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空手バカ一代と行く、JDまどかの心霊探索ツアー  作者: AKTY
第4話 最強現る!黒を纏いし者―大学の幽霊のウワサ編―

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第4話―7 降霊術をやってみよう

 降霊術。それはオカルトマニアにとっておなじみのものだ。古くは太古の昔のシャーマニズムなど、先祖の霊や超自然の精霊などを呼び寄せて、託宣を授かるといったものから始まった。それはさまざまに形を変えながら、現代でも世界中で行われている。


 やはり日本のオカルト界でもっともメジャーな降霊術といえば ”コックリさん“ だろう。これにも ”エンジェル様“ “キューピッドさん” “星の王子さま” などといった亜種が存在している。


 当然のことながら、まどかは子どもの頃からこれら降霊術について強い関心を抱いていた。自分もやってみたいと、ずっと願ってきたのだ。しかし残念ながら、円が実践するにはハードルが高すぎた。どうしても複数人の参加者が必要だったのである。そんなの円にできるはずがないじゃないか。


 中学生の頃、円はネットで ”ひとりかくれんぼ“ という、これもまた降霊術の一種を知った。それは実に円向きの素晴らしい儀式だった。なんといっても ”ひとり“ でできるのだ。手順は少々面倒ではあったが、自分だけでできるということが当時の円をどれだけ励ましたことか。


 円は両親が不在の日の深夜3時にこれを実行した。ヌイグルミやら生米やら刃物やら用意して、ネットの体験談で語られた手順を完全に再現した。円はコップに入れた塩水片手に、押し入れに隠れてその時を待った。


 それはもう、ずっと待った。待ち続けた。でもなにも起きなかった。たまに家鳴りがして、来たかっ!と身構えたが、別になにも来ていなかった。結局そのまま朝が来て、外の様子を見て回るために長時間口に含んだ、塩水だか唾液だかわからなくなったものを一応ヌイグルミに吐きかけて、儀式を終わらせた。


 それからも家族のいないタイミングを見計らって、通算3度試みた。最後のなどは最も危険度が高いという自身の血液まで用いて。ナイフで指先を小さく傷つけ、搾り出したのだ。しかしムダだった。なんの成果も !! 得られませんでした !!


 思えばそうなのだ。最近立て続けに霊体験をして忘れていたが、円はそれまで1度も、その手の事態に遭遇したことがなかった。こんなにも積極的に当たりにいっていたにも関わらず。円自身、自分には霊感がないのではないかと疑ったこともあった。だがそれではあまりにも夢がない。その点にはずっと目をつぶってきた。幽霊に遭遇できたいまとなっては杞憂だったのだが。


 まあそれはそれとして、そんなにまで恋い焦がれた降霊術を、今日、ついに行える!表には出ないよう抑えてはいたが、円のテンションは最高潮に達しようとしていた。


「降霊術というと、やっぱりアレですか?コックリさん」円はウズウズしながら尋ねる。


「フフフ、そうね。それが一番簡単でいいわね」英依はなえは円の気持ちを察したのか、軽く笑いながら答えた。「みんなやり方くらいは知ってるでしょう」


「ええ、まあ」凛子りんこはしぶしぶといった様子で答える。


「いえ、知らないです」省吾しょうごは正直だ。「なんですか、コックリさんって?」


 嘘だろオイっ、と円は一瞬だけ思ったが、いやいやそうではないと思い直した。なんといってもこの空手バカは心霊スポットという言葉も知らなかったのだ。コックリさんを知っている方がむしろおかしい。


「あのね、有明くん。コックリさんってのは占いみたいなものなの⋯⋯」円は省吾にもわかるように簡単に説明する。


 真剣な表情で話を聞いていた省吾は、どうやら納得したようで、大きく頷いてみせた。


「つまりそれでなにか不思議なものがやってくるということですね」


「まあそうね。あくまでもやってくるかも、だけどね」


「こういうオバケの噂があるような場所でやったら⋯⋯なにが来るかしらね」英依はそう言ってクスクスと笑った。


「それじゃあさ、誰がやろうか。最低2人からだよね」弥幸みゆきが話題にそぐわない緊張感のない声で問いかけた。


 もちろん円はすぐさま挙手をする。自分が参加しないなんてありえない。


 それを見て、弥幸は微笑んだ。彼は後輩のやる気がなによりうれしい。円はオカ研部員ではないのだが。


 となると、そんな様子を見た凛子が手を挙げないわけがなかった。嫌で嫌で仕方ないが、弥幸が喜んでくれるのだ。あの笑顔を、こんな、円なんかに独り占めさせるわけにはいかない。


「英依さんは⋯⋯やらないよね」弥幸は顔を見て判断し、それから省吾を見た。「有明くんはどう?やってみる?」


 省吾はその問いかけに首を振る。


「私は神谷さんのボディガードなので。なにかあった時すぐに動けるように準備しておきます」


「ああ、そうだよね。それなら僕がやろうかな。これで3人、十分でしょ」


 弥幸の言葉に表情を輝かせる凛子。初めての共同作業だと、ほくそ笑む。邪魔者はいるが、指も触れ合うわけだし、リスクに見合ったリターンだと考えた。


「じゃあさっそく準備を始めましょう」英依が号令する。「弥幸、機材の用意して」


 言いながら英依は自分の荷物から大きな紙を取り出した。そこにはすでにコックリさんの様式が書いてあった。最初からやるつもりだったのだろう。


 弥幸は運び込んでいた撮影機材をセットしている。これだけの機材、いったいどうやって揃えたのか?と円は疑問に思った。大学生の持ち物にしてはずいぶん大仰なものだった。まさかオカ研の備品というわけでもあるまい。やっぱりこいつ、ボンボンか?


 手慣れた先輩ふたりのおかげで、首尾よく準備は整った。いよいよ、円念願のコックリさんが始まる。


 円はゴクリと息を呑み、紙の中央に置かれた十円玉に指を乗せた。



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