。これならきっとなにかが起こるはずだと、しばらくそこに滞在し、その時を待ち構えた。


 しかしなにも見出だせなかった。これまで経験してきたような、怪異が現れる時の空気の変化もない。ただただ、静かな夜だった。


 それから全員で慎重に階段を下り、拠点に戻ってきた。期待値が高かった分だけ、円の落胆は大きいものとなった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ